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「エシカルフード基準」セッション対話録 第8回

『エシカルフード基準2022(大手企業ver)』セッション(2022年6月29日13-18時)

「エシカルフード基準2022(大手企業ver)の改訂」
参加メンバー:五十音順
井出留美さん
河口眞理子さん
佐々木ひろこさん
中西悦子さん
森枝幹さん
山本謙治さん
「Tカードみんなのエシカルフードラボ」事務局メンバー


(瀧田)
本日もお忙しい中お集まりいただいて本当にありがとうございます。3月30日の『エシカルフード基準』の公表からはや3ヶ月経ちました。あれから食品メーカーさんだったり流通さんだったり、たくさんの皆さんとお話をしてまいりました。

ラボ発足が去年の3月なのでそこから1年3ヶ月ぐらい経っているわけですけれども、世の中の時代の変化もあると思いますし、ラボとしても『エシカルフード基準』を発表したこともあって、皆さんの意識がかなり前向きに変わってきていると、変化を感じています。

その中で、食品メーカーさんから『エシカルフード基準』についてご意見をいただいています。ラボとしては1回発表したものは変えないというスタンスではなく、常にいろいろなステークホルダーの皆さんの観点に向き合って対話をしていくスタンスだったと思いますので、本日はそのご意見に対して皆さんで対話をして、基準のブラッシュアップをしていければと思っています。

この『エシカルフード基準』は、ラボのミッションである「未来につながる食の循環をみんなでつくる」というための必要な観点をステップで示す、また生活者の皆さんをはじめとして関わるすべてのステークホルダーの皆さんにとっての指標になるといいと思っていますし、日本でエシカルフード市場がまだない中で、とにかく一歩を踏み出すことが大切だなと思っています。その観点で本日セッションができればいいなと思います。5時間と長丁場ですけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
ここからいつものようにファシリテーターの芝池さんにバトンタッチしたいと思います。

(芝池)
はい、皆さんよろしくお願いいたします。瀧田さんのおっしゃる通り、5時間の長丁場ですが密度の濃いディスカッションができればと思っています。

今チャットに、『エシカルフード基準』のスプレッドシートを二つ共有しております。適宜皆さんの方で開いてみていただければと思っております。

では、最初に今日の進め方を共有してから、スタートしていければと考えております。

今日は『エシカルフード基準』のブラッシュアップセッションということで、先ほど瀧田さんからもお話があったように、この大手企業版を公開した後、何社かの企業からいろいろなフィードバックや、スモールスタート企画と連動してヒアリングをしている中でいただいた情報があったので、そこら辺を踏まえながら、『エシカルフード基準』の項目としきい値を一緒にブラッシュアップしていければなと思っております。

今日の論点として大きく二つ。一つ目が「フード評価」の06「倫理的認証を有する製品を使用している」というところ。有機JAS認証だったりフェアトレード認証だったりいくつかにわかれて基準を作っていたと思うんですけれども、ここにカカオとコーヒー豆に関する基準を追加してしきい値を設定する必要が出てきました。

ここはスモールスタートを企画と連動して、今の基準だけではカバーできなさそうということで、事務局でたたき台を考えているので、この内容に関して皆さんと対話をして、最終的にはしきい値まで決めていければと思っております。

二つ目は、調達の06「倫理的認証を有する製品を使用している」の詳細基準がいくつも置かれていますが、そこに関して全体的なしきい値の見直しをもう一度確認した方がいいのではないかと事務局で考えています。

カカオとコーヒー豆が入ったときにしきい値はこのままでいいだろうか、また事前に瀧田さんからのメールの資料の中にも、企業からのフィードバックとして、主要マテリアルを設定したほうがいいのではないかなどフィードバックがありました。

例えば、チョコレートだったら、カカオが一番メインの原材料なので、その主要マテリアルであるカカオがこの06を満たしているかを見ないといけないのではないかというフィードバックがあって、結論としては、主要マテリアルを設定するとどんどんエシカルのハードルが上がってしまうってことと、いろいろな食品を使う多様性の観点から、一律に設定するのが難しいという二つの観点で、主要マテリアルは設定しないという結論になりました。この議論の過程で、このしきい値のままでいいのかという話が出てきたのでそこについて皆さんともう一度確認できればと思っております。

今日の具体的な進め方としては、目的と進め方を共有し、お久しぶりなので近況報告も兼ねてチェックインできればと思っています。

前回から4ヶ月ほど時間が経っているので『エシカルフード基準』の構造の振り返りを簡単にしてから、今日のトピックスに入っていければと思います。

最後に今進行している企画のことや、瀧田さんから今後の進め方について共有をしていただき、終わりにしていければと思っております。

ここまでで何か気になったり質問されたいようなことあったりしますでしょうか?大丈夫ですかね。

そうしましたら、恒例のチェックインということで、お仕事プライベート問わず、皆さん最近どんな感じなのかをお聞かせいただきつつ、今日のセッションに対する期待や、この『エシカルフード基準』大手企業版を公開した後、今後こうなっていってほしいっていうような話でも構いませんし、期待しているところをお話しいただければなというふうに思っております。

では、準備ができた方からお願いしていければなと思いますが、いかがでしょうか? 

(瀧田)
これは恒例の山本さんに、というパターンではないですか。

(芝池)
今ちょっと自粛していたんですが。

(山本)
それを察知して、これを持ってきました。山本です。角川新書から『エシカルフード』という本を出しまして、割と好評なようでございます。今回の『エシカルフードアクションスコア』についても書いております。おかげさまでいろんなところから声がかかったりはしているんですけども、面白いところでいうと某企業にサステナビリティ推進室があるので、そこに話をして、ぜひこの仕組みを取り入れたらどうかと言っています。今までCSRであるとか力を入れてきた企業がサステナビリティをやらなきゃいけないんだなっていうことを認識しつつある状況ではあるけれども、やっぱり日本のメーカーは内需、日本の消費者に対して売っている率が高い。そうなると、まだまだ日本の消費者はサステナビリティとかではあんまり反応が良くない。だったら、先送りにしようかなと思っているところが多いというふうに認識しました。

ただ、その企業は、エシカル度を調査している国際 NGO があるんですがそこのランキングで、すごい下の方なんです。おそらく、原材料購入のときにそういうものを使っている。そういうのは彼らも認識していて、「やっぱりこれから日本でもそういうのを気にする人が増えてくるんですよね」というようなことを言いながらですね、どの時点でスポッとハマろうとしているかということを考えているという感じです。

個人的には最近、新渡戸文化短期大学の食物栄養学科の客員教授をやっていて、そこでエシカルフード概論というのを教えています。今回のこの件に関しても、「こういうのをやっているCCCは面白い会社だよ」と就職先として紹介しているというところでございます。よろしくお願いします。

(森枝)
最近はヴーヴクリコというシャンパンのブランドがちょうど今年で250周年を迎え、その展示会イベントを今原宿駅の目の前のJINGUというところでやっています。

ちょうど昨日そこで、食事の全体的なお手伝いをしました。アート作品であったり、ヴーヴクリコの歴史の資料が残っているのでその資料を見ているだけでも結構見応えがあります。ぜひよかったら足を運んでいただけたらと思います。

あと「ゼンブ」という黄色い豆を使ったパスタに新しく細い麺が出てきて、細麺のタイプが中華麺の海老麺のように、あっさりとしたスープと相性が良いのでアジア系の料理とよく合うんじゃないかという話をしていたらPR の仕事もいろいろ頂戴して、最近はそういう感じでやっています。

あとはMinimalなどチョコレートの話を聞いていて、話をすればするほどサステナブルとか現地の人を幸せにするのがなんなのかわからなくなってきたここ最近です。お金をもつことの幸せ、結構本当末端に届けるのは難しいし、真面目にやろうとすればするほど、あんまり大きく言えないと思ってきてしまいどこまで考えたらいいのかもよくわかんなくなり最近自信がどんどんなくなっていきました。そんな感じです。

(佐々木)
お久しぶりです。この2、3ヶ月は新しいお話をどういうふうに捌いていいのか、仕込みの時期だと思うのですが本当に様々なことが様々な方面から飛んできて、それを仕込むだけでちょっと過呼吸気味になるみたいな感じの日々でした。個人の仕事と団体の運営と、そして政府の委員だったりとかいろんな立場で物を言ったり物を動かしたりが多いので。と言っても、この場にいらっしゃる方々はそういうことをされている方がたくさんいらっしゃるのですが、いろんな責任感とともにストレスに苛まれている毎日でございます。

物理的にすごく出張が多く、毎週のようにどこかの浜に行っているというような状況で、漁師さんたちにお目にかかることも多いし、現場の話も聞くし、かといって流通の方々のお話が反対の耳から聞こえてくるし、料理人のストレスみたいなものも頭から降ってくるし、といったことがあります。京都のチームが去年に立ち上がって8ヶ月ぐらい経ち、勉強会がどんどん仕上げの時期に入ってきていまして、最終的にどうアウトプットするかを、みんなで考えてイベント的なものをしようかなというふうに思っています。ちょうど来年度の年間プランみたいなのをずっと考えて過ごしております。そんな感じの毎日です。

(中西)
ここずっと腰痛に苛まれていました。まさかの長引くシリーズで、おそらくリモートで座りっぱなしが多かったからか、、皆さんもお気をつけください。

仕事の方では、選挙期間となって、選挙に関するキャンペーンが始まりました。国政選挙の際にはこれまでも呼びかけることがありましたが、前回の衆議院議員総選挙は、関連ニュースが少なく、全くメディアが無風という感じでした、今回もそんなに動いてるものではないんですけど、私たちのキャンペーン自体にいくつか取材を受けていて、それなりに反応がメディアに出たりしています。ちょうどそれに関連して瀧田さんの同僚だと思うんですけどCCCの方と1ミリーガーというNHKの企画でご一緒させていただいていました。キャンペーンサイトをご覧いただけるといいかなと思っています。

それから、皆さんご存知だと思うのですが、最近自分のなかで改めて認識したことがありました。私たちは農業の転換というのが、気候の対策としてとても重要なひとつとして捉えているんですけど、日本はやはり土地の面積が多いわけではないので、食料システムとして食と農業はセットで何か考えていかなきゃいけないんだなと日々会話しているなか、温室効果ガス排出に関しては、4分の1に食料システムが関わっているってことは話題だと思うんですけど、生物多様性の軸で見たときにも、8割9割にも影響を及ぼしていることを改めて数字で見たときに、これはやっぱりすごく影響がある範囲なので改めて身を引き締めているところです。

(井出)
信濃毎日新聞っていう長野の新聞で書評委員をやっていて、土曜日25日の書評にパタゴニアさんのことを書きました。『土を育てる』という本で、環境再生型農業の第一人者のゲイブ・ブラウンさんの本を翻訳したものです。耕さないことが土の健康にいいのだとあったので、パタゴニアさんはもうやってますよ、と書きました。

私の義理の両親が農業をやっており、長野県で米とか野菜作っています。今ちょうど埼玉の自宅が大規模修繕工事で、暗くてうるさいので、長野の空いている家をDIYでオフィスにして、そこと行ったり来たりしています。

さっき山本さんが本を紹介しましたが、私もこの『捨てないパン屋の挑戦幸せのレシピ』が今年の課題図書になりました。黄色い帯がかかっていますので、皆さん本屋さんでぜひ見てください。広島のパン屋さんを取材した本です。

(河口)
大学に入って3年目になりますが、初めてキャンパスの学食で食事を食べました。今まで基本オンラインだったので。大学では今年はエシカル消費という講座をもっていて、講義内容は、やりながら内容を考えるみたいなところです。講義では食のセッションを2回やり、ファッションのセッション1回やって、前回は住宅の話をやって、今週末はモビリティの問題をやろうと思ってます。なんとなくエシカルの状況は知ってると思うんですけど、いろいろ調べてみるとそれぞれ奥が深くて。ちなみにフード2回じゃ全然足りませんでした。
もうサステナブルな漁業は一言触れただだけみたいになってしまったのですけど、生徒の皆さん言われるのは「そんなことがあったって知らなかった」という声がすごく多いです。
サーキュラーって言葉すら知らない人が実はたくさんいた。意識の差というか、知識の差っていうのは結構すごいなと感じつつ。意識があっても知識が届いてない人、下手に知識を与えても頭に入らないっていうのがあって。たまたま昨日、企業のCSRの人たち向けに、いかにCSRとかSDGsを社内に浸透させるかという話をしたんですけど、業務として言っても全然入らない、伝わらない。CO2削減がミッションになっている部署はいいけど、それ以外の人は自分の仕事としてそれがそのメリットがあるよってことにならないと、人間ってなかなか動かないですよね。人として動くっていう部分がなかなかないので、とにかく生活者としてその社員を育てていかないといけない。企業人として「こうやったら儲かるからそこだけやっておけ」と言われてしまうと他のことを何にも考えない人になってしまい、それが実は、生活者の立場からすると、とってもよろしくないことだったりするので、そういう社員を作りましょうねみたいな話をしています。

とにかくエシカル消費ということで、ずっと今までCSRをやっていたので私もある意味気楽に考えていたのですが、消費という観点で物を見ていると、企業サイドから考えるのと全く違うなと日々感じつつ、これをどうやったらより多くの1人1人が収まっていくのかなっていうことも感じつつ。それからエシカル消費というのは、食は食、ファッションはファッション、車は車と別々なもののようで、実は暮らしという観点から言うと全部繋がっているのだなとも思いました。

特にその暮らしとモビリティはめちゃくちゃ繋がっていて、どこに住むかによってどういう移動手段を使うかとか、街中に住んだら歩いて交通機関で行ける、田舎に住んだら環境はいいけどどこかに行くのには車を使う。その代わり野菜は自分で作れるでしょとかとなると、自分のライフをどうデザインするのかが大事になるんだなあということを日々考えております。

で、たまたまチョコレートのことで言えばこの不二製油の仕事で、ホンジュラスの大使と面談をしました。大学の知り合いの友達がホンジュラスの大使になり、日本ビジネスをやりたがっていると言うから、カカオもあるんじゃないのと話をしていたんですけれども、意外とホンジュラスのカカオは新しい産業らしく、これから作ろうとしているのはサステナブルなカカオ。

なぜかというと、ハリケーンニッチェで壊滅的な被害を受けその後世界中からいろんな支援が入る中で、新しい産業ということでカカオをプロモートしてきたのが、ドイツやスイスのNGO。それをプロモートしてきているので、最初からサステナブルなカカオ農園という設計で生産できてきているらしく、それをスイスの会社が買って、結構高級チョコに使われているsそうです。。やっぱりカカオの世界も、古くからあるコートジボワールやガーナは業界が古く複雑な構造なので、そこを割って入ってクリーンアップしようとすると超大変ですが新興のところは元がサステナビリティっていうことを条件に始めてたりするらしいサステナビリティを推進するには、新しい枠組みが大事というのが気づきでした。

(芝池)
事務局としては瀧田さんと湯浅さんがCCCからで、フューチャーセッションからは有福と私が、あとは今日も記事の作成の観点でライターの山本さんが入ってくださっています。

ではこの後、今日の二つのトピックスですね、カカオとコーヒー豆に関する詳細基準としきい値に関して、後は06「倫理的認証を有する製品を使用している」の全体的なしきい値の見直しに関して、お話をしていければと思うんですけれども、改めてもう1回構造の振り返りをしておければなというふうに思っています。
皆さんご存知の通り、「企業評価」と「フード評価」の二つがあり、「企業評価」は今日は特にトピックスとして挙がってないんですけれども、環境、動物、人・社会、政治に関する大項目があって、その下に中項目、さらに具体的な取り組みに関する小項目がありその小項目に関して基準を設定している構成になっています。

この小項目ごとに、2022年の時点で最低限満たしてほしい基準、例えばこの環境報告だと02「定量的な目標を含んだ方針に基づいた取り組みについて自組織で評価を行い、その結果を公表している。」にしきい値を設定していて、この02または02よりも上の基準に◯がついているとこの小項目を満たしたことになるというような構成で作っていました。

