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映画 記事まとめ

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映画の感想文や、おすすめ映画について書かれた記事をまとめていく公式マガジンです!主にハッシュタグ「#映画」「#映画感想文」が付けられている記事を自動で追加し、紹介していきます。
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2022年7月の記事一覧

「長編映画のはじまりは、ブータン寺院のスマホ僧侶と倒産話だった・・・」      (リスタートアップ制作の裏側1)

■突然の告白 2017年の秋。 僕はブータンにある寺院の境内で、ひとりの起業家から衝撃的な告白を耳にしていた。「東京でゲーム会社をやっているんです」と答えてくれたのは、芸者東京というゲーム会社を率いる、CEOの田中泰生さんだった。 すぐさまスマホで社名を検索すると、大きなカンファレンスで登壇する田中さんの写真や、世界初のARゲームを出したという記事が出てきた。”異才のゲームプランナー”というキャッチコピーが目をひく。 わたしは、検索結果に並んだ記事を指して「なんだか、

『EUREKA/ユリイカ』トークレポ@センチュリーシネマ

青山真治監督追悼特集『EUREKA/ユリイカ』デジタルマスター完全版 仙頭武則さん(プロデューサー)・斉藤陽一郎さん(俳優) (2022.07.31) 今年3月、57歳で他界した青山真治監督の特集上映が、名古屋・センチュリーシネマで開催中です。217分の大作『EUREKA/ユリイカ』(2001)上映後、本作プロデューサーの仙頭武則さん、秋彦役の斉藤陽一郎さんが登壇。大入りの客席を前に、同館の稲垣支配人と共にトークを行いました。 仙頭:名古屋の大学で教員をしていますが、セン

映画『夜明けの夫婦』 (ネタバレ感想文 )男の「逃げ腰」を描く山内ケンジ

私は『友だちのパパが好き』(2015年)以来、山内ケンジ監督のファンです。 後追いで『ミツコ感覚』(11年)も観ましたし、『At the terrace テラスにて』(16年)では偶然舞台挨拶に遭遇してサインもいただきました、平岩紙の。いきなり余談ですが、この映画で父親役をしている岩谷健司さんが、映画館の座席で偶然隣でした。特に声もかけませんでしたが。 そうそう、「自己紹介読本」という舞台にも行きました。 なので、というわけでもないのですが、この映画の意図もよく分かります。

是枝裕和監督 『ベイビー・ブローカー』 :〈祈り〉の世界

映画評:是枝裕和監督『ベイビー・ブローカー』 カンヌ国際映画祭でパルム・ドール(大賞)を受賞した『万引き家族』の是枝裕和監督が、韓国の名優ソン・ガンホを迎え、韓国で製作した作品。 この作品も、カンヌ国際映画祭に出品され、「パルム・ドール」は逃したものの、ソン・ガンホが「(主演)男優賞」を受賞した。 本作も、『万引き家族』と同様に、「疑似家族」をテーマに据えた作品で、とても「温かく」、また完成度の高い作品である。 だが、本作が『万引き家族』との共通点を多く持ち、完成度の高い

【考察】「女神の継承」【3倍楽しむ】

夏だ!ホラーだ!! この夏は、私の大好きな、ホラー映画がたくさん公開されて嬉しい限りです。 中でも待望していた作品の一つが今回鑑賞した「女神の継承」です。 アジアンホラー、大好物。 特に、近年の台湾や韓国のホラーは、非常にいい。 先日鑑賞した「哭悲」も素晴らしかったです。 https://www.three-minutes-philosophy.com/kokuhi/ 今回の記事では、「女神の継承」の見どころや考察、より楽しく鑑賞するためのポイントを解説します!

赤と緑の色彩の奥から見える『戦争と女の顔』の真実

【はじめに】 毎年夏になると戦争について考えてしまう。 このことは過去に何度か触れたが、それは祖母が原爆によって親類を亡くしたことに起因する。 さらに実家は山口県の岩国市。そこは広島との県境であり、夏場になれば平和教育がなされる地域で、米軍基地のある町である。 晩年の祖母は時折、当時のことを語り、また現在進行形の戦争(当時は9.11が起きたのでイラクやアフガンの報道がなされていた時期)を嘆いていた。 そんな環境下で育った僕は夏になると楽しい季節の風物詩より、真っ先に

本当はどのジャンルの映画?(ジュラシックワールド/炎の王国)

実は、炎の王国、好きなんですよねー。 割と叩かれてる印象もあるんですけど。(笑) 最新作の公開日(7/29)に金ローで放送されるようなので、どこら辺が好きなのか語ってみます。 なお私はこの映画を公開当時はIMAX3Dで一度だけ観て、まあまあ満足して、そのあとシリーズを揃えたくて4Kブルーレイを購入し、今でも稀にHDRで視聴しています。 ▼炎の王国の良い所:ずばり、映画が一つのテーマパークのようになっている所です。 みんなシリアスな映画だと思って観てるからガッカリする

