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エシカルフード・キックオフセッション開催しました! Vol.3(3/4回)


こんにちは。
少し前になりますが、2021年3月18日と24日の2日にわたり、「Tカードみんなのエシカルフードラボ」および「エシカルフードスコア(仮称)」の目的と活動内容について共通理解を築くため、12名の有識者のみなさまとともにキックオフセッションをオンラインで行いました。
SDGsや食の専門家、流通、シェフ、ジャーナリストなどそれぞれに専門分野と多様な視点をもつ12名の有識者のみなさまとともに行ったエシカルフードについての対話の様子をお伝えする第3回目の記事をどうぞ。


2日にわたるセッションのDay1では「持続可能な社会に向けて大切にしていること、大切にするといいこと」また「持続可能な食」について、有識者の皆様が普段考えている内容やキーワードについて話し合いましたが、Day2ではその中でも「エシカルフードの定義とは」「エシカルな食の消費行動とは」といった、このラボを進めるにあたってポイントとなる部分にフォーカスし、対話を深めていきました。

今回の問いは「持続可能な社会の実現に向け、みんながよりよい“食”に関する選択ができるための基準(エシカルフードの定義)とは?」です。
グループを2つに分け、途中で有識者のメンバーチェンジを行いながら、セッションを実施しました。

エシカルフードの定義について多様な視点を集め、意見交換をしたところで、次のステップでは以下の3点ついて、有識者それぞれの個人的な観点をワークシートにまとめていきました。

1 エシカルな食にこだわる人がとっている象徴的な購買ストーリーは?
2 その人が購買行動において大事にしている観点は?
3 2の観点をあげた理由は?

上記のセッション、個人のアウトプットからでてきた観点を以下にまとめてご紹介します。

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<エシカルフードの定義について>
●「人、環境、動物への配慮ができているものであるかを基準に考える」
エシカルフードとは何かといったときに、イギリスの雑誌では、人(児童労働、不当な労働への対応、公正な報酬に配慮がなされているか)、環境(持続的な土地や天然資源の活用、化学肥料や農薬に起因する汚染への配慮がなされているか)、動物(動物実験の排除、アニマルウエルフェアの実践がなされているか)は基本としてあるべきといわれている。ただ、日本では、それぞれをどれくらいの重みで選ぶのかには議論が必要。

●「SDGSを参考にする」
達成目標として明記されているSDGsを基本に考えると、エシカルな消費やエシカルフードは確実に定義づけができるから、参考になる。

●「エシカルフードに、ものだけでなく行動を含める」
エシカルフードというと“もの”に焦点が当たっているイメージだが、エシカルな消費というと、人の行動にフォカースしている。エシカルな買い方、売り方、つくり方といったように、行動も含めて議論したほうがいい。

●「アニマルウエルフェアの考え方が日本ではまだまだ浸透していない」
SDGsの教育や普及の影響もあり、人、環境への配慮は日本でも認知されてきたが、動物への配慮といった部分は疑問をもつ人もいることが想定される。「人間のほうが大事だ」という議論が起こりそう。

●「環境にとって正しいという観点」
おいしい、自分に安全という観点だけでなく、「環境にとって正しい」情報を伝える意識が必要。揚げ足を取る人と戦うのではなく、味方を増やしていく方向で、「環境にとって正しい」行動をこわがらないようにできる。


●「食と真剣に向き合うために、食べることの意味から考えようという前文を入れる」
エシカルフードの前に、そもそもの食に対して無意識な人が多い。適当に食べている人にエシカルの概念を伝えても響かないので、「あなたは食べるものでできている」という部分を見直し、真剣に食に向き合おうという話は前段として入れてもいい。食べるというのはいわば政治的なアクションで、食を選ぶというのは自分に対しても社会に対しても強い行動。


<エシカルフードの基準について>
●「ハイレベルな人しか参加できないような基準にしない」
成熟しているとはいえない日本のエシカルな食分野では、一般消費者が取り組みやすいレベルが必要。「エシカルはお金がある人の道楽」という意味合いで受け取られては本末転倒。エシカルなものはおいしい、楽しいと感動体験とともに情報提供する必要がある。

●「抽象的な項目と具体的な項目のバランスも大切」
具体的な項目が多すぎると生産者の負担になりやすい。ふわっと抽象的な項目が多すぎても基準があいまいになってしまう。そのバランスや、各項目に重みづけをするのかといったことにも議論が必要

●「エシカルではない企業のエシカルな商品、エシカルな企業のエシカルでない商品を入れるのか?」
エシカルに積極的ではない企業が宣伝的にエシカルな商品をつくっていたらそれは評価されるべき? 反対に、エシカルな食への取り組みを熱心に行っている企業のエシカルとはいえない商品をどうするのか、今後の議論になりそう。


<エシカルフードの定義として入れ込みたい項目の具体例>
・放牧の肉
・平飼いの卵
・ベジタリアンであること 
・絶滅危惧種でないこと 
・添加物が使われていないもの  など

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有識者の共通認識としては、エシカルフードの定義として「人」「環境」「動物」への配慮がなされていることが基準になるということはいえそうです。また、一般消費者が参加しやすいような基準、目標を用意し、無意識からの行動変容を促すということも共通していました。

次回は、キックオフセッション全体のまとめ、今後見えてきた課題について報告したいと思います。

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