今日は「フード評価」の話になるんですけれども、「フード評価」も同じく大項目がありますが、中項目がなくて小項目とさらに詳細基準があります。今日の議題になるこの06「倫理的認証を有する製品を使用している」はどんな製品を利用しているかというところにいろいろと幅があり、オーガニック原材料とか農作物とか畜産物とか、製品ごとにわかれていて、オーガニック原材料だったらどういう基準を満たしておく必要があるのかという詳細基準がある。という構造になっています。

例えばオーガニック原材料の場合だと、皆さんと話してこの03「オーガニックに該当する原材料のうち有機JAS認証または同等性を持つオーガニック認証を受けた製品原材料を重量ベースで50%以上使用」。ここにしきい値が設定されているので、01、02、03のいずれかに○つけば、この基準の01が◯がつきます。この詳細基準自体は現時点で8個あるんですけれども、8個の全部を満たさなければいけないのではなく、どれか一つでも詳細基準を満たしていればもうこの06の小項目に◯がつくというような構造になっています。

なので、オーガニック原材料なのか倫理的な農作物なのか畜産物なのか水産物なのかフェアトレードなのか、倫理的な配慮をしたパーム油なのか、このうちのどれかの基準を満たしてればこの小項目に◯がつく。

こういう構造にした背景としては、なるべくハードルを低くして、何か一つでも配慮した原材料を使っているのであればそれを加点評価として、やっていることを褒めたいよねということでこういうような構造にしていたというところをちょっと振り返っておければなと思います。

皆さんなんとなく思い出してきましたかね。私も久しぶりに見たときに、「これ詳細基準は全部満たしてしないといけないんだっけ?」と一瞬忘れて、いやいやそうじゃなかった、どれか一方でも○がつけば、小項目に○がつくから、いろいろいいものを使ってる場合にはたくさん◯がつくということだ、と自分自身が忘れていたところがあったので、しつこく共有をさせていただきました。

ではここからですね、実際に今日の二つのトピックスのうちの一つ目カカオとコーヒー豆に関しての詳細基準の追加としきい値の設定に関して、お話に入っていければなと思っております。こちらに関しては、瀧田さんや湯浅さんの方でいろんな企業さんに対してヒアリングをかけていって、そこでどういうフィードバックを受けたかですとか、カカオとかコーヒー豆に関して今どういうような実態になっているかのフィードバックと、それを踏まえた上で事務局が作成した、たたき台を最初に共有させていただいて、それぞれ、基準の表記がどうなのか、しきい値としてどこに設定するかという順番でお話をしていければなと思います。

ここから瀧田さんにバトンタッチしてフィードバックの内容とたたき台の共有をお願いできますでしょうか。

(瀧田)
はい。資料を投影しています。今、芝池さんからご説明のあった通り、「フード評価」における01調達の中の06「倫理的認証を有する製品を使用している」いう中の07にフェアトレード認証の原材料を調達しているという詳細基準があり、今まではコーヒー豆とカカオはここで評価をするということになっていたと思いますが、別出しでカカオ、コーヒー豆の基準を追加するというのが、今日の一つのテーマになっています。パーム油のような扱いになると思っていただければいいのかなと思います。

元々ドラフトは山本さんと佐々木さんと藤田友紀子さん、皆さんで作っていたときに、エシカルコンシューマーの「エシックスコア」をベースにし、欧米では既にパーム油が社会的問題が多いため、ホットトピックスということで別出しでこの原材料が切り出されていました。同じように取り巻く社会問題がかなり大きく、認証だけで網羅できない可能性があるんじゃないかという観点で、カカオとコーヒー豆を切り出すのはどうかというのが検討テーマになっています。

具体的にカカオからお話できればと思います。スモールスタート企画でチョコレートとコーヒーから実証実験を始めるという話を前回のセッションの最後でもしていたかと思いますが、チョコレートメーカーさんとの対話をずっと継続して続けています。その中で今回公表した『エシカルフード基準』についてもいろいろと感想をいただいています。そのヒアリングの結果を踏まえ、なおかつ事務局の方でも、面談をしたメーカーさんだけではなくて、他のチョコレートメーカーさんの実態もホームページ上からわかる範囲で調査をして、カカオに関する基準の新設、あとは認証を追加することが検討テーマとしては良いのではないかと考えた、というのが経緯です。

チョコレートメーカー各社さんの現状ですけども、おそらくこの現状ありきで対話をしないと、なかなか日本の2022年度の実態に即した基準にならないのではないかなと思っていて、ここを丁寧に共有したいと思っています。

大手のチョコレートメーカーさんに関して言うと、皆さんサステナブルカカオの調達100%に向けた調達方針を出しています。その達成が2025年なのか2026年なのか2028年なのか達成年限というのは各社によって異なるものの、調達方針を明確に明示しているというのが現状です。

そのサステナブルカカオの詳細がどのようなものなのか、紐解いて見てみると、認証のカカオを調達している企業と、自社で大切な観点を洗い出して方針と基準を設定し、その基準を満たしたカカオを調達しているという企業に分かれています。

具体的には後ほど湯浅さんからExcelベースで細かく共有させていただければと思いますが、大手4社で言うと、明治さん、ロッテさん、グリコさんは自社基準。森永製菓さんは、スイスのバリーカレボー社のココアホライズン認証のカカオを調達しているという状況です。

自社基準を設けているメーカーさんの主要観点は、人権、環境、生産者支援というところでシンプルに皆さん共通していて、第三者機関の認証でも同様かと思います。フェアトレード認証でいうと、主に人権とか生産者支援のところが強く、もちろん環境という項目はありますが、どちらかというと人権。レインフォレスト・アライアンス認証、UTZ認証ではどちらかというと持続可能な農業ということを謳っていて、環境に力を入れているような第三者認証になっています。フェアトレード認証とかレインフォレスト・アライアンス認証、UTZ認証などとその自社基準は、観点はもちろん重なりますが、認証ではメーカーが注力したい観点や活動範囲がカバーできず網羅性がないというようなご意見もあり、自社基準を設けているとこちらは理解しました。これもメーカーさんによってスタンスは様々なんだと思います。

例えばある会社では自分たちで汗をかいて現地に赴き、認証機関にお金を払うんだったら生産者さんに直接払いたいという企業文化で、CCCにも似てるなと思いながら聞いていました。

ヒアリングの結果分かったこととして、サステナブルカカオを100%使用している製品と、混合されている製品があります。なぜならば大手企業さんでいうと工場のラインを新しく新設することは難しく、企業として調達をしたサステナブルカカオは、一つの釜に混ぜられて、そこから複数の製品になっていくので、いろんな製品の中に少しずつサステナブルカカオが混じっている状態。ただゆくゆくサステナブルカカオの調達100%になった暁には、全ての商品がサステナブルカカオ100%の商品になるから、今はその発展途上の過程なのであるという認識でした。ということで現状は、100%の製品はかなり限定されているというように見受けました。

カカオに関する課題はこのように結構様々なので、フェアトレード認証だけで語るというのはかなり違和感があるというコメントがありまして、『エシカルフード基準』の「フード評価」項目に対して、もう少し網羅的に見ることができないのかなというようなコメントがありました。ここから湯浅さんに各社の状況を、シェアしていただければと思います。

(湯浅)
今、瀧田さんがお話しいただいたようにWebのほうで公開されている情報をまとめたのがこちらになっておりまして、調査した対象が、明治さん、グリコさん、それからロッテさん、ネスレさん、森永さんで、主要なチョコレートメーカーさんについてどういったカカオの調達方針で調達をされているかを調査しているのがこちらのシートになっています。

どこの企業さんも共通して言えるのが、自社の考えですとか方針に基づいて、取り組みをしていらっしゃって、その支援先のカカオを調達するというところでサステナブルカカオとして調達比率100%目指していくっていうのは各社さん共通なのかなと思います。

森永製菓さんについてはさっき資料でもありました通り、ココアホライズン認証を通じて、サステナブルカカオを調達しているというような形になっています。

一社一社見ていきますと、例えば明治さんにつきましては調達方針については、森林減少であったり、児童労働であったり、カカオの生産者支援というところを調達方針として持たれています。

中でも、注力されているところが、ここの右側に書いてある1、2番なんですけれども、児童労働を強制労働していない、労働環境の確保しているカカオというところ、それから環境保全がされているカカオに注力をされて、この二つが担保されて生産しているカカオ調達をしますよという調達方針を出されていらっしゃいます。2026年までにサステナブルカカオ100%にしていくというような形で打ち出されているのが明治さんです。

続いてグリコさんに関しましては、既に2021年購入分よりサステナブルカカオが100%になっているというところで、国内で一番早いのかなとお見受けします。グリコさんが特にイシューとして書かれていらっしゃるところでいきますと、やっぱり児童労働のモニタリングも含めた改善と、生産者支援のところに注力をされてらっしゃいまして、例えば現地の学校の開設であったりですとか、生活インフラを整えていたりですとか、あとはその農業支援、教育のところで肥料の提供、栄養指導の生活者支援ということで児童労働っていうところと生活支援の部分に重きを置かれているカカオを調達されているというのがグリコさんになっています。

ロッテさんについては2028年までに50%以上を目標に掲げられています。そのサステナブルカカオとしては児童労働のモニタリングにも注力をされてらっしゃいまして、児童労働をしてないに加えてプレミアムを上乗せしてお支払いをするというような取り組みをされています。

ネスレさんにつきましては2025年までにサステナブルカカオ100%調達ということで打ち出しをされてらっしゃいます。ネスレさんは、生産者支援に注力をされて活動されておりネスレカカオプランというプログラムを作られて、そこに入られている生産者さんからの調達をされています。

最後が森永さん。2025年までに100%サステナブルカカオ調達になっておりココアホライズンの認証カカオの調達にて取り組みを開始されております。

4社さんについては自社の基準で調達をされていらっしゃるんですけれども、森永さんについてはココアホライズン認証カカオを調達されているというところが、以上5社の取り組みになっています。

(瀧田)
ありがとうございます。このように実態を調査してみると見えてくることもありました。ホームページ上だけではわからないので実際にこの中でアポイントが取れた3社さんには、ヒアリングをさせていただいて、今投影させていただいているような結果になっています。各社さん自社で独自の観点と基準を持ってそれに取り組んでいらっしゃいます。

(河口)
第三者の認証機関にお願いするとすごくお金がかかるので、小規模農家とかが自主的に取得するのははまず無理です。なので、カカオじゃないけれどもパーム油の場合は不二としてはNGOと組んで小規模農家がRSPO認証を取れるようにトレーニングをするという取り組みをしています。しかし、地道にやっても百件、200件がやっと取れたよという世界なので調達量をカバーするのは難しい。それであればある程度自分のところでちゃんとした基準でやった方がずっと楽。それなりに内容が担保されていることがわかれば、それでいいじゃないかというので広がっていると思う。

(瀧田)
そうですね、認証機関に払うお金をそのまま生産者に回したいというお話をメーカーさんから聞きました。今日の論点のカカオに関して言うと、カカオを基準として外出しをしたらどうかと思っているんですけれども、その基準の観点がここで書いてあるような「児童労働の阻止、適正かつ継続的な取引、森林生物多様性の保全、土壌汚染に配慮した農薬管理、生産者支援」というところで、認証として、元々我々の基準の中でISEALに認定されている認証というのは対象ですけれども、そこにココアホライズン認証を追加していいのかが、論点かなと思ってます。

具体的な基準のドラフトに落とし込んでみたのがこちらになります。調達08として、持続可能性に配慮したカカオを調達しているというものが追加されて、その詳細基準としては全部で4つのラダーがあります。01は原材料のカカオのうち国際的な第三者認証、これがそのISEALに認定されているもの、もしくはココアホライズン認証、または自社基準で次の全ての観点について客観的な目標を決定した自社基準を公表し、ここがすごい重要だと思うんですが、「トレーサビリティが確保されているカカオを100%使用しているか」。

02は、すべての観点ではなくて、次の3つ以上。この3つというのも、3つがいいのか2つがいいのかも論点かなと思うんですけども、トレーサビリティが確保されてるカカオ100%使用しているか。03は当該商品の原材料および製造過程においてカカオを使用しているが当てはまらない、もしくはカカオそのものを使用していないというようなラダーに、ドラフトで作ってみました。

なぜ100%だけになっているかというところなんですけども、先ほどお伝えした通り、チョコレートメーカーさん各社さんの状況を見ても、企業としてはサステナブルカカオ100%調達に向けて動いているが、それをこの商品に何%入れるというコントロールが現実的にできず、大きなタンクの中に企業として調達したサステナブルカカオを入れて、いろんな製品の中に混ぜ込まれているというのが現状なので、そもそも何%と設定するのが現実的なのかな?というのが観点の一つ。

もう一つ重要なのが、消費者の観点からすると、エシカルなチョコレートと言われたときには、サステナブルカカオが100%のチョコレートと言われたほうがコミュニケーション上、納得もするしそれが妥当なんじゃないかなっていう観点があります。

児童労働から生産者支援までこの5つの大切な観点、全てをというのは、結構なかなか難しい側面があるので、この5つの観点のうち、例えば何個以上の観点について、目標を設定し公表して、トレーサビリティが確保されているカカオを100%使用しているというふうに、この二つ目の基準を設定した方がいいのかなと思って、事務局で設定しました。

論点の一つの、認証を追加するかどうか。その対象認証がココアホライズンということで、今まさしく河口さんにおっしゃっていただいた通り、バリーカレボー社の関連財団が作っている認証ということになっていて、大切な観点としては先ほどのカカオを取り巻く社会問題に対して対峙しているかという観点を網羅しているんですけれども、認証の成り立ちとしては、バリーカレボー社が作った財団の認証であるということになります。

日本での現状でいうと、森永製菓さんだけではなくて、例えばブラックサンダーの有楽製菓さん、あとファミリーマートさんだったりとか、いくつもの企業がそこから調達をしているというような現状になっております。ですのでこの認証を対象に入れるのかどうかは今日の対話の一つの論点かなと思っています。

コーヒー豆まで説明していきます。どの企業からもご指摘はされなかったんですけれども、コーヒー豆もカカオ同様なのではないかなというふうに事務局では考えました。

コーヒー豆も調査をしていると、カカオと同じような社会問題があり観点として同じなんですけども、一つ追加しているのは土壌汚染に配慮した農薬管理に加えて、加工過程の管理というのを追加しています。これは精製処理方法。水を使って洗う、もしくは洗わない。大量に水を使って油分を含んだコーヒー豆の洗った残り水みたいなのが土壌に落ちていくのかいかないのか、もしくは洗わない中でも農薬がだめとか、そもそも加工過程でウォッシュがだめとかそういうことではなく、適切に管理をしているのかどうかを追加するかが、コーヒー豆になっています。具体的な基準のドラフトに落としたときには、先ほどのカカオと同様の構造になっています。私からは説明は以上になります。

(芝池)
皆さんのほうで情報がすごく多かったのではないかと思いますが、何かここまでの話を踏まえて確認されておきたいこと、質問されたいことがありますでしょうか?

(河口)
いくつかあります。「倫理的認証」という言葉を使われていますが、倫理的というとどちらかというと環境はあまり入らないイメージがあります。倫理的認証でオーガニックという説明をいただいたんですけど、それはサステナブル認証という言葉にした方がいいかも。倫理的というと人権、社会的な話であって、環境は環境認証という言葉の整理をする人もいるので。これは言葉のイメージですが、倫理って言ってもサステナブル認証の中に環境認証があって倫理的認証があるみたいに整理する人がいる。その言葉を変えた方がいいかなというのがまず一点。

それから今のカカオの話で言うと詳細基準の01,02,03,04のギャップが大きい。01と02は基本的に同じで条件を3つ満たすか5つ満たすかだけど、100%。03は、カカオを使っているけど、何もしていない。100%じゃないけれども何割か利用しているといったところもあるのではないでしょうか。これだとオールオアナッシング的な感じになりそうです。

(瀧田)
まさにそこを今日対話したいと思っていました。一つ目の河口さんのご指摘についてなんですけども、我々のエシカルフードの定義が1年間議論をしていて環境、動物、人・社会、政治全てにバランスよく配慮された食品というふうに定義されていると思っています。

この倫理的認証、倫理的という言葉が『エシカルフード基準』の中にいくつか出てくるんですけれども、例えば「フード評価」調達の中の01というのは原材料調達に関して倫理的な調達方針があるかという倫理的というのは、環境、動物、人・社会、に配慮するというふうな意味合いで使っています。そこを誤解なきようにちゃんとコミュニケーションしなくてはいけないのかなというふうに受け取りました。ただ一方で、魚だけが持続可能なという言葉を使っているので。

(河口)
単語に関してはいろいろな考え方があるので、倫理的も決め事なのでそう決めたらいいのですが、ただ倫理的認証という言葉をぱっと聞いたときのイメージはそうなので、いやうちは違うんですって言っても言葉のイメージ違うからそれであれば、エシカル認証とかにしてしまうほうが誤解や違和感ないかなと思います。それかサステナブル認証とかに置き換えたほうが、つまらない誤解を招かないような気もします。がもうこれ動かせないっていうんだったらそうだし、そのあたりの微調整はより使いやすい言葉に動かしてもいいなら、変更する時期が来たら変更の候補にしたらいいんじゃないかと思いますけどね。それは本質的なことはない言葉のイメージなので。

(芝池)
他の皆さんのご意見を聞いておければなと思いました。一つは倫理的というのは、環境、動物、人・社会全部入ってるんだよという補足をつけて倫理的のイメージを補うか、今、河口さんが代案として例えば「エシカル認証」を有するとか「サステナブル認証」を有するというふうに、倫理的の言葉を変えるのもあると代案出してくださったと思うんですけど、ぱっと聞いた感じ皆さんどう思われているのか、お伺いできますか。結構難しい問いですかね。

(河口)
これはどっちか決めればいい話なので、皆さんが臨時的にいいよ、違和感ないよだったらそれでもいいし、変わるっていうんだったら、変えた方がいいよっていうことなので、今日決めなくてもね、大勢に影響はない話だと思います。

(芝池)
今皆さんがぱっと出るようであれば、それだけ聞いて事務局で最後整理しようかなと思ったんですけど、意外と深い問いだと思ったので今日メイントピックスを先にやって、最後時間余ったら戻ってくるのでもいいですかね。河口さん、投げかけありがとうございました。

この倫理的認証の話と、あとはしごが3段飛ばしで階段を上がってくみたいな感じになってるのではというまさに今日の本題に当たるような投げかけだったと思うんですけども、このままこの話に入ってもいいと思いますし、入る前に確認しておきたいことがあれば、先に皆さんから募っておければと思いますが、いかがでしょうか? このまま議論に入って、途中で何か出てきたら、都度都度、投げかけていただければと思います。

順序的には、ココアホライズン認証の扱いをどうするの? というところがスタートとしては入りやすいかなと思っていて、その上ではしごのかけ方どうするか、それに合わせてしきい値という順番がいいかと思っています。

(山本)
基準が公表される前にここでいろいろ議論した中で、一者認証、二者認証、三者認証という種類がありそれぞれどういうふうに考えるべきかを議論したと思うんですけど、そこの部分の話にまさになってくると思います。

ココアホライズン認証に関する問題は、バリーカレボー社の関連団体の認証と教えていただいたわけですけれども、第三者認証でフェアトレードを我々が設定したけれども、「そのフェアトレードの第三者認証ではカバーされていない分野もあるから、我々はその第三者認証は採用しないのだ」とおっしゃっている企業群がいます。その人たちをどうするかという問題がまず一つあるんですよね。その認証がカバーしている問題群、これが横軸だとするとそれに加えて、やっぱりその先ほどからある第三者認証の客観性というのが担保されているけど、二者認証はそれがちょっとあいまい、自社認証に関しては客観性が本当に担保されるのという危うさがあるという、縦軸の問題が存在していると僕は思っています。

なので、事務局案は、カバーしている横軸の問題の部分に関しては、それが解決できるスキームだと思うんですけれども、やはりここでその第三者認証と二者認証と一者認証の信頼性をどう評価するのかという軸もあった方が良いのではないかという気がしています。

ちなみに、ご存知の方いらっしゃると思うんですけれども、キャドバリーというチョコレートメーカーがあって、そこが今実はスキャンダルが出ています。ここは第三者認証から「ココアライフ」という自社認証的なプログラムに移行して、第三者認証よりも信頼性の高いやり方で移行しますよと。言っていることは、明治さんとか森永さんと同じで、「ココアライフ」認証でちゃんとやっていますと発表していたのですが、イギリスのBBCが潜入して、ココアライフの参加農家のところに行ったら、完璧な児童労働をやっていましたと。

児童労働をやっている子供たちが出演して、おので足を切ってしまったとか、そういう悲惨な状態がBBCで放送されて、世論がココアライフが嘘じゃないかとなった。これはまだ全然収束してなくて、BBCのその放送が妥当だったのかという検討もされていない。自社認証というものに関してはそういうことが起こりうるのは示唆されている。というふうなことで僕はその横軸の問題にプラスして、縦軸の認証とか自社のシステムの信頼性、透明性を問うことがなされているのであれば、こういう方向性でもいいと思っています。河口さん、もしここの話で何かあれば教えていただければと思います。

(河口)
それは、自社認証が第三者認証かっていうことだけじゃないんですよね。誰がどういうふうにやっているかで、第三者認証でもアフリカの現地に行くの大変だから、誰も見に来ないことからいい加減なことをやっている事例もあるとも、聞きます。第三者認証でもアバウトな話はいっぱいあるんですよね。第三者をちゃんとチェックできているか、逆に自社認証でも本気で真面目に何をどうやっているかが100%自分でわかるので、それがちゃんとしていればいいのだけど。

ただ、自分で言っているだけで第三者が担保していないという意味では、そこを信じていいのか。第三者認証の方が信じてもいいように見えるけれども、今までも多々ある中で第三者認証があるからいいと思って潜入調査したら全然駄目だったみたいな話は山のようにあります。フェアトレード認証だってこの値付けの仕方でいいのかとか、逆にそういうことをすることによって腐敗が生まれているんじゃなかろうかみたいなのもあります。どっちにしろそういう組織に付随して生じる問題はどちらもあるので、ある程度の企業が自社認証、第二者認証でやっているとなると、そこの仕組みの信頼性って似たようなものです。誰がどういう意図でやっているかでレベルの差が出てきますので、第二者認証、第三者認証の方が絶対的に良くて、自社認証は絶対的駄目とも言えないんですよね。誰がどういうふうにやっているのが大事。でも普通の人はそこまでわからないので、わからなくてもいい人向けに代わりに出てきているのが第三者評価機関。そういう話のはずが、そこがなんかいい加減なことやっていたり。

だから、この話ですと、完璧な第三者認証が一番レベルが高い。あともう一つは客観的な自社認証。その間にココアホライズン認証みたいなところが入ってくる。さらに。いちばん下にはそういうことを全くしてないというのが入ってくると思います。今のところ本当に完璧な認証制度の仕組みで、理想的に動いているところが少ししかないと考えると、何らかの形で認証していたとか、そういうことをきちっと外部に公開していて、第三者の代わりにきちんと公開することによって、透明性を担保するような形で敷居を下げないと、対象となる商品がなくなってしまうと思います。

理想的なことを言っても、結局そんなチョコレートはないので消費者にそういうものが手に渡るというレベルから考えて標準を合わせた方がいいと思います。それから我々もその認証機関に関してきちっとその内容をチェックしていくことによって、透明性も高めていくというやり方しかない。要するに、どこもその現在進行形で改善中なので、課題はあります。だけど、そんな認証機関を作るなんていうことも世の中的にそういう透明性を確保しないといけないという動きがなければやるわけないので、そういうのを作るのだけでもワンステップ上。だけど中身を見てみたら、伴ってなかったという話になるなら、それはそうやっていくことでレベルアップするようなものであり、ここで100点満点の答えのものがあるかというとないので、発想を変えた方がいいのかもしれないです。100点満点のものにラベルをはるのではなく、改善させる仕組みの中に消費者を巻き込むために、とりあえずここのラダーの目標をセットした。という発想で運用する発想に変えないと、チョコレートに関しては、厳しいのかなというふうにお話を聞いていて思いました。

(山本)
フェアトレード認証で、本当に問題がよく出てくるわけなんです。いや、やっているって言っていたのに支払われてないじゃないかとか、いろいろあります。児童労働もやっているじゃないかみたいな。ただ、それは問題が出ているということが発見されているということ。つまり何だろう、自社認証の場合はBBCみたいなどこかのキャンペーナーが問題があるよと言わない限り、事情がわかることはないんだけれども、第三者認証はやっぱりそういう批判的なものも含めて、やっているんですみたいなことを言われたことがあります。

でも、河口さんのおっしゃったことはその通りだと思います。結局透明性であるとか、自分たちがやっていることに関して、継続的にしっかりとそれが実施されてるかを確認する体制を内包しているかとか、そういうことが対外的にきちんと発表されているか、話が担保されてるかどうかという話だと思うので、そういうような文言として、ここに追加するのが現実的かなと思いました。

つまりここでは、今の段階では国際的な第三者認証か、客観的な目標を設定した自社基準、自主基準の実施内容が定期的に公開されていたり、1から5までの観点を行うよと言ってることが行われているかを評価する体制があるか。そういうようなことがここに書き込まれていることが重要だと思います。

(芝池)
単に自社基準を公表しているだけでなく、本当に実施されてるのかをレビューをして、その結果が公開される。組織の中にそういう体制があるかどうかまで入れると、さっきおっしゃっていた信頼性、誰がどうやってるかわからないというブラックボックス化を防ぐことができていいのではないか。自社認証でもいいのではないかということですね。

(山本)
抑止力になるかというとならないと思いますが、基準としてはそこまでちゃんとやってないと信頼しませんと言っておくことで、この基準の妥当性は保てると思います。結局自分で採点をするわけですが、でもそれが嘘だってわかったときにこちら側から排除するということは、きちんと面目が立ちますよね。

(芝池)
ちなみにこの国際認証の話と自社基準の話で、間にある「ココアホライズン認証」が若干浮いてると思うんですけど、さっき河口さんからもちょうどこの狭間にあるのが、「ココアホライズン認証」という話があったんですけど、「ココアホライズン認証」はこのまま書いてていいのか、補いをするのか一応こういうことやってるだろうねっていう暗黙の了解のもと、この表記で良しとするのか。

(佐々木)
質問ですが「ココアホライズン」認証というのは観点的には網羅的に1から5みたいなものが評価基準としてあるからこそ認証なんだと思うんですけれども、その認証団体、審査団体が、バリーカレボー社から来るということでしょうか。

(芝池)
バリーカレボーが作った財団が、審査団体なんですよね。

(佐々木)
河口さん、それメルと同じような感じですか?

(河口)
メルに近いというか、自社認証っぽくなくしている自社認証みたいな。

(佐々木)
つまり、自分のとこが作ったカカオに対して、自社の一部門がOKと言っているみたいな感じでしょうか?

(河口)
別財団ではあるので、もう少しそこには距離感があるでしょうけれども、普通の人が思うバリーカレボーとは全然関係ない第三者がいて、そこがやっているわけではないです。要するに、その自分の傘下にあるところにさせているわけだから身内にさせている感じになるので、どこまで独立性が確保されているのか不明です。完璧な第三者認証と完璧な自社認証の間ぐらいのレベル感になります。

だからこのバリーカレボーが自分たちと切り離してるのかどうかは、今ひとつ実態はわからないものの、自分たちのグループの中で、財団を別に作ってそこにさせているというたてつけに関して、どこまで信頼性があるのか、どこまで客観性があるかって言ったらわかりません。

(瀧田)
そうすると並列にココアホライズン認証という個別銘柄を出して併記するのではなく、客観的な目標を設定した自社基準が2通りあって、チョコレートメーカー各社さんの自社基準に則った活動をして調達したカカオなのか、調達先の企業の自社基準に則って調達されているものをさらに調達するのかみたいな違いというレベルでしょうか。

(河口)
森永さんと明治さんは自分たちの基準を持っているけども、それはどこから買ってくるかというと直接農家からというのではなく、サプライヤー(バリーカレボーや不二)から買ってきます。ま自社基準を持っているけど、それを提供してくれるサプライヤーのどこを使うかという話です。

(瀧田)
ここに「ココアホライズン認証」を入れる必要もないということですよね?

(芝池)
例えばさっきの森永さんとかが、自社基準を設けてそれに合致するココアホライズンから買っているのか? 自社の中の基準の整備などは置いておいて、とりあえず「ココアホライズン」から買っているから大丈夫でしょうみたいな感じだとすると、この表記をなくしてしまうと、森永さんのがんばっているチョコレートが土俵に乗らないですね。今の話を踏まえると、自社基準なく「ココアホライズン」を買うということがないのであれば、取っちゃっていいのでしょうか?

(河口)
というのと、国際的な第三者認証ISEALに認定されている認証というのがまたハードルが高い概念ですが、それと自社基準というハードルの低い概念で、これが同列になっているので、何らかの形の基準を設けていて外部に公表されてる自社基準だったら自分のところで共用しているし、国際的な認証を使っているのであれば認証団体がこういう基準ですと担保してくれているわけだから、自分でやるか認証団体がやったものを買ってくるかの違いでしかないです。

(芝池)
河口さんのハードルの話でいうと、国際的な第三者認証と客観的な自社基準が同列にありますが、一番上に国際的な第三者認証のトレーサビリティを確保したカカオ100%があって、その下に自社基準のトレーサビリティ確保したカカオ100%がある方がいいんですかね。

(瀧田)
そこも、湯浅さんとこのドラフト作ってるとき散々議論したんですけど、ここの国際的な第三者認証ISEAL認定されてるものは、具体的にはフェアトレード認証とレインフォレスト・アライアンス認証とUTZ認証です。それぞれ調べたのですが、フェアトレード認証はこの1,2,5で、UTZ認証は3,4。なので、それも並列に並べてなおかつ一番上の基準に置くことで解決するのかどうかがわかりませんでした。それも今日議論したかったポイントです。

他の原材料の項目もそうなっていて、有機JAS認証も一番上に、商品が有機JAS認証をとっている、次に原材料が有機JAS認証を取ってるものが何%、取ってないけど有機JAS認証で必要な観点を全部満たしてる、、というラダーになっているので、そういう作り方ができればいいなと思いましたがそもそもそれが適切なのかがわかりませんでした。

(河口)
カカオの場合は圧倒的に児童労働が課題として大きいと言われているので、そこをカバーするのは非常に重要です。それができた上で生態系保全などがあるんだよという理解ですね。パーム油だともっと森林破壊が前面にくるけど、カカオの場合は児童労働がファーストプライオリティ。私が話をしている中ではみんなそんな言い方をしています。

(瀧田)
なるほど、そうすると、以前大手企業がフェアトレード認証をやめてUTZ認証に切り替えて国際的なNGOから批判をされていてなぜだろうと思っていたんですけど、カカオの社会問題の1位は児童労働なのに、環境保全のほうにしたからなのですね、多分。

(河口)
多分ね。それからガーナやコートジボワールが関税をかけたんです。400ドルか何かの関税をかけて、それを自国の児童労働撲滅に使いますっていうので、確かガーナ政府が政府としていいことだと言われていたんだけど、蓋を開けてみたらガーナ政府がその400ドルをどこかに持っていってしまって児童労働撲滅に全然使っていなかったらしある大手企業がそんなの買わないと脱退して、それなら400ドル分を自分たちが援助した方がよっぽどいいとなりました。そういう良い仕組みを国として作っているのに蓋開けてみたらその400ドルはどっかに消えてしまっていて、全然ちゃんと使われてないじゃないかという問題でした。

(瀧田)
どういうラダーを作ればいいのか難しいですね。過去のことを調べれば調べるほど優劣をどうつけたらいいのかが本当にわからないんですよね。今の話だとフェアトレード認証が一番に来て次にUTZ認証、レインフォレスト・アライアンス認証が来てその次に自社基準? でも自社基準の方が…。

(河口)
あまり細密にしても、それに該当するようなものはあまりなく、認証基準のものの含有量が100%、5割以上が3割以下みたいな方が多分現実的だと思います。

(瀧田)
そのラダーの中に自社基準はどこに入るのですか?

(河口)
だから「何らかの基準」の中に入れる。

(瀧田)
何らかの基準(ISEAL認定されている国際的な第三者認証)または、定期的にレビューして取り組み結果も公開して、ちゃんとそれを管理する体制もあるトレーサビリティが確保されている自社基準みたいな、そんな感じでしょうか。

(河口)
そうそう。具体的にはそれが情報公開されているという条件のものを100%使ってるか、7割ぐらいか5割ぐらいが3割ぐらいかの方が、できると思います。

(佐々木)
でもその条件だとUTZ認証を100%満たしているに○がついてしまうと、児童労働が落ちるんですよね?

(河口)
全部両方やっているっていうのは、難しいです。それができればいいけれど、全部やっているっていうところがあるのか、どれかを満たせばいいと緩くするか。

(瀧田)
ヒアリングしていると、ここに5つの観点を出してますけれどもこの5つの観点を全部やってるチョコレートメーカーさんは、クラフトチョコレートメーカーも含めてないのではと思います。どれか4つなのか3つなのか2つなのかという印象を持ちました。

(河口)
5つ全部同時にやるのはすごい大変です。児童労働やめさせるためにも、現地に行って児童労働させちゃいけませんという話を1人1人にするというのを、不二製油グルーープのアメリカのグラマー社という米国老舗のチョコレートメーカーはずっと前からそういう活動している。でもその活動内容によると、現地で地元の農家を集めて、勉強会をしょっちゅうやる。そこで親を納得する。具体的には「子供は学校に行く」と合唱させて「はいわかりました」といったことを何度も何度も何度もやって、それでようやく学校に行かせられるという状況なんです。

そしてそれをやりつつ森林だったら、多分森林切っちゃ駄目というだけではなく、その代わりに薪を買えるような現金収入があるという仕掛けをしておかないとできません。木を切ってはいかんと言っても、それがなかったら調理ができないとなれば切っちゃう。日本だったら5つ同時にやりなよと言えるけれど、なかなか言えません。それから場所によって、ここは森がどんどんなくなっているから森林を先にしたほうがいいとか、地域によって優先順位が違うこともあります。本当は全部できたほうがいいけど、児童労働ができるようになりましたね、皆さんそれで学校行けましたよね、今度は森林ね、みたいな感じで上乗せできていくのかなと思います。
カカオではないけど、不二製油がシアバターでやっているのは女性組合との取り組みがあります。シアはプランテーションではなく野生のシアの樹になる実を採取します。シアのみを採取する女性組合の一つと彼らのシアを購入するという覚書を締結しました。そさらにその人たちがシアの現金収入を得られるようになったので、次のステップとして彼らがほかの現金収入を得られるような商品作物の苗を提供し、苗を植えて商品作物を作ってちょうだいということで生活のレベルアップを図りましょうと。それができれば子供たちも学校に行かせられるということを設計していく。これも全部やりたいんだけど一気に全部は無理なので、今のところだったら、土地土地に合わせて、そこに必要なことから始め、どれか1つでもやっていればいい。ぐらいのところからだと思います。

(瀧田)
この5つの中の1つでもいいくらいでしょうか?

(河口)
1つか2つか。適正かつ継続的な取引というのは、活動とは違うので、どういう値段で買うかという話。でも児童労働、森林、生物多様性の保全というのは活動なので、それは、どれか最低1つやっているかにしておかないと。最低1つ、できれば複数あった方がいいんだけれども、2つだと、途端にハードル高い。最初は児童労働から、みたいなところもあると思う。

(瀧田)
どこがしきい値になるかによりますよね、最終的には。私はなんとなく最低でも2つか3つ以上やってないとサステナブルカカオと言えないのかなというふうに思ってました。

(河口)
人権と環境、児童労働と森林、1と3は両方やってて欲しいなっていうふうに思ってますし、最近出てきたところとしては4と5があって、これがオリジナルアイテム農業みたいなパターンとか、ユニリーバも一生懸命言っているし、その上から同時に生産者支援。生産者支援と2はある意味つながっていて、継続的な取引をすることが一つの生産者支援になる。さらに技術支援、学校提供しましょう、井戸掘ったといった活動も入ってきます。

(芝池)
そうすると何らかの基準(第三者認証ISEALに認定されているもの)、もしくは公表して管理をしている自社基準を満たすか、自社基準のうち二つ以上満たすカカオを100%使用しているか。そこが01の話だとここを100%にするのか、やっぱりハードルが高いから50%にするのか。でも、さっきも話が出ましたけど、SKUごとに何%サステナブルカカオが入っているかわからいケースも多いんですよね。

(河口)
会社として100%に達成しようと頑張っているわけで、SKUごとの管理をしているわけじゃないわけですから、タンクに入って混ざっちゃっているサステナブルカカオがいろいろな商品にどう配分されているかは管理できませんね。

(佐々木)
逆に、それはその会社のチョコレートは全てその割合ということになりますよね? 

(河口)
だけど、第三者のフェアトレード認証とかをラベルを付けするにはCOC認証を取ってなきゃいけないので、このラインだけは分けるとかです。フェアトレード認証ラベルのあるものは100%になるはずだから、それはラインを分けているはず。

(瀧田)
でも自社基準の場合は難しいですよね。なので今これが国際的第三者認証と自社基準を並列に語っているから、パーセンテージの設定の仕方がすごい難しくなるということですね。

(山本)
釜の中に全部いろいろ投入するのは基本的に大手メーカーの大量生産製品では普通にありうることで、牛乳なんかもそうです。普通牛乳はもうとんでもない容量のタンクの中に生乳を入れ殺菌しそれをヨーグルトだとか低脂肪乳に割り振るのが普通です。生産者限定のものはそれだけのものに分けてちゃんと作ってやるから価値があるわけですよというけど、それ以外はSKUとしてエシカルだっていうふうに特定できないから、それはごめんなさいでいいと思います。

(瀧田)
今の山本さんの話が前提にあるのでここに100%の数字を置いています。

(芝池)
ただ100%という数字しかないのはどうか。どうラダーを作ればいいのかがわからなくなります。最初に河口さんおっしゃった3段跳びの状態は、これを2つにしたことで、何かこう一段ずつになったのか。

(河口)
これはやっぱりメーカーさんに聞いた方がいいです。何が現実的に可能なのかということを。

(瀧田)
メーカーさんと話している感触でいうと02はおそらくですけれども、1社くらいがクリアする感じで、他はちょっと採点してもらわないとわからないですけど、クリアできない気がします。01はどこもクリアができない。

(河口)
そうすると02と03の間にもうちょっと何か作る感じでしょうか。100%ではなくて、まず、基準を今のところ02は2つ以上っていうことなんですけど、100%がまず無理なのか、2つが無理なのかどっちなんでしょうね。

(瀧田)
100%が無理みたいです。

(湯浅)
会社として50%すでに調達している場合においては、タンクも50%以上と見なすという出し方はできると言っていました。

(瀧田)
でもそうすると、その企業の出しているSKUが全部50%以上と見なして、みなしクリアみたいになってしまう。

(湯浅)
タンクが既に50%以上がサステナブルを調達している前提なので、みなしというよりも会社として調達している量が51%以上であればそれは100個SKUがあっても同じ配分という話ですよね。もしかしたらそうですね49%の商品もあれば50%の商品もあるかもしれないですね。

(瀧田)
混ざっているどっちかというと「企業評価」に近しくなっていきますよね、SKUの評価というよりはその話を前提にしてしまうと。

(河口)
大きなタンクに入れていろんな材料をまぜる素材を作る方法と家電のように1個1個材料持ってきて、組み立て加工するのものとは、選別の仕方が全くちがいますよね。

(瀧田)
そうしたときに何%以下に設定するかにもよるんですけど、このように出ている全ての大手企業の商品は何%かはサステナブルカカオが入っているから、それは全部エシカルチョコレートになってしまいます。消費者側からすると違和感を持つんじゃないかなっていうのもあるので次はしきい値の議論になっていくのかなと、そういうラダーを作るにしても、そのラダーをどういうふうに評価したらいいのかです。

(河口)
1%しか入ってないところと、50%ではやっぱり違いますよね。

(瀧田)
そうですよね。でも大手企業はかなりの割合でサステナブルカカオも調達してるので、その差、パーセンテージの設定の仕方が肝になってくるのかなと思います。

(河口)
現状マーケットがどのぐらいなのかっていうのを聞いた方がいいですよね。平均的なところだったらば安易すぎるから上位に3割が入るぐらいのところに決めるとかっていう感じになるんですかね。

(芝池)
そもそもその認定される商品が存在しうるかという議論があって、ここら辺がしきい値だと難しいです。いずれか1個でもいいからクリアしているのが100%っていうのも、2と3と同じなんですか?

(瀧田)
同じなんです。なので皆さんにヒアリングしてるとこの5つの観点のうち2個ぐらいはやっているんです。だから100%っていうのが無理なんです。

(河口)
50%であればどうなんですかね。50%にしたらば、明治さん以外にもそれならできるよっていう。

(芝池)
現実的な話、もう一つさっき山本さんがおっしゃっていたように、全体の何%かはよくわからないけどエシカルだよねというので納得感があるかどうかはもう少し議論しておけるといいかなと思ったんですけどそこはどうですか。やっぱり現実路線を考えるとやむなしなのか、それともやっぱりそこは譲れないポイントになるのか。

(河口)
1回基準を作って絶対動かさないなら譲っては駄目なんでしょうけど、増えてきたらしきい値を上げてけばいいのではないでしょうか。

(芝池)
それでは今の現状を踏まえると100%難しいから、本当にこれでいいのと思うところはあるけれども、まずは、市場で認知される商品を増やすためにも、50%にしようなどでしょうか。ラインは50%で置いておいて、もう少し世の中的に普及してきたら、例えばこの03はもう消してしまうとか。

(山本)
その段階はありだと思いますが、本当にそういう日が来るかどうかちょっとわからないですね。

(佐々木)
事前に最初の段階で例えば3年後はこうしますみたいなアナウンスがある方が企業に対するメッセージは伝わりますよね。何年後かってその年度はまた協議になりますけど、そうしないと「もうエシカルと認定されたからこれでいい」になってしまう。だからこれでは私達は本来納得していませんというある程度のメッセージは伝えておかないと、今後の企業努力につながらないと思います。

(瀧田)
他の基準もすべてそうで、そういうメッセージは前段に書いてあるので、多分そこは共通でそれをきちんとうたいながらがいいと思っています。フェアトレードもオーガニックも真ん中ぐらいのところがしきい値になっているのですが、例えば3年後は上から2番目のところがしきい値になるかもしれません。それは、日本の進捗に合わせてどんどんしきい値が上がっていくだろうしそのメッセージをあわせて言った方がいいですよね。

(河口)
企業のインセンティブで考えると、今までの事例では、グリーン購入ネットワークのグリーン購入基準というのがあって、最初は低く3割あればいいみたいなのが、どんどん上がっていくわけです。企業はそういう基準ができると頑張るから、そこは最初の高いハードルを全員がクリアしたら意味がないとなるから、どんどん上がっていく。意外と企業は燃える。逆に言えばですね、しきい値は03のところにしてもいいけど、01と03が変わらないとなったときに、公表してこっちが高いというのはわかるといいですね。クリアした以上にこっちはプラチナとか、別の観点でどこかにプラチナだとわかるようにするとか。

しきい値はクリアしているけど、これはクリアしましたっていうようなことをニュースレターのようなもので、さらにプラチナに認定のレベルに行きましたっていうニュースリリースを出すとか。そういうことをやると企業って頑張るんですよ。

(瀧田)
プレスリリースなど出してどんどんエシカルフードを推薦することは強化したいと思いつつも、やっぱりラボのスタンスとしては、エシカルフード基準をクリアしたものの中に優劣をつけないというところがあります。01をクリアしたものも03をクリアしたものも同じエシカルなチョコレートとして出していく。ただ、採点結果を公表することでどんなふうにしているかを見せていくからそこでわかってもらえるといいなと思っています。

(佐々木)
プラチナというように改めて表示しなくても、うちはこの基準において1を取りましたとニュースリリースになるような形に持っていかれればいいですよね。

(河口)
あと細かいことですけど、これ全部数字になっていてわかりにくいです。表の一番下が09と書いてあって、次に01、02、03だとなんだかわかんないので、変えた方がいいのではないでしょうか。例えばABCDにするとか、あいうえおにするとか、違った記号を使うようにするといいと思います。

(瀧田)
はい、わかりました。

(井出)
さっき佐々木さんがおっしゃったように、企業努力も必要だと思います。今もう全部完成しちゃっている、というより、もっと高いレベルを目指すようにしてほしいと思っています。私が注目しているのは、オランダでチョコレートのシェアナンバーワンになった、トニーズチョコロンリー。ここは100%強制労働なしを実現しています。
公式サイトの認証制度に関することを読んでみると、この1・2・3・4・5、だいたい全部繋がってきます。強制労働をなくすというのも、生産者支援など、河口さんがおっしゃってたことに繋がっているし、環境配慮もやっていると書いてあるので、ここを一つのロールモデルにしたいと思いました。

(河口)
日本でもダリケーはやっています。かなりこういうことを包括的にやって農家さん支援をしています。特にアフリカと東南アジアでは教育環境も違うので、インドネシアの場合はあんまり児童労働の問題や学校に行けないという問題はそれほどないから、農家さんの生活支援と技術支援と、それからサステナブルな農業支援をしていたら結構カバーできている所もありますよね。

(芝池)
皆さんにも聞いたわけじゃないんですけど、ここに一旦置いて、でもさっき佐々木さん、井上さんおっしゃってくださったように、ずっとこのままだと思われるとみんな改善しないので、今はこれだけど、今後はもっとレベルアップみんなでしていくという大前提のもとに、まずはあの二つ以上の観点で50%以上しようというところが、しきい値になりますかね。

(瀧田)
50%の数字が妥当なのかがちょっとよくわからないです。

(芝池)
ここに関しては多分今誰も答えを持ってないので仮置きでやっぱりメーカーさんに聞かないとわかんないですかね、3社さんに聞くのかな。

(井出)
ダリケーには聞けないですか?

(瀧田)
もしかしたら聞くことができるかも。

(芝池)
ここで悩んでいてもわからないので、次にいきましょう。1回3時20分ぐらいまで休憩を挟みたいと思います。

(休憩)

(芝池)
では、後半も引き続きよろしくお願いいたします。

中西さんがちょうど戻ってきてくださいました。先ほどまで、カカオの詳細基準の追加としきい値について話をしていて、元々事前資料でもお送りしてた事務局のたたき台について、ハードルが高すぎるんじゃないかという諸々の意見を踏まえたのと、認証が第三者、第二者、自社があるうち、第三者認証が一番優れているわけではないけど、客観的にちゃんと信頼性が担保できるのか、誰が自主的にどういう活動をしていて本当に基準通りになってるかが大事という指摘があり、自社認証にちゃんと基準を設けてるだけではなく、きちんと定期的なレビューをしていて、チェックする体制があるかまで書くことによって、抑止力を働かせようという話が出ました。

2が元々3つ以上と書いていたけど、実際の取り組みを見ても大変だから、ここを2つにしようという話。それと、2つ以上にしたところでクリアできる企業がかなり限られそう。それを本当にサステナブルカカオと呼んでいいかという議論もあったけど、100%ではなく50%使用しているっていうものをその下にもう一つ設けてしきい値にしてはどうかという議論になっています。

ただあくまでもこれがずっとしきい値なのではなく、今は現状に合わせてここに置いているけど、みんなでステップアップしていくと伝える。今の時点では50%という数字を仮置きしてるんですけど、実際のラインがどこにあるかは、ヒアリングしないなかなかわからないところもあるので、ダリケーに確認してみたり、事務局の方でリサーチをして正確な数字を設定できるようにしましょう。ということでカカオ豆については一応の結論が出ました。

基本的にはこの構造をコーヒー豆の方にも適用できるのではないかなと思っているんですけれども、コーヒー豆の詳細基準についても、内容の確認としきい値を一緒に設定をしていければと思っています。

先ほどの観点だとコーヒーもやっぱりここを2つとかにした方がいいんですかね、どうでしょうか? やっぱり扱う品目によってイシューが変わるところがあると思うんですけど、瀧田さん、ヒアリングしててどうでしたか?

(瀧田)
コーヒー豆についてはフェアトレードのNPOの方に対するヒアリングなのでコーヒーメーカーに対するヒアリングではないんですけれども、扱うイシューはカカオ豆と同じで、この土壌汚染に配慮した農薬管理だけではなく、加工過程の管理というのが追加されているという感じでした。

難易度もカカオ豆と同じような感じではないかという感触ですが、チョコレートメーカーほど、複数社に聞けたわけではないので、1団体とコーヒーに知見のある方に聞いたんですけれども、大手のチョコレートメーカー3社に聞いたというほどの情報をベースにしているわけではないんですが、カカオ豆と同じような形なのかなという印象を持っています。

(芝池)
カカオだと原料として混ぜますがコーヒーは基本的に豆で売っていたりするので、100%なのかなと。

(佐々木)
でも豆だけじゃなくてドリンクも対象ですよね。そうすると混ざる可能性もあるんじゃないかな。

(河口)
コーヒーに関しては結構プレイヤーがたくさんいて、名を売っているところもいるので、ある意味100%がやりやすい状況でもあると思います。一方で大手の飲料メーカーがそのコーヒーを使っていて、それをエシカルなものにするのもありなので、結構これは幅が広いですよね。

豆は、フェアトレード100%みたいなのも結構普通にスーパーでも置いていたりするので、こっちの方がやりやすいですね。企業の方としてもISEALに入って参加しているような認証のコーヒーが多分たくさんあります。

(芝池)
ジャストアイディアですけど、そういう意味だと、もしかするとこのはしごのかけ方は、コーヒー豆と同じにしておくけれども、カカオよりはもう少し調達がしやすいだろうと考えると、しきい値は50%ではなく2つ以上の観点を確保したものが100%みたいなところになったりするのでしょうか?

(河口)
コーヒーだと豆なので、調達してそのままです。液体のチョコみたいなカカオよりはもう少しやりやすいような気もするんですけどね。大規模なラインじゃなくても、もうちょっと短いラインでもできそうだから、コーヒードリンクだったら豆の50%がフェアトレード認証とかはありえなくて、その場合、クリームやほかのものでコーヒードリンクにするような気がします。

(森枝)
でもコーヒー豆のシングルオリジン、豆の種類、地域の名前で売り出していたりもします。いくつの農家がそれを集めて、そこの時点でミックスしてるかは違いますよね。集めたものが全部エシカルなのか、ケニアといった名前で出しているところもあります。ゲイシャというように品種で出したりも。それを集めて一緒にしてるだけだから、実は誰がどう混ぜているかは、調べてみないとわからないこともあります。

(河口)
どの段階で混ぜるかですよね。トレーダーさんみたいなのが農家を回って全部まとめていると訳がわからない。だけど結構コーヒーは認証を取っているものは既に売られています。カルディとかでも、いろんなバードフレンドリーコーヒーとか女性の組合の何とかコーヒーとかそういう形で豆を売っているから、豆は袋に入れておけばいいので、そういう意味では選別しやすいというか分けて置いておきやすい気がします。

(森枝)
大手は難しそうです。農家の単位が大きいブラジルとかもあるので、結構細かにおってみたほうがいいのかもしれません。個でいいことをやっている人たちがいっぱいいるからそっちに行きやすいけど大きいところは結構集めていると思います。

(河口)
ただ一方で消費者はフェアトレードのコーヒーが手に入る。スーパーでも普通に見かけるので、それは多分100%です。さっきカカオで50%がどうという話になったけど、コーヒーは100%のものがたくさんあるので、基準を満たせるものが手に入ります。カカオはそれでは商品がなくて結局誰も買えないというのがあるから敢えて下げましたが、コーヒーは100%のオーガニックだとかフェアトレードのコーヒーが普通にスーパーで手に入るから、50%みたいなものは一切考えなくてもいい気がします。

(芝池)
観点は二つでいいんですかね。フェアトレードみたいに生産者支援を手厚くやっているのと、レインフォレスト・アライアンス認証みたいに森林の方を手厚くやってるのと、やっぱりいくつか力の入れどころがあると考えると、さっきのカカオ同様、全部網羅的だとやっぱり難しい現実があるのであれば、やっぱ二つみたいなのが妥当なんですかね。

(佐々木)
すぐに思い出せないですが、コーヒーで表示があるのは、フェアトレード認証かオーガニック認証か、レインフォレスト・アライアンス認証かどれか一つであって複数書いてるのはあまり見ない気がするんですね。そんなことないですか?

(瀧田)
なので、多分自社基準の中で複数になるのかなと思います。

(芝池)
これはそんなに皆さん悩まずに、この項目としきい値で割と納得感ある感じですか。

(河口)
カルディなんかで並んでいるのは女性組合のもの、その隣にレインフォレスト・アライアンス認証がいて、その隣にバードフレンドリーがいるみたいな感じだから、やっぱり売りは一つという感じですよね。

(芝池)
そうすると、女性組合のここら辺、これと何か合わせてちゃんと適正価格での取引をしていたら、二つクリアは結構ありそうですね。

(河口)
女性組合のは女性の金銭的サポートしかしてないかというと、そこがメインだけれども環境配慮とか、フェアトレード認証でも基準を細かく見ると、環境配慮もやっていたりします。フェアトレードだから環境のことは見てませんよという仕組みにはなっていないので、何を前面に出すかっていうことだから、中身を見ているとフェアトレードでも森林のことやっているという結果になるのかもしれません。
それはフェアトレードのコーヒーの認証を見ないとわからないけど、フェアトレード認証だと、多分この二つか三つかはちゃんとカバーできていることになっているのではと思います。

(瀧田)
そうですね、調べたらやっぱりそれぞれ、全部観点としては入っていました。強弱があるだけという感じでした。

(河口)
だからコーヒー豆を売っているだけだったらここにある01は結構多くの商品があると思うんですけれども、コーヒーを原材料の中に入れたコーヒードリンクになると、02があり得るのかなと思います。どうですかね。

(瀧田)
1から5の観点は結構あっているということで、全体の何%ぐらいいるのかみたいなことを企業にヒアリングは不可能だと思います。そもそもチョコレートメーカー3社さんにヒアリングできたこと自体が割と奇跡で、そんなルートがないのです。そこでいくと、この02番が割と現実的なのかなというようなという感触があります。

コーヒーメーカーもある会社さんとかあったりしていますけどなかなかちょっと厳しいかなという感じです。

(山本)
でもカカオより、コーヒーの方が絶対にメーカーとしてやりやすいですよね。フェアトレードの発展って結構コーヒーと密接に関わっているので、カカオよりも論点が少ないってことだと思うんですよ。

(瀧田)
しきい値も02でいいと思いますか? 第三者認証取っているから逆にこの1の5つの観点を満たしたみたいなことが関係なくなるからいいんじゃないかということですか。

(山本)
いや、あの、さっきおっしゃったように、そのフェアトレード認証にしても大体カバーしてますよねと言えることが多い。

(瀧田)
チョコレートは日本のいろんな企業を調査したら認証ではなく自社基準がメインだったからこの5つの観点がよりクローズアップされて、その中の何個ぐらいちゃんと頑張っていないと駄目だよという考え方のもとしきい値が決まったと思います。コーヒー豆はむしろ認証を拠り所にしている企業さんが多いので、この5つの観点というよりかは、第三者認証でみんなクリアになるから、1がしきい値でも高くないよってことですよね。

(芝池)
ただ第三者認証をみんな取る前提だと、元々フェアトレードだとカバーできなから追加出しをしたので、フェアトレードも有機は一番上にあるので、コーヒー豆は第三者認証を取っているよねとなると、この追加出しがそもそも要らなくなる可能性があります。カカオと比較してやっぱりコーヒー何でも同じようにそういう動きをしっかり拾った方がいいかどうかがもしかしたら論点かもしれないですね。

(瀧田)
現実的に自社基準の採用しているところもあるので、確かにそうですね。
そうすると01のしきい値がかなり高いレベルになりますか? もし自社基準でやっている場合、1から5全部、頑張ってないといけなくなるんです。チョコレートでは、4が結構難しいという話を聞きました。チョコレートだとこの5つの観点全部やってるところなんてないということだったのですが、それがコーヒー豆になるとどうか、ヒアリングの件数が少なくすぎて、日本の実情はちょっとわからないです。

(佐々木)
1、2、5と3、4って人にフォーカスするか環境にフォーカスするかでだいぶ変わってくるじゃないですか。1、2、5については範囲として小さい取り組みで行けたとしても、3 と4に関しては自分達だけではできないこととかいろいろあるので、なかなか取り組みにくいというのはありますよね。地域でやらなくちゃいけないといった話になってくるとこもあるので全部やるのは難しいですね。

(瀧田)
そうすると、しきい値は02になりますか?

(芝池)
みなさん、手をあげていただきましょう。

  1. 2分後に私が聞きます。

しきい値は01のほうがいいと思う方? 森枝さん。
02のほうがいいと思う方?

(有福)
01が森枝さんだけですがその理由は?

(森枝)
02も2つ以上か、と思っただけです。01は強い、02は弱いと思っていた。皆さんが2個でもいいなら大丈夫です。

(芝池)
02だと2個なのかと思われた方ほかにいますか?

(中西)
確かにもう一度改めて見ると労働の部分と環境的なものと、金銭的な部分の3つ揃うとそれはいいよねというところはあります。ただ、先ほど言ったフェアトレード認証になると、網羅的に3つとなるものもあるので、それをどう取るか。2つとしていても、認証とか実際には網羅されていたりとか、必ず入ってくるのかなと思いました。

(河口)
第三者認証であれば大抵のものはこの12345の観点があるよねという話をしていたかと思います。となると、01で第三者認証取っていたら、もう自動的にカバーされてて01になるようにも思いますが、だとなると02は、なくてもよくて、認証は取ってないけど、3つ以上の観点について、以下のことを満たしていればOKでいいのではないですか。

(芝池)
だからカカオにもこういうことでしょうか、第三者認証の場合は大体三つはカバーしています。

(瀧田)
そのラダーの作り方は第三者認証がもうどうしてもトップで、自社基準はその次に来るという作り方になるんですけれども、それはそういうことで合っていますか。それからこの第三者認証といってもいろいろなタイプがあるので、この5つをカバーしていなければ駄目ですよね。なのでカカオは元のままだと思いますが、いかがですかね。

(河口)
カカオとかコーヒーの場合は、ISEALに限定されていると言っても、認証の数が決まっているので、列記するほうがいいのかもしれません。レインフォレスト・アライアンス認証なら5つとか、フェアトレード認証だったら、3つしかカバーしていなら2のほうに行くとか。第三者認証を一緒くたにしない。

(佐々木)
基本的に認証名は出さない方向性でいたんですよね、確か。

(瀧田)
そうですね。

(芝池)
第三者認証と自社基準の取り組み優劣の差をつけないという観点で01に並列になっている。ここの観点のうち、全部じゃなくていくつかっていうふうになると、国際的な第三者認証はここの間を二つ以上備えてるんだとすると、そこで優劣ができるのは仕方ないですね。

(瀧田)
そうか、01から自社基準を取るわけではなく残すんですね。ならばいいと思いました。

(芝池)
ここで国際的な第三者認証の内容は常に一緒。違いが出ているのは、自社基準の場合の観点の網羅性じゃないですか。だからここで第三者認証の表記だけ日本語的に取った方がいいかなということです。

(瀧田)
02と03に認証がなくなったということですよね。

(芝池)
そうです。今の中西さんの指摘で気づいたんですけど、コーヒーも同じ。第三者認証を取って、第三者認証は3つ以上カバーしてるだろうから、ここは2つが妥当。みなさん、この基準のしきい値に納得感はありますか?

(森枝)
少ないかもしれませんが、カカオとコーヒーをどっちもやっている人たちが見て、一瞬どう思うのかな?と思いました。

(芝池)
そこに関して事務局で話していたのは、扱う原材料によって、イシューの深刻度も違えば、調達の難しさも違えばっていうふうに、いろいろ条件が違うので、基本的になるべく体裁整えつつも、まったく同じ条件にはならないという話はしています。コーヒー豆とカカオ豆がなんか似たようでちょっと違うところがそこのニュアンスの違いを加味しているんだということが、ちゃんと見た人に伝われば問題ないんだろうなと思います。そこがクリアにコミュニケーションできないと、なんでこれ違うのって思うかもしれないですよね。

(河口)
一応これで出してみて、メーカーさんの方で違和感があってこんなに差がついてるのは変だとなれば、そこで修正を入れるとすればいいと思います。テスト版としてこれでいきたいんですけど、と出しておけばいいと思います。我々から見ると、コーヒーとカカオではその難易度が違うし、消費者の感覚としてスーパーで手に入ることを考えると、コーヒーの方がハードルを上げても問題ないように思うので、それが全然違うんだよというメーカーさんの意見があれば、その段階で、考えればいいように思います。

(芝池)
そういう結論で次に進んでも大丈夫ですかね。森枝さんがおっしゃってくださったような、調達の06を見たときに、材料ごとのバランスを見比べたときどうかというのは、もう1回見直した方がいいかなとまさに思っていたところだったので、この後その話をしていければと思っています。

冒頭にも少し話しましたが、もともとしきい値をもう1回全体的に見直した方がいいんじゃないかという出発点としては、主要なマテリアル、主要な原材料の設定をして、それがクリアしてないとエシカルフードと言っていいのだろうかどうか。みたいな企業さんからの意見があり、そこから端を発しているので、事務局としての判断と、理由を改めて瀧田さんから共有いただければと思います。

(瀧田)
はい。スモールスタート企画のためにチョコレートメーカーさんと対話をしている中での、ある会社さんからの申し出というか、基準を細かくいろいろ見てくださって、そこからの問いでした。
「フード評価」の06の中で言うと、現状芝池さんが説明をしてくださったように、SKUの中で使われている原材料の何か一つに○がつけばいいという構造になっているけど、例えばチョコレートを題材にしたときにカカオは別にサステナブルカカオでも何でもないけど、RSPO認証のパームオイルならば、それはエシカルチョコレートになってしまう。本当にそれでエシカルチョコレートとして世の中に推薦していいのかと問われました。

それは消費者の観点からに立って考えると、確かにわかりにくいなということは受け止めて思いつつも、そもそもラボの基準セッションのスタート地点に立ち戻ると、日本でエシカルフード市場がなく対象商品も少ない中で、未来に向けてできるだけ多くのエシカルフードが生まれていくといいよね、できていることを褒め称えようという発想を大切に「フード基準」の06の何か一つでも原材料がエシカルだったらいいよという構造が生まれていることを考えると、現状のままの基準でいいのかなと事務局では話し合っていました。

もう一つすごく難しいのが、主要マテリアルを決めて、それが06に当てはまるかどうかの採点は、チョコレートだとわかりやすいかもしれないけど、たくさんの原材料を使っている商品だったり、例えば野菜ジュースでも水が原材料のメインだったりするような商品だと、主要マテリアルを単に重量だけで決められません。何をもって主要マテリアルと決めたらいいのか。これはドラフト作りのとき山本さん、佐々木さん、藤田友紀子さんと共にお話してたこともあるんですがやっぱりどう考えても難しいよねというところで現状この構造でいいのではないかと考えています。

ただ、もう1回今の06の基準のしきい値を見直してもいいんじゃないかなというところで、今日の二つ目のテーマになっています。

具体的に言うと、全然サステナブルじゃないカカオたくさん使っていて、パームオイルがRSPO認証で言うところのブック&クレームがしきい値になっているけど、それを本当にエシカルフードとして推薦していいのか。それぞれの観点で、原材料によって難易度も違いますし、取り巻く社会問題も違うけど、もう一度見直してもいいのではということでした。

(芝池)
わかりやすい例で言うとRSPO認証があれでいいんだろうかというのがフィードバックを受けて、要はそのパーム油はどちらかというと、いろいろな加工食品に少しずつ入っています。そこがブックアンドクレイムだったとしても、そこさえクリアできればエシカルフード認証となってしまう、それでいいのかというところです。反対に主要マテリアルじゃないからこそという観点。ブックアンドクレイムに設定した理由が、パーム油の調達は元々難しいからそこに設定されていたことを思い返しつつ、もう一度改めて調達の06を全体的に理解した上で、今のこの設定で問題ないかを皆さんと確認、話し合えればなと思っています。事務局としても明確な答えがあるわけではないんですけれども、RSPO認証のところは一つ論点になると感じているところです。

(河口)
ごめんなさい、ちょっと電話がかかってきたので若干議論に参加できてなかった部分もあるんですけど、パーム油に関して、もうブックアンドクレイムは事実上はないと思います。最低限マスバランスで、その上のセグレゲーション2番目ぐらいじゃないと、語れない状態にはなっています。そこは最低限マスバランスはとっていないと、と思います。

(芝池)
ここからなんですけど、せっかくなので、割とオープンなテーマということもあり、ブレイクアウトで二つに分けて話をし、全体に戻ってきたいと思っています。

(瀧田)
芝池さん、基準としきい値が今こうなっていますというのは、部屋を分けて皆さんに共有しますか?

(芝池)
今、ざっと共有しておきましょうか? 今日の冒頭に共有したスライドの資料の中に、調達の06の詳細基準で今しきい値になっているところだけ抜粋して書いています。11ページと12ページです。果たしてこれが見やすいかどうかっていうところはちょっと置いておいていただいて、今01がオーガニック原材料ですけど、これは有機JAS認証または同等性を持つオーガニック認証を受けた製品重量ベースで50%以上になっています。これが3番目に設定されているものですね。

農産物に関しても上から3番目。重量ベース50%以上、こっちは2者認証、ただし以下の観点を含むものっていうふうになっています。畜産物に関しては重量ベースで50%以上ここに書かれているすべての観点について、自社基準を持って運営しているもの。さっきのカカオに近い感じですね。ただここが全てになっています。水産物は重量ベース50%以上で、第三者認証取得している。養殖、天然ともにそうなっています。

フェアトレードに関しては、第三者認証を受けたものの重量ベースに10%未満でも使用している。パーム油は、今、胸を張れないと言われたブックアンドクレームにはちょっと現状はハードルを下げるという意味になっています。

09と10に関しても先ほど話したカカオとコーヒー豆について、ここに反映させているような状態です。

ちょっと様子見つつ、15分か20分ぐらい、2つにわかれてお話してみたいなと思います。もしあんまり話が広がらないようだったら、ちょっと早めに全体に戻ってこられればと思います。

(グループ1)

(有福)
スプレッドシートのURL共有をしました。06のしきい値を改めて考えましょうという話です。そもそも、なくてもいいじゃんみたいな話もありますし、改めて見直してもいい部分もあるかななどご意見はあるかと思います。大前提の考え方としていろいろメーカーさんにもヒアリングさせてもらってるだけ実態がわかってきたっていうところがありますが、企業に迎合してわけではなく実際に少しでもより多くの商品がちゃんとエシカルフードとして生活者の人たちが手に取れるようにする。バランスを見ながらというところになるかなとは思うのですが、見直した方がいいとか、変えないみたいな大前提のところの話ができればと思います。

(井出)
カカオがサステナブルじゃないのにパーム油の認証が取れているから「エシカルなチョコレート」になるのは違和感があります。主原料が認証ではないのに、サブの原料(副原料)が認証だから「エシカル」となるのも、ちょっと、、と思います。重量順にする必要はないのかなと思いますが。

(佐々木)
私も井出さんおっしゃったように、ちょっと違和感あるなと思ったのですが、いろんな商品を考えたときにどうやって適用できるんだろうなと思って。例えばコーヒー牛乳だったら、主原料どれとか、シーフードピラフだったら主原料はどれとかいろいろ考えると、それぞれそのSKUに対して、主原料設定が難しくなります。

(中西)
チョコレートみたいなわかりやすい商品だったらわかるんですけど、ものすごく広いバラエティー中で、一律の考え方をそこにも持ってくるのが難しいとなったんですよね。それを解決する方法であればもちろんお聞きしたものにしたいですし、主原料をどう考えるか、重量なのか、何が課題としてでてくるのか、いろいろやってみたいのですが。

(佐々木)
コーヒー、砂糖はそうでなくても、牛乳はオーガニックミルクだとなればそれでいい?ということになります。いや、やっぱりコーヒーで取ってないと駄目でしょうねと思われる方もいるかもしれないし、でも牛乳の方が分量多いから牛乳でいいんじゃないとかすごくここは難しいですよね。

悩んで悩んで悩んだ結果、それはもうそれぞれの商品のしきい値を精緻化することでどれか1個でも取っていればいいとするしかないという結論でした。でもそれももちろん皆さんのお考えでひっくり返していただいても全然構わないので、ご意見いただきたいです。

(中西)
最初の印象はすごくあります。最初に商品がエシカルとなったら、もうそれでいいとなります。その後、取り下げるとかはあまりないと思うし、後からの変更のイメージはつきにくい、努力を重ねることで称賛されていくこと。

(佐々木)
それぞれの評価項目のしきい値は徐々に年次ごとに上げていくというのが見えているので、そこで脱落してしまう人も出てくると思うんですけど、同じ評価項目で後から上がっていける方がいいですよね。

(井出)
今回、メーカー側からこういう問いかけが出てきたっていうところは、やっぱり大きい気がするんですよね。原料原産地表示の重量比で50%以上が対象とか表示のやり方もあるのかなとも思います。チョコレートだと、やっぱりメインはカカオじゃないかな。私の印象だと、豆腐の大豆がサステイナブルではないのに、にがりがいいなら「エシカル」というような感じ。

(佐々木)
グリーンウォッシュの香りがします。

(有福)
その感覚ものすごくよくわかるなと思っていて、頑張っていても大豆を頑張ってないと意味ないじゃんみたいなところの感覚が、生活者もメーカも共有できるような気はするんですよね。

(井出)
そうですね。遺伝子組み換えのときも重量比です。重量比で決めざるを得ない場面も結構あるのかなとも思いますけどね。

(佐々木)
でも多分コーヒーとかだったら全然重量比50%行かないですよね。コーヒー飲料ドリンクで、コーヒーですけど、コーヒーを使っている分量はすごく少ない。だけどやっぱりメイン商材はコーヒーだよねという消費者の意識になると思います。

(井出)
ミルクコーヒーだと、ミルク70%など、含有量が多いのを選ぶので、私にとってはメインがミルクでコーヒーにはこだわらない。でも他の人にとっては逆の場合もありますよね。

(中西)
カフェラテとかだと、コーヒー側でフェアトレードの話ができます。原材料が多いとなるとミルクだけど、消費者の印象とちがったりします。

(佐々木)
だから一つ一つのSKUに関して、こちらが設定するとなるとそれは不可能。何かルールをつけるとなったときに、どうつくるか。羊羹でも、お砂糖が認証取っていれば◯が付くのかというとそうではなくて、多分、あずき。

(中西)
これ2つとなるとどうだろう。1、2ってやると結構食品収まるんですか。主要な原材料2個。

(湯浅)
複数だと難しそうですね。例えばチョコレートだったらカカオも砂糖もみたいな話になるということですもんね。しきい値が1個でも難しい中二つになるのはどうでしょう。

(有福)
生活者側の手に取る意識と、メーカー側の意識のずれみたいなところでウォッシュっぽく取られることもあれば、実はそうだったんだと生活者側も学習するみたいな感じになる部分がある。そこの差が難しいなと皆さんの話を聞いていて思いました。

(井出)
業界団体にもヒントがあるのかな。清涼飲料水の複数のメーカーが所属している業界や、先ほどの羊羹の例でも、どの原材料をどう考えるか、といった、食品に対する考え方があるかもしれないですね。もしかしたらそれもヒントになるかなと思います。羊羹業界では、砂糖よりも小豆を重視しているかもしれないですし。

(有福)
業界ごとに課題が違うのかもしれないですよね。チョコだと先ほど言ったようにパーム油よりもカカオみたいな話があったり、シーフード系だと、やっぱり小麦より魚の方をちゃんと見ましょうとか。調べる必要があるかもだけど、難しいですね。

(佐々木)
例えば、シーフードピラフの中にエビとカニと帆立貝と何とかが入っています。そのときに重量比でどう考えるのか。「エビだけじゃ駄目」という人と、「エビだけでも頑張ってたらいい」という考え方もあると思うのでどれを一番重視するのか、全部の重量に対して何%入ってたらいいのかとか、もうそれぞれの商品で違います。

素材だったらわかりやすいけど加工品なので、いろんなものをどう使うかは本当に様々ですよね。なので、一律にはちょっと言えない。洋菓子の中でもチョコレートだけならわかりやすいですけど、焼き菓子と生菓子とフルーツを使ったりとかはもう考え方がそもそも違ってたりするので、悩ましいです。

(グループ2)

(芝池)
私の方で、さっきのスプレッドシートかスライドか表示してた方が話しやすいですか? それとも、皆さん手元で見て表示しない方が話しやすいですかね。

(河口)
できれば表示していただいた方が、勘違いがなく同じものを見ていると思えるので。。

(芝池)
さっきの河口さんのご指摘だと、パーム油は、04じゃなく、どこまで上げられますかね。

(河口)
不二製油で調達しているパーム油、公開しているデータでは3割以上がRSPOになっているので、いろいろなレベルがあると思いますけれども、多分もう最低マスバランス以上だから、04だと低すぎるかもしれません。上げてしまっていいと思います。それから、パーム油使用では日清食品がでてきますが、原材料というよりは揚げ油で使っているので、原材料にはパーム油はあまり入ってないと考えられます。それをどう扱うか。重量ベースで半分以上って言ったら入ってはいないけど、パーム油の大手需要先としては、日清食品が出てきます。

(瀧田)
それでパーム油だけは「製造過程」においてと、なっています。

(河口)
買いたくてもロットが手に入らないんじゃないかな。

(瀧田)
そうすると02をしきい値にすると、現実的に買いたいのに買えないという感じになるんでしょうか。

(河口)
今のところは03。でもせめて03ですよね。

(瀧田)
チョコレートでカカオが何も配慮されてないのに、パーム油だけがマスバランスのパーム油でそれをエシカルフードということに対してはどうですか? チョコレートはカカオじゃないとだめとか、1個1個主要マテリアルを決めていかなくてはいけないことになって、それはそれで現実的ではないですよね。

(河口)
そういうふうに採点したい会社は結構あるんですか? 今の条件で、カカオは置いておいて、パーム油がマスバランスだから、これエシカルなチョコですと言いたいなあという企業です。

(瀧田)
そういう話は聞いたことは今のところはないです。もしかしたら中小企業の中にはそういうニーズがあるかもしれないなと予測しています。大手企業はあまり言わないと思います。そもそもお菓子メーカーさんから、パーム油だけがエシカルだからってチョコレートをエシカルというのはおかしいと言われたぐらいなんで。

(山本)
例えば、オーガニックジュースを考えたときに、砂糖がフェアトレード認証を受けているけど、肝心の果汁成分は何でもないみたいな、そういうバランスの悪さの話なんですよね。

(河口)
消費者がチョコレートがカカオでできていて、そんなにパーム油なんか使っていないと思っているけど、実は使っている。それは消費者のイメージを大きく裏切る感じになる。まだジュースに砂糖が入っていて、というのは理解できるけどでも、何でとなるものは非常に多くありそうです。

中小企業はそんな変な小技を使うくらいだったら、カカオの方をおすと思う。そんなせこいことをしても誰も評価してくれないっていうのは多分わかっていると思うので。

(瀧田)
だとすると、パームオイルをRSPO認証のマスバランスを買うような企業だったら、カカオも当然サステナブルカカオにしているから、あまり心配していることが起こりにくいという感じですかね。

(河口)
チョコレートと言ったら、カカオのクオリティで決まるので、それだったらついでに副材料のRSPOパーム油も、と思うけど、副材料の認証取ったからそれはサステナブルとはならないのではないでしょうか。

うちで今度売り出そうとしているビーガンチョコは、乳製品を豆乳製品に変えるから、ビーガンチョコと売り出そうとしていますがよく考えてみたらチョコレートなのになんで乳なのと。森枝さんに食べていただいたんだけど。あれをビーガンだと言われて納得感があるかな、ビーガンと言うからには別に乳製品もそうやって代替しているからいいけど、せめてカカオは認証カカオじゃなかったら、付加価値は高くないですよね。

(瀧田)
今のお話を踏まえると、大手企業は消費者とか、第三者の目があるから、主要原材料を頑張っているはずで、あまり不思議なことにはならないという理解で合ってますか? 私達が一番心配しているのは、主要原材料を頑張ってないのに副原材料が基準でクリアしたら、この構造でエシカルフードとして推薦していくということです。このラボは元々頑張ってるものを讃えて少しでもエシカルフードを広めようという発想なので、それぞれの基準が甘すぎないか。もしくは他の観点もあるかもしれないけど、見直した方がいいよねというところです。今回は、大手企業版なので、対象となる大手企業において問題ないという理解ですよね。

(河口)
性善説にのっとればです。

(芝池)
でもこの基準は性善説ですからね。ほか、全体的に見て、気になるやつとかありますか? 