【本当の自分探し」という夢と現実に挟まれて】『わたしは最悪。』感想

7月1日から公開されている映画『わたしは最悪。』。30歳という節目を迎えたユリヤが仕事や恋愛を通じて、自分探しに奔走する姿を描いた作品だ。監督は『母の残像』(2016)、『テルマ』(2018)のデンマーク出身のヨアキム・トリアー。本作は第74回カンヌ国際映画祭コのンペティション部門で女優賞を受賞、第94回アカデミー賞では国際長編映画賞と脚本賞の2部門にノミネートされるという快挙を遂げている。 本作は鑑賞前からムビチケを購入するほど楽しみにしていた。というのも、作品自体の評判

井土紀州監督 『レフト・アローン』 : スカラベ・サクレか、 フンコロガシか

映画評:井土紀州監督『レフト・アローン』 【旧稿再録:初出「アレクセイの花園」2005年7月18日】 (※ 再録時註:これも、すっかり忘れていた映画である。私には珍しく、左翼知識人に対し、厳しく注文をつけている。なお、2005年当時、パソコンブラウザ上では、「絓秀実」の「絓」が表示不能であったために、すべて「すが」と平仮名表記されていたが、ここでは引用文部分以外は修正した。) ドキュメンタリー映画『レフト・アローン』(井土紀州監督)を観てきた。 あらすじは、次のとおりで

【夏休み企画】われらの“夏映画”10選

やっとセミが鳴き始め(今年は遅かったですね)、こどもたちが夏休みに入り、かき氷と生ビールがおいしい、本格的な真夏が到来。ギラギラの太陽のもとでアウトドアもいいけれど、こんなご時世でもありますし、居心地のいいお部屋で映画三昧はいかがでしょう? 今回は映画部メンバーがこの夏おすすめしたい映画をセレクト! …いやしかし、「夏のおすすめ映画」と言ってもあまりに幅が広すぎるよね…というわけで、各自に“夏×〇〇”という切り口を自由に設定してみたら、メンバーそれぞれのテイストが著しく反

2022年夏、娯楽映画研究所の予定

7/23 神奈川県立音楽堂「赤いハンカチ」上映&講演(終了)  7/24 渋谷JZbrat「高泉淳子バースデイショー」(終了) 7/31 「発掘!ラジオアーカイブス」13:05~13:55(NHKラジオ第一)「日曜喫茶室 ~コミックソングの60年~(1986年3月23日放送)にゲスト出演。 今回の発掘番組は、『日曜喫茶室』からハナ肇さんが出演した回をお送りします。題して「コミックソングの60年」!クレイジーキャッツの結成秘話を語った貴重な音源です! 8月7日(日)午

青春は走る

映画「リコリス・ピザ」 これ、とても面白かったんです!! しかし、どのように伝えるとよいかが難しいです。面白くない人には、ちっとも面白くないというのも分かるから……。いわゆる万人受けするセオリーで制作されるハリウッド映画みたいなのとは、だいぶ違います。 たいてい、第1シークエンス(起承転結の起)では、主人公(および二番目の人物)の日常を描き、日常を覆す転換点が起きて、第2シークエンスから承に入ります。「リコリス・ピザ」は、登場人物の二人がどこのどういう人か全く分からない最初

「グレイマン」のゴズリンとフンデルトヴァッサーについて。

最近は、家で横になっている時間が多いので、NetflixやAmazonで海外のドラマや映画ばかり見ている。 直近では、「グレイマン」を見た。 映画館でも上映されているらしい。 映画館の方が迫力ありそうだとは思うけど、見に行くかと言われるとちょっと微妙なラインではあった。 意外だと思われがちだが、私は基本的にはミュージカル映画が一番好きなので、あくまでそんな私の感想。次に好きなのは、サスペンス系とかサイコ系ではあるけれど。 「ラースとその彼女」で認識していたものの、「LA・LA

最近観た旧作の感想メモ(2022年6,7月)

ザ・ピーナッツバターファルコン(Netflix、U-NEXT) ダウン症の青年ザックと町の嫌われ者タイラー、ザックがいる施設の看護エレーナの3人によるロードムービー。ザックを演じる役者はその名もザックで、ダウン症患者。監督が彼の「映画スターになりたい」という夢を叶えるべく作ったという経緯もあり、ストーリーもザックがプロレスラーを目指すメイクドリームもの。涙をよこせ、というタイプの作りではなく笑える部分も沢山あって気持ちの良い映画だ。そうはならんやろ、の連続も往年のスター映画