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事務所を街に開く -note libraryについて-

今年の初めに、事務所を移転しました。
場所は清澄白河。駅前の観光地から少し離れた、このエリアに住む人たちが働き行きかう、生活と産業が隣合わせにある、そんな場所です。
内装工事と引越し作業をしながらつらつらと考えていた

”移転した場所について” 
”建築家として社会での在り方について”
”本を開放することについて”

書いてみました。

場所について

事務所のある物件は1階の路面店で、間口が広く建物と道路の間のスペースに縁台を置くなどして外で過ごすこともできる、街に開けたとても心地よい場所です。

事務所の半分をオフィススペース、もう半分を打合せスペース兼、街の人が自由に出入りできる「図書室」にしたいと考えています。
事務所を街に開く。といっても半分開くので、半開きという感じです。

事務所の壁にはぐるっと本棚が置かれ、建築・文化・アートのジャンルの中から、建築家の視点で時間をかけてセレクトされた本や雑誌が並んでいます。
この本棚をオープンにして、建築・デザインを楽しむことができる、街の図書室「note library」にしたいと考えています。

事務所の本棚には”建築” ”アート” ”文化”に関わる本が並んでいます

本を”libraryで読む” ”じっくり読みたいときは借りる” 分からないことがあれば”隣で仕事をしている専門家に、ちょっと聞いてみる”こともできます。楽しむも、学ぶも、知るも、本とどう向き合うかは、来た人が自由に選択できるようにしたいと考えています。

世は情報化社会と言われて久しいですが、これはインターネットに限った話ではなく、書籍でも同じことが言えるように思います。本屋に行けば建築に関わる全てのジャンルの本が一様に並び、欲しい情報を得るにも一苦労です。建築を生業にしている私でもそう感じています。

あふれる情報の中からセレクトされた本。そのセレクト自体が選んだ人のパーソナリティーを表していると思うのです。
建築はおもしろい、デザインは楽しいと日々思いながら、今の仕事に取り組んでいます。これからの時代は建築以外のことも学び、多様な経験を積んだ方がよいのでは、と思いつつも、なかなか建築から離れることができませんでした。いつでも心の芯には建築がありました。そんな私を通してセレクトされた本が置かれた本棚。それは私の、そしてnote architectsの人となりそのものです。

ではなぜ

・事務所を街に開かないといけないのか。
・1階の路面店でないといけないのか。

この点にに触れてみたいと思います。

建築家として社会での在り方について

街はもっとおもしろくなる。ポテンシャルを活かすことができる部分はまだまだ多い、と感じています。歩くためだけの歩道、何もない川沿いのテラス、禁止だらけの公園、使われていない、もしくは倉庫化している空き家。
街に眠っている資産を使いこなし、自由で活き活きとした日常をつくることはできないか。今の事務所を設立してから、もしかしたらもっと前からこの想いを抱いていました。
この想いは屋台を開発することにつながっていくのですが、これはまた別の機会に。

建築家として、社会に対して新しい価値をつくる。これがこれからの社会に求められる建築家の責務だとしたら、旧来の建築設計の範囲を飛び越えて、街の資産と豊かな暮らしをつなげるアクションを、自ら起こす必要があるのではないか。。。
そんな謎の使命感を抱くようになり、まずはクライアントワークとしてではなく、自分の場所を街の資産と豊かな暮らしをつなげる実験の場にすることから始めようと考えました。

事務所にあるたくさんの本、広い本棚、広い会議机も、使っていない間は眠っている街の資産です。学生の頃にワクワクした建築作品集、技を盗もうと読み倒したディテール集、視野が広がったアート文化の本。これらの本の価値を再評価し、街に開放することで、本を読む良い時間をつくれないか。それが街の豊かさの小さな一歩になるのではないか。そう考えるようになりました。

本を開放すること

本はそれを読んだ人の血となり肉となり、その人の考え方、もっと言えば生き方の基礎ななっている、重要な要素だと考えています。本のセレクトが、セレクトした本人の人となりを表していると過去に体感したことがあります。

学生の頃、時間さえあれば建築家の事務所にインターンや模型アルバイトとして通い、プロジェクトのお手伝いをしながら、アトリエ系事務所の中で建築が形づくられる熱量を、肌で感じていました。
その中の一つが藤本壮介建築設計事務所でした。当時、北海道に建てられた「情緒障害児短期治療施設」を雑誌で見てから、建築雑誌のインタビュー、テキスト、作品集などを読み漁り、その頃の藤本さんの影響を確かに受けています。

江戸川橋の藤本壮介建築設計事務所の一角にライブラリーがあり、手が空いた時間によく本を立ち読みしていました。そのライブラリーの本のセレクトは、インタビューやテキストから伝わる藤本さんの建築論が、そのままコピペされたようでいました。
本棚から藤本さんの建築論そのものを読み取ることができ、でも実際は逆で、これらの本を読んだ藤本さんだからこそあの建築論にたどり着いたのでしょう。その原点が本棚にありました。

人と会い、話をして伝わるヒトトナリもありますが、もっと深くにある心の芯の部分は、その人がこれまでに読んできた本を知ることで、伝わるものではないかと思います。恐らく本人も相手に分かりやすくまとめて伝えることは難しく(まとめる時点で、相手にこう見られたいというフィルターがかかり、意訳や脚色が生じるようにも思う)本のセレクトを生のままさらけ出し、それを読み取ってもらうことが、本質的に人を知るということなのだと思います。

これが本の性質のひとつだと思います。
だからこそ、note libraryに並ぶ本はnote architectsの人となりそのものと言えるのです。

街の人となり

note architectsの人となりを、街の人となりまで広げたいと考えています。
清澄白河に事務所を構えてから、多くの出会い、多くのお付き合いに恵まれてきました。その中でこの街には様々なジャンルのクリエイティブな人たちが暮らし、働いていることに気づきました。
人こそが街である。清澄白河に住む人たちの人となりを、本という形に表して集約する。ここに来れば清澄白河の人を知れる、街を知れる。そんな場所にしたいと考えています。

清澄白河に住みたいという需要はとても多く、供給が追い付いていない状態です。私の知人も清澄白河に住みたいと物件を探していましたが、同時に街を歩いてここはどんな街かを見ていました。
住む場所を探す時には、部屋だけでