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ビッグデータを活用して、未利用魚を食卓へ

こんにちは。「Tカードみんなのエシカルフードラボ」公式note担当の東樹です。

食を取り巻く課題の一つに、漁獲したにも関わらず食べられずに廃棄されてしまう「未利用魚」の存在があります。

「Tカードみんなのエシカルフードラボ」は、自治体・漁師・地元事業者といった地域関係者、生活者、流通、食品メーカー、飲食関係者など、異なる立場のステークホルダーが対話しながら「未利用魚」を活用した商品を開発する共創の場未利用魚活用プラットフォームを立ち上げました。「未利用魚」の活用を通じて、その存在を多くの方に伝え、海の恵みや持続可能な漁業、ひいては未来につながる食の循環に貢献することが目的です。

今回は、「未利用魚活用プラットフォーム」を立ち上げたラボリーダーの瀧田希さん(CCCMKホールディングス株式会社)、データアナリストの石橋輝久さん(CCCMKホールディングス株式会社)へのインタビューをお届けします。未利用魚を活用するにあたってビッグデータがどのように貢献するか、詳しくお話を伺いました。

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ー 石橋さんはデータアナリストでいらっしゃいますが、未利用魚活用プラットフォームにおいては、具体的にはどのような動きをされているのでしょうか?

(石橋さん)
商品開発の過程で意思決定をするにあたり、類似カテゴリーの購買状況など、何か参考になるデータがほしい、といったニーズが出てきます。そのような場面で、CCCMKホールディングスが保有している購買データが役立つので、データアナリストとしての知見を活かしてサポートさせていただきました。

ターゲット層やペルソナ像を固める段階では、「未利用魚」や「エシカル」に関心のある方々がどのような特性を持っているのかを、購買データやアンケートデータを元に可視化しました。

(瀧田さん)
未利用魚活用プラットフォームでは、現在「愛媛県八幡浜」と「千葉県船橋」の2つのプロジェクトが動いていますが、どちらのプロジェクトも、エシカルな食をライフスタイルに取り入れているT会員の方々にメンバーになっていただいています。参画いただきたいT会員の方のペルソナ像を固めて、ペルソナ像に合致する方々を導き出し、メンバーとしてお招きしたのですが、その過程も石橋さんに担当いただきました。

ー 具体的にはどのような条件で、T会員の方々を選ばれたのでしょうか?

(石橋さん)
そもそも、データ内に「エシカル」を示すフラグが明確にはない状態で、エシカルな食を取り入れている方々をどのように導き出すのか、というところが最初の課題でしたね。

まず、有機JASなどの認証を取得している商品を買っている、アニマルウェルフェアや児童労働などの具体的なエシカルイシューに関わる書籍を購入している、といった項目をいくつかあげて、ペルソナ像に合致する方々を絞り込んでいきました。

石橋さん

ー データを活用して、プロジェクトメンバーを集めていったんですね。未利用魚活用プラットフォームでは、その他にどのようなデータ活用のシーンがありましたか?

(石橋さん)
プロジェクトチームで新商品を検討する中で、「そもそもエシカルな人ってどういう人なのか」という話になった際に、データ分析の結果を参考情報としてお見せしました。

特に、商品パッケージや訴求内容を考える際にデータが活きたと思います。エシカルな方々が購入している食品を具体的に見られたことで、新商品のイメージが湧きやすくなったという声をいただきました。

(瀧田さん)
今回、新商品のターゲット層は、エシカルなT会員の方々を導き出す際の条件をベースに、プロジェクトごとにディスカッションして決めたのですが、データを活用することでターゲット層の解像度も上がりました。

たとえば、購買データを見ると、エシカルな方々は思っていた以上に健康志向でしたし、和食好きというイメージがありましたが、エスニック料理なども好まれていることがわかりました。

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ー プロジェクトには、普段ビッグデータに触れることがない方もいらっしゃると思います。プロジェクトメンバーの皆さんにデータを活用いただくにあたって、どのような工夫をされましたか?

(石橋さん)
膨大な量のデータをわかりやすく可視化することは、データアナリストの役割の一つです。弊社の分析ツールを活用して、わかりづらいところを噛み砕きながら、プロジェクトチームの皆さんにご説明させていただきました。

弊社には、購買データを元に、衣食住に関わる消費者の志向性を150項目程度に分類したデータがあります。たとえば、八幡浜プロジェクトでは、「エシカルな考え方を普段の食に取り入れていて、かつ、ワインを買っている人」をターゲット層として商品コンセプトを検討したので、「エシカル・ワイン関心層」の志向性を可視化しました。

これは、右上に行けば行くほど、「エシカル・ワイン関心層」の特徴が強く出ているグラフです。見てみると、「美食家」や「健康志向」「魚好き」「国産好き」「オーガニック」などのキーワードが並び、食に気を遣っている方々であることが、このデータだけでも示せます。

また、「ワイン・エシカル関心層」の方々が実際に購買している商品を見ながら、その特徴を洗い出していくこともしました。

(瀧田さん)
今回、石橋さんの提案で、作ろうとしている商品の類似カテゴリーにあたる商品を定義して、それらを購入しているユーザーの特徴も可視化しました。

たとえば、八幡浜プロジェクトで作る商品の類似カテゴリーは「お魚を使った高級おつまみ」になるので、そういった商品を買っている方々が、一般の方々と比べてどのような特徴を持っているのかを見てみたんです。

結果、「お魚を使った高級おつまみ」を購入する層は、こだわりのビールをよく飲んでいることがわかりました。八幡浜プロジェクトでは、元々ナチュラルワインを飲む方に向けて商品開発をしていたのですが、分析の結果を受けて「クラフトビールと合わせてクロスマーチャンダイジングで店頭販売してもよさそう」という意見が出るなど、販売シーンが広がったんです。

(石橋さん)
ベンチマークした商品の購買データから、そのような結論がきれいに導けたことは、面白かったですね。

(瀧田さん)
「お魚を使った高級おつまみ」を購入する層には、元々エシカルとの関連は見られません。ですが、こだわりのビールと合わせて新商品を提案する中で、エシカルイシューを訴求することが可能です。そこがエシカル消費の入り口になり得るという意味で、価値のあるデータ分析だったと思います。

瀧田さん

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ー 世の中ではデータ活用が急速に進んでいますが、一方で、データ活用に抵抗をお持ちの方も一定数いらっしゃると思います。そのような中で、今回のビッグデータ活用にはどのような意義があるでしょうか?

(石橋さん)
「CCCはTカードの購買データを集めているみたいだけど、実際それで何をしているんだろう」と、T会員の皆様は気にされている部分もあるでしょうし、提供したデータをどのように使用しているのかということは、理解していただく必要があると思っています。

ですので、社会課題を解決するために、データを活用しながらエシカルな新商品を世の中に広めていく未利用魚活用プラットフォームの活動については、ぜひ皆様に知っていただきたいです。まさにそういったことをお伝えしたくて、このプロジェクトに関わらせていただいています。

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■ Tカードみんなのエシカルフードラボ


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