(山本)
メーカーの人からこういうのはどうなんだろうかと相談されたというのは、主要マテリアルという言葉があったじゃないですか、原材料であるべきものという意味で主要マテリアルって言ってるわけですよね。

(瀧田)
ドラフト作りのときに山本さん、佐々木さん、藤田友紀子さんともかなり議論したと思うのですが主要マテリアルの定義がとても難しいです。何をもって主要マテリアルとするのかが商品カテゴリによってだいぶ変わってきてしまいます。重量だと共通して規定できるねとなったのですが、重量だと本当は野菜ジュースなのにトマトよりも水が多いので水が主要マテリアルになってしまって本末転倒。チョコレートのような商品はやりやすいですが、いろんなSKUがあって例えば20種類の原材料が入ってるトマトのパスタソースはどうするんだとなると、現実的ではないかと思います。

(山本)
佐々木さんともそれを話しましたよね。基本的に主要マテリアル的なものから外れたものを押し出すようなマーケティングは現実的にはメーカーはしないだろうという性善説的な話になりました。

(芝池)
中小企業はわからないですよね。

(瀧田)
中小企業の基準は今後作ると思うんですけど、7月14日に、その時はまた別の観点が必要かもしれないですね。

(河口)
採点してもらう人には工夫しないと。ガイダンスというかオリエンテーションをやった方が、こういう形ならここに◯をつけてくださいねとかしないと、拡大解釈して勝手に採点してしまうということですよね。あくまで自己採点ですが、採点のコツとしてはこういうふうにやっていただけますかというのは、やった方がいいです。お問い合わせ窓口としてはそういうことを相談に乗りますと言った方がいいんじゃないですかね。そうしないと、ずれたことを公開してしまうと。

(森枝)
そういう人はいますよね。悪気がない。

(河口)
だから大企業でそういうアンケートに答えている人たちは、これで意味していることはこういうことだとわかるけど、中小企業で生まれて初めてそれを見たとなると別です。

(芝池)
ちょっと脱線してしまったので、次回の楽しみにとっておいていただいて。若干気になったのはさっきの主要マテリアルみたいな考え方をしたときに、副原材料でクリアとならないかというのもあったんですけど、カカオ豆は5つ観点があるうちの二つみたいなふうに、結構現実を見ると難しいというところで、刻みました。それと比較したときに、例えば50%とか、ただしこの観点を含む、すべての観点含むとか、そこら辺がハードルが高すぎないのか気になりました。さっき話したように畜産と農産物と水産物と、カカオとパーム油だと全部置かれてる状況が違うので、横並びにしたいわけではないんですけど、何かふと気になってしまいました。

(森枝)
ワインとチョコなんか嗜好品の中でも作ってる国の環境で全く違いますもんね。児童労働はキリがなくなるから僕は話さないけど。

(芝池)
それだと結構畜産は日本の進捗的には難しいけど、すべての観点となっている03番がしきい値になっていますけど、やっぱりここなんですかね?

(山本)
厳しいですよね。

(芝池)
さっきの例えば主要マテリアルみたいな話で、例えばハムやソーセージとかはクリアしてないけど、副原材料でクリアしたハムソーセージ、肉の加工食品をエシカルと考えるか。ミートソースみたいなものがあったときに、肉は駄目だけど、野菜はオーガニックだからそっちでクリアするでいいのか。肉が入っていると認識する食品で、実は畜産はクリアできてないみたいなことをどう捉えるかにもよるかなと思うんですけど。

(河口)
ソーセージはお肉を食べているとみんな思っているので、いろんな添加物が入っていますけど肉が主要原料だし、そのお肉の評価で決まります。問題はミートソースの場合、意外とお肉と玉ねぎだけみたいになっていたりするので、肉の比率が高まるけどトマトソースでオーガニックをとっているというのはありうる。

(芝池)
これもここオーガニックに該当する原材料、農作物のうち50%がミートソースの中の野菜の分量でとるのもありますね。

(河口)
今のところ50%というのをオープンにしておいたらいいのではないですか。企業がいろいろと工夫して、そのおかげでオーガニックの玉ねぎ市場が広がるのであれば、それはそれでいいんじゃないかと思います。

(芝池)
改めて見ると畜産のしきい値を満たすにはすべての観点が必要なので結構ハードル高めですが、ここはここを目指さないといけないという意味で、あえて変えずにこのまま置いておいて、他で点数取れるようにですかね。

(山本)
畜産の部分で客観的な数値目標をもって都度チェックを行う自主基準がありうるかという話に関して、日本畜産協会技術協会が出しいてるアニマルウェルフェアの管理指針っていう文書があります。それはとてもハードルの低い基準ではあるんですけど、アニマルウェルフェア的な観点を導入しているといえる一歩にはなるので、良いかなと僕は思っています。

ただ、客観的な数値目標が書かれているものもあるし、書かれてないのもあります。その一方で、山梨県がこの間、独自のアニマルウェルフェア基準と認証を打ち出していて、それは内容的に評価できます。それに追随するところも出てくるとは思うので、気持ちとしてはこれを、堅持したいというのはあります。

(河口)
1回やってみないと、我々がイメージしやすいものとそう来たかみたいなのが出てくるので、とりあえず1年間パイロット的に走らせて、そこでもう1回見直そうというのがいいかと思います。

(全体に戻る)

(芝池)
最後、白熱したとこで河口さんが消えてしまいました。それぞれのグループでどんな話が出たのか、簡単に共有できればと思いますが、有福さんのところはどんな感じでしたか。

(有福)
そもそもしきい値自体を見直すかどうかみたいなお話からスタートして、SKUごとに主原料設定を見直すとか、設定し直すのが本当に現実的なのかという話がありました。例えばコーヒー牛乳で、牛乳オーガニックだけどコーヒーはそうじゃない場合はどうするんだ、逆にコーヒーはエシカルだけど牛乳はエシカルではない場合はどうなんだろうかとか。

商品ごとに何が主原料というふうに見ると豆腐、魚肉ソーセージといったような個別の話になると設定しづらいので一律のルールみたいなところはつくれるのか?という話が広がっていきました。例えば一つの原材料じゃなくてトップ1、2の原材料を対象にしてもいいのかなとか。でもそれだとやっぱりより◯が取りにくくなるという話だったり、業界団体ごとにもヒントがあるかもというところです。清涼飲料水の団体で何を改善していこうとしているかなどそういうところでもヒントがあるのかなとか。

でもシーフードピザでいうと、シーフードの中の原材料でエビだけでも頑張っていればよしというふうにするか、シーフード全てが頑張ってないととなるのか。一律なルールみたいなところを作りづらいのでどう対処するといいのかなっていう話でした。

(芝池)
ありがとうございます。菓子メーカーさんからの主要マテリアルの定義に関して話してくださったっていう感じですね。じゃあもう1グループについて、瀧田さんに共有してもらってもいいですか。

(瀧田)
こちらのグループはやはり主要マテリアルを設定するのはなかなか難しい。そもそもそれぞれの基準が本当に現状の構造の中で適切なのかというところで、まずパーム油については、今04のブックアンドクレームがしきい値になってるんですけれども、それはちょっと低いんじゃないかという話になって、最低でも03番のRSPO認証、マスバランスが適切なんじゃないかなということで、パーム油についてはしきい値の変更の話題があがりました。

続いて他の詳細基準についていろいろと議論をしていた中で、カカオが大切な観点のうち
2つを満たしていればいいという基準になっているので、それに倣って他の原材料を見たときに、例えば畜産は、全ての観点について客観的な数値目標をもち、みたいなものがしきい値になっているけど、それは日本において現実的なのかみたいな話をしていました。その中でも山本さんから客観的な数値目標を持っているかどうかが分かれるという話がありました。芝池さん補足があればお願いします。

(芝池)
はい、ありがとうございます。この畜産に関しては、山本さんがここに書いている観点は、畜産協会が出している管理指針に則っていて、数値まで持っているかはわからないけどそんなに無茶なことを言っているわけではないのでそのままでいいのだろうかという話もありました。あとは、チョコレートのパーム油がRSPO認証だからエシカルフードですとアピールするような大手企業はいないのではないかとか。
そんなことしたら、多分大手企業も、世間から突っ込まれることを重々承知しているからこそ、変なことをやる大手企業はいないから大丈夫じゃないかしらみたいな話を出ていたと記憶しています。

(山本)
ただ結局、我々、限られたサンプルでやっている部分があるので、河口さんがおっしゃっていたんですけれども、1年間やっぱり回してみないとわからないですね。ブラッシュアップの指針も出てこないというところなんですよね。どこかで踏み切って乗り出さないといけないっていう感じだと思います。

(河口)
世の中にまだこういう事例があまりないので実験的にやってみないとどんな反応が出てくるかわからないっていうことがあるのと、副原材料でエコとかエシカルと言っていても主原料がそうじゃないとやっぱり世間からいろいろと言われます。

例えば不二製油の場合も、プラントベースで大豆ミートをやっていて肉よりいいんです。と言っても、当然国産ですよねと言われます。今できていない現状があるので、これはアキレス腱になっていたりします。

だからそのエコなチョコと言ったら世間の人がイメージするのはカカオ。それがまずエシカルであって、それ以外の副原材料もエコにしていくていうことを期待しています。それから外れてメインは放って副原材料だけエコだというものが出てきたとしても、世間はそんなに甘くないです。見る人が見ればわかるから、それをいつまでやっているのかとなります。そうしたらやっぱりカカオも変えようかというような話になり、1年後、レベルアップしてそこにちゃんとメインのところでもという変化があればいいと思います。
だから1年間は実験期間で、この基準は変だよねというのが多々あろうと思いますが、そこはどんどんご指摘くださいと。現実に合わせていろいろと変えていきますというスタンスでやるのがいいんじゃないですかね。

(芝池)
ありがとうございます。

(中西)
私も本当にやりながら展開していくがいいと思います。私がグループのなかでお話していて、消費者的な目線でも思ったのが、例えば主原料だと思っていた羊羹であずきじゃなくて砂糖の方であったりとか、例えば魚肉ソーセージは、魚を買ってるつもりでいたら実際には小麦だったとかっていうときに、正直に伝えると、逆に小麦を食べているのかとなってしまうので、それで主原材料と副原材料両方ではどうかという話をしました。2つは無理だねとなっていますが、悩んだ経緯は、消費者が持っているイメージと実際の主原料が異なることがあります。

(井出)
メーカーの目線で見ると、羊羹メーカーなのに、「うちの砂糖は・・」と砂糖だけを強調するメーカーはいないと思います。重量ベースが砂糖で多かったとしても、やっぱり、こだわるのはあずき。そういう観点から考えていくと、さっき佐々木さんがおっしゃっていたシーフードピラフで、そのメーカーが、えびをフォーカスするのか、どこをフォーカスするかの意識があると思います。魚肉ソーセージのメーカーも、おそらく魚のことをアピールすると思います。

メーカーがどこにプライオリティ(優先順位)を置くかが、一番肝のような気がします。だからこそ、菓子メーカーさんが「パーム油でいいんですか」と聞いてもらえたのかなって。

(芝池)
今の井出さんのお話聞いて、そういうやり方もあるんだと思ったんですけど、元々この主要マテリアルをどう組み込むかをロジカルに整理するのではなく、企業にとって何が一番大事な材料として考えているかは絶対決まっているし、そこについては一生懸命やろうと思っているはずだから、むしろ自己申告制にしてもらうみたいなやり方もあるんですかね。

例えばフィッシュハムの主要マテリアルは、一番重要な原料だと思ってるのはこれだ。それについては、該当する基準がちゃんとクリアできてるかどうか、みたいな。性善説に基づく話にはなりますが、ロジカルに綺麗に整理しようじゃなくてそこはもう皆さん各企業で決めてもらうみたいな解決策もありえるなと今のお話を聞いてちょっと、思いました。

(中西)
人間味ある基準。でも、今の聞いていて、性善説で考えたら、それぞれの企業が私たちの企業はここから頑張ります。この製品のここに自分たちの企業がちゃんと社会貢献していくというか、ちゃんと責任を果たしていきますという表れでもあるのかもしれないと思いました。自己申告というか何かそういう表現はあるのかもしれないです。

(瀧田)
だから逆に加工度が高くて原材料数が20、30みたいなところのSKUであっても、その企業がそのSKUに込めた思いで何かを選んでいただいて、私たちは砂糖で頑張りましたというようなな申告制ということですよね。そういうふうに整理するとわかりやすいなと思いました。

(芝池)
そこがただ有利だから砂糖ではなく、企業として、こうこういう理由だから砂糖なんだよみたいな思いが乗っていれば、消費者にとってもメッセージになり納得感があるからいいという気がしました。

小手先で砂糖で何とかしようと思っているか、そこの理由がちゃんと伝わるかで全然印象変わりそうですね。

(瀧田)
さっきの話をまとめると大手企業はいろいろな側面もあるし、小手先のそういうことはやらないだろうという性善説なので、きっと大丈夫ですね。

(河口)
今言われたように、うちはここをエシカルな売りにしています。何故ならばっていうことをきちっと書いていただいて、羊羹といえばみんなあずきと思ってるかもしれないけど、実は砂糖をこんなに使っていて、もう市場がこんなふうになってるから、私達は一生懸命考え砂糖から変えるのがいいと思ったので、砂糖です。と言えれば、消費者はそんなに砂糖が大事ならそっちでもいいよと思いますね。

でもそれやるなら、今年は許すけど来年以降はあずきもどうにかしてと消費者は思うかもしれません。初年度は許されるけれど、みんなだってハードルが上がるというか砂糖が当たり前になったら今度はあずきもちゃんとやらなきゃとだんだんブラッシュアップされていくから、そういう仕組みにするのはいいと思います。入り口は副原材料でもいいけれども何でそうしたか根拠を書いてもらえばいいんじゃないですかね。

(佐々木)
複数の原材料について頑張ったときも、プラスで◯がありました、ないです、なのでここは複数クリアしても、項目06の◯1個だし、1個クリアしても項目06の◯1個で、◯の見え方としては変わらないんですけど、何でクリアしたかの詳細を見ると、ここはいっぱいあると言えますね。1個だけの06なんだなっていうところは、追えるようになる理解であっていますよね。

(井出)
さっきの羊羹で思い出したのですが、ケロッグのチョコワという商品は、一番多いのは砂糖です。原材料のところの最初に書いてあって、次がオーツ麦。でも多分ケロッグ的にはオーツ麦をメインにうたうと思います。

(佐々木)
お菓子だとお砂糖が一番多い商品はすごく多いですよね。清涼飲料水もそうですし。例えばオレンジジュースと言っても、結局砂糖水に少しだけ果汁入っている3%みたいなのがすごい多いわけですから、果汁をうたっていてもほとんど砂糖だったりします。

(芝池)
ありがとうございます。トピックス2つ目の項目06の見直しに関しては、今の時点で何かしら結論というかまとめを出すと、パーム油のしきい値は1個上にあげてもいいのではないか。それ以外は特に変える必要はないのではということですね。

ただ、元々この06の見直しは主要マテリアルをどう扱うかに端を発していて、ロジカルに整理しようとすると破綻してたんだけれども、ロジカルな整理ではなく、各社が何を自分たちのエシカル原材料の売りにしたいかを自己申告制にして、その理由とともに述べてもらう。その原材料の項目がクリアしてるかどうか+他の原材料の項目もクリアしたら、さらに◯だよねという感じに作り変えていく可能性が見えました。皆さん今のその二つで結構納得感ある感じでしょうか?

細かい表現とか整理のところは事務局で行います。途中、思ったよりも時間がかかりそうだなと思ったんですけど、早く終わりそうです! 

河口さんが倫理的という言葉をエシカルとするか。なぜ変えるかみたいな一番最初に提起いただいた内容を後回しにしてたんですけど、そこの話を今日しますか?

(河口)
皆さんがこの言葉で違和感がなければいいですが、世の中的に見ていろいろな専門家からすると、倫理的よりはサステナブルのほうが感覚的にぴったりくる人が多そうです。ただ逆に中小企業の人とかあまりこういう知らなかったよっていう人が多いのであれば、こういうふうに定義してるから、いいんじゃないかという話なんですけどね。

でも『エシカルフード基準』とつけたんだから、「エシカル認証」とかにしたほうがここで言ってるエシカルフードの認証と整合性がとれます。じゃないと、ここで言っている「エシカル」と「倫理的」というのは同じことなのかどうなのか? という余計な疑問が出てくるのでは。

(芝池)
反対に、倫理的認証のままの方がやっぱりいいんじゃないかっていうふうに、思われる方いらっしゃいますか。いきなり反対、別の意見出しにくいかもなんですけど。

(瀧田)
ドラフトを作ってくださった山本さんと佐々木さん。いかがですか。魚は持続可能なと書いてありますし、意識してこの言葉を使われていると思うんですけども、

(山本)
エシカルという言葉は全部包含しているというふうに思っているので、環境は本当はサステナブルの方が座りがいいっていうのは確かにあるとは思うんですけれども、エシカルでよいのではと思う。

(佐々木)
はい。私もエシカルで大丈夫です。

(芝池)
ではここはエシカルで。もし何かちょっと置いて考えてみて、やっぱりみたいなのがあれば、またこの後中小企業向けのあのセッションとかを続くので、いつでも意見いただければなというふうに思います。では、今後に関して、ちょっと最後、瀧田さんにバトンタッチをして共有いただければなと思います。

(瀧田)
多分15分もかからないので、今日は早く終われると思います。奇跡です。

3月30日に大手企業版の基準を公表して、スモールスタート企画を夏の終わり、もしくは秋の初めぐらいにやりたいということで今までご説明をしてきたと思うんですけれども、このままいくと中小企業版の基準が7月末もしくは8月初旬ぐらいに完成となります。そうすると世の中の食品メーカーさんの企業規模に関わらず、『エシカルフード基準』を採点することができる環境が整います。それをベースにしてスモールスタート企画を実施していきたいと思っています。
スモールスタート企画は代官山蔦屋書店でPoC的に1ヶ月の期間で回してみたいと思っています。世界食糧デーが10月16日ということ、10月16日をスタートとして1ヶ月、「Hello,エシカル! お買い物から地球を考える」というコミュニケーションで、エシカルが大前提とかエシカルを考えましょうというよりも、あなたのその商品の選択肢の一つに、エシカルを加えてみませんかという意味で、エシカルに出会う入り口の企画と考えています。

その中で、チョコレートとコーヒーというエシカルに親和性が高いカテゴリを中心としつつも、書物でもエシカルを理解することができると思いますので、本の提案もしたいと思います。

これからエシカルなこだわりの物作りをしているような企業様にお声掛けをして、『エシカルフード基準』を採点いただいて、クリアした商品を集めながら売り場作りをしていきたいと思っています。

一番やりたいこととしては、ゆくゆくは『エシカルフードアクションスコア』を社会実装したいので、その下地づくりです今までご説明をしてきたように、食品メーカーさんが自ら手を挙げて参加をしてくださるわけではなく、流通さんが売り場を作ってくださるわけでもない。皆さんからよく聞くのがエシカルフード市場がないから、自分たちはどういうふうに一歩を踏み出していいのかわからないという声です。食品メーカーや流通の皆さんに向けての事例として、これから協働していくための材料にもしていきたいということで、商品をストーリーとともに、生活者に示したときに、生活者の態度変容がどこまで起こるのか。もしくは購買にどこまで繋がるのかをアンケート調査と購買履歴を分析することで検証してみたいと思っています。
その材料をもとに、今後例えばスーパーやコンビニエンスストアにエシカルなコーナー展開を数店舗でもいいので、チャレンジでやってみませんかというようなご提案をしてきたいと思っています。それとともに、食品メーカーさんもチョコレートやコーヒーだけではなくて、親和性が高いカテゴリというところでいくと、例えば大豆業界もあるでしょうし、いくつかあると思いますので、商品カテゴリを広げていくということをやっていきたいと思います。先ほど河口さんも仰ったようにトライアンドエラーで基準を出してみて、企業が実際採点してみてブラッシュアップされていくんだろうというふうに思いますので、PoCをずっと回していくことができればいいのかなというふうに考えています。

チョコレートメーカーさんの状況でいうと1年3ヶ月対話を続けてきた会社さんが正式に参加するということを表明してくださいました。他にもテスト採点を頂けるメーカーさんが複数いらっしゃいます。
中小企業のみなさまでいうと森枝さんからいろいろご紹介を頂いています。

メーカーさんがどんどんこのプラットフォームに乗っていただけると、消費者に対しても、どんなことをしているのか具体的に示せると思います。消費者も概念だけで商品がないと、自分が何のアクションしたらいいのかわからないと思いますのでこのスモールスタート企画でもできるだけ多くのメーカーさんとご一緒して、消費者にエシカルな食の提案をしていきたいなと考えています。

消費者へ情報を届けるというところでいくとPR戦略も重要です。ラボがやっていることを消費者のみなさまに知っていただくことがすごく課題になっています。メディアの皆さんに理解していただいてラボの仲間になっていただく、報道していただくとか、そういうことが重要だと思っていていろいろ企画を立てている状況です。

一つ目。森枝さんと佐々木さんと企画を作っているのですが、食べて美味しく楽しくエシカルを体験する「未来が変わるピザ屋さん」という1日限定レストランをChefs for The Blueの一員でもいらっしゃいます「ドンブラボー」のオーナーシェフの平さんと共に、実現できないかということで動いています。

日付としては9月15日。スモールスタート企画のちょっと手前ですね。メディアの皆さんを招いて実施したいと思っています。

いろんなトッピングがあるのがピザだと思うんですけども、エシカルなもの、普通のものがある中で、佐々木さんの創意工夫のこもった説明文章を読んでいただき、どのトッピングを選ぶのか。自分が選んだピザが具体的にどういうピザだったのかの体験を通して、エシカルフードを理解していただいたりファンになっていただくことができればいいのかなと思っています。

これはもしうまくいったら消費者のみなさま向けにも横展開したいと思っています。知り方が大切という話は今までセッションの中で何度か出てきたと思うんですけども、楽しい知り方の中でエシカルフードに向き合っていただきたい、自分のアクションに繋げていただきたいというふうに思ってます。

二つ目が、『エシカルフード基準』の出張事業ということになります。この基準や3月に実施したエシカルフードトラックのイベントのコンテンツが、実は教材になるんじゃないかという話があがっています。まずはじめにということで、平井さんにご相談をしていまして、平井さんが教えていらっしゃるエトワール品川女子高校で9月13日に授業を行います。
『エシカルフード基準』のご説明と、生徒さんたちがエシカルに対してどう思うかを聞いてみたいですし、生徒さんたちが年間で活動してるテーマがあるので、そこにエシカルな観点を組み込みたいか、組み込みたくないかも含めて、有福さんと芝池さんによるフューチャーセッションで、対話を通じた授業を行う予定です。できるだけ生活者の皆さんも一緒に、ということを大切にしたいなと思います。

それ以外にも生活者向けの企画やPR的な企画などメディアの皆さんに報道していただけるような企画をもっと作っていければと思っています。
最後の共有として、来週から『エシカルフード基準』の中小企業版の事前ミーティングと、皆さん集まってのセッションというのが始まっていくと思いますが、そこについて少し触れられればと思います。

基本的には、今まで議論をしてきた大手企業版の観点、フレームワークを大切にしながら、皆さんからもご意見のあった通り、できるだけシンプルに大切な観点を絞った、しかも誰もが始めやすい、こだわりのものを作って頑張っている中小企業の皆さんほめることができるような基準にしたいと思っています。それを前提に事務局でもドラフトを作っています。

大手企業版と同じように、メーカーさんの実態は知らなければ意味がないというふうに思いますので、こだわりやの藤田友紀子さんにご紹介をいただいて、皆さんも多分ご存知の会社ばかりかなと思うんですけれども、エシカルなもの作りをしている6社の皆さんとの対話をさせていただいています。

印象的なのは大手企業の皆さんに比べてとても前向きだということです。大手企業の皆さんはご相談し始めた時から少し後ろ向きだったんですけど、こだわりやさんがお付き合いがあるような企業の皆さんだからか、非常に前向きです。採点もその場でやりますよということで、皆さんテスト採点を既にしてくださっています。

その観点を踏まえて事務局の方でドラフトを作っていて来週以降、個別に皆さんにお時間いただいてると思うんですけども、ご説明をさせていただいて、ご意見いただき、最終的にしきい値を設定するということまでできればというふうに思ってます。

芝池さん、今後について瀧田からは以上です。

(芝池)
はい、ありがとうございます。ここまでの瀧田さんの共有に関して、質問とか確認されたい方いらっしゃいますか?

(河口)
チョコレート会社なんですけど、ダリケーにも話してみます? 

(瀧田)
ご相談したいです。

(河口)
ダリケーの社長友達だから。こないだも一緒に飲んでいた。

(瀧田)
ダリケーさんは、ロッテさんの子会社なのでロッテさんとして「企業評価」を採点するのか、それともダリケーは子会社ですけど別会社なので、中小企業としてお願いするのか。資本金も3億円以下だと思いますし、中小企業だと設定できるのであれば中小企業として「企業評価」をしていただける。どのように判断されるのでしょうか。

(河口)
社長の吉野さんは、ロッテ本体のマーケティングとか広報担当の役員でもあるので、できることかできないことか我々は判断つかないので、聞いてみます。

(瀧田)
ぜひ聞いてみていただければ有難いです。

(河口)
わかりました。それからいろんなところで勉強会をしたりするっていうことなので、食品業界の勉強会はいろいろあります。厚生労働省がこんな企業ネットワーク作ろうとしてるよみたいなのも紹介したんですけど、農水省なんかいくつかフード研究会みたいなのやっているので、そういうところに入って一度うちらはプラットフォームなので、ご紹介の機会があれば紹介させてねっていうのも手ですよね。マインドの高い会社さんがたくさん来られている場なので。

(瀧田)
日経SDGsフォーラムを視聴された企業の方から農水省の緑の戦略をもとにいろいろな企業が参加している研究会をやっているので、『エシカルフードラボ』のことを話してみてはいかがですかというお申し出がありました。食品メーカーの方たちがいらっしゃるはずなのでお話できるとよいなと思っています。ラボの活動内容を知っている方が少ないのでどういうふうに知ってもらったらいいかも難しいと感じています。
今度日本食糧新聞が創刊80周年記念号で「サステナビリティ 未来への胎動」を出されるので、出稿して、ラボの基準の話を掲載していただきます。山本さんにもご協力いただいて取材いただいて掲載します。食品業界の方が見ると思いますので、小さな積み重ねで情報をだしていき、とにかく知ってもらわないと誰も参加もできないので、その草の根運動を、やらなきゃと思っています。

(河口)
例えば、今度こんなところで喋れと言われたので今、チャットで送りました。こういう場とかね、SDGs研究所企業コンソーシアム。

(瀧田)
そうですね、できるだけ多くの食品メーカーとか流通さんがいる場でお話しいただけると嬉しいです。

(河口)
農水省がやった研究会では、食関係の企業の若手の人を大量に巻き込んでやっています。そんなところでも喋ったりしたので、そういう場所に行くと若手の人たちにワークショップをさせて未来の食を考えましょうみたいなことをやってたりする場があります。そこでこんな基準なんかの話ができるといいなと聞いていて思いました。

これ以上は私達が自分たちの頭で考えるよりは、もう実践されている方たちの知見を、これに対していろんな意見とかたくさんもらって、中身をブラッシュアップしていく方が早いし、より完成度も高くなるような気がします。

(瀧田)
そうですね。できるだけいろんな方たちの意見をいただくようにしないといけないのかなと思っています。食品メーカーさんばっかり頑張ってしまっていて、流通さんのご意見をたくさん伺えていないので今後、小売の業界団体との対話など、戦略的に考える必要があると思います。

(河口)
フードコミュニケーションプロジェクト、農水省のですね。次の段階にいけそうですね。

(芝池)
最後に。スタートセッションとしては、中小企業版の基準を策定するというのが残ってまして、日付としては来週の月、火、金で今こんな感じでたたき台考えてるよというのを、まず共有させていただき、そちらに目を通していただいた上で、7月14日に『エシカルフード基準』のしきい値を決めるセッションに進んでいければなというふうに思っております。

またまた皆さん長時間お時間いただくことになりますが、中小企業版4時間で決まるかとドキドキしながらも、引き続きよろしくお願いいたします。よければまた最後に皆さんに一言ずつコメントをいただいてから、今日のこの場を締めていければなあと思います。なんとなく画面越しに目があったので、佐々木さんからお願いしてもいいですか。

(佐々木)
長丁場お疲れ様でした。ここまで来たなという感じがすごくあるセッションでした。スモールスタートから、できれば力を合わせて大きくしていかれるかなというふうに思います。もう一つ思ったのは、本当に個々の商品を考えていくとものすごくたくさんの問題が出てくると思います。カカオとコーヒー豆だけでもこれだけあるんだから今後も問題が出てくるのは当然だという思いで受け止めていかないといけないと思いました。以上です。

(河口)
熱い議論ありがとうございました。でもだんだん形が出てきたのと、皆さんがこれだけポジティブな面、ネガティブな面から叩いているんだから、いっぱい疑問を出して世間に出したらば、それはちゃんと評価されるんだろうなと思います。子供はちょっと外へ出してみないとどう育つかわからないから、早めに良い子には旅をさせて、鍛えてもらうっていうのがいいかなと思います。最後に瀧田さんの今後のプランというのが非常によく設計されていて素晴らしいなと思ったので、ぜひそこをみんなで盛り立てていきたいなと思いました。お疲れ様でした。

(山本)
ここまで来て、企業さんに付き合ってもらうんだよなあと考えたときに、果たして本当にどれだけの企業さんが乗れるだろうか常に不安はあります。不安はあるんですけれども、ここまで来たんで、瀧田さんがいろんな新聞にアプローチされてるように、僕も少しずつですけれども、微力ながら講演でお話するとか、もしくはメディアとかでもアピールできれば。なので瀧田さんそういうような説明するときの宣材キットみたいなのがあるといいな。

1枚でいいと思うけど、例えば講演とか、連載とかでこういう取り組みがあるというときに説明しやすいもの。基準のA3の紙とか、ありますけれども、全体こういうふうな仕組みでやってこうと思いますというのを説明しにくい状況なので、それを作ってもらえればと思います。

(瀧田)
ぜひ、作ります。宿題ですね。

(中西)
本当皆さんと話してすごくポジティブにいい議論を交わせて安心してお話できるってすごいいいなと思っています。こういった基準の場合、方向はバーンと見せるけど、その後ほったらかして、「あとは企業さん頑張ってね」という感じでやっちゃうケースがとても多い気がするんですけど、伴走する集団であるっていうのは面白いなと思っているので、そういう意味ではすごくいい方向にいきたいと思っています。先ほどのコミュニケーション戦略みたいなところも、私が何か違う位置から協力できないかとも思ったので、ぜひ前に進むように引き続き頑張りたいなと思います。よろしくお願いします。お疲れ様です。

(森枝)
カカオとコーヒーだけでもこれだけあるけど、お酒とかいろいろなことを考えるとこの先怖いなと思います。サントリーが水はとか言い出したらやばいなとか。何かいろんなことを同時に考えてしまっていますが、そこまで広がっていくとなると専任にするのかチームを作ったりするのかという話も。食べ物のまわりの揚げ油、洗剤どうするみたいはどうするかといったところまでいくと怖くなってきた。というところです。

(井出)
ありがとうございました。このくらいの人数はすごく話しやすかったです。最後、瀧田さんがおっしゃった「中小企業は大手企業より前向き」というのが、個人的にはすごいヒットしました。明るいうちに終わったので、今日はこれからスズメに会いにいこうと思います。

(芝池)
ありがとうございました。では今日は奇跡的に思ったより早く終わったんですけど、この後の中小企業向けは、また難しいところもあるかもしれません。皆さんさっきおっしゃってくださったように、難しいことはあって当たり前だけど、みんなで一つずつ形にしていこうという気持ちで引き続きよろしくお願いできればと思います。

最後瀧田さんにお戻しします。

(瀧田)
今芝池さんがおっしゃってくださったことそのままです。1年以上こうやって皆さんと一緒に対話をさせていただいて、ここまできたというか、ちょうどスタート地点に立つか立たないかだと思うんですけれども。これからますます難しいことが増えるのかなと思っています。食品メーカーさんも最初は自分ごとではなかったので、優しいアドバイスを頂くことが多かったのですが、最近では自社に置き換えた観点で厳しいご意見も多いです。

でもそれは自分に関係ないことと思っていないので厳しいことも仰るのかな、という意味で言うと、より現実的な話になってきています。ここからが本当にがんばりどころだと思っています。皆さんと一緒なので頑張れるというのは心から思っております。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。お疲れ様でした。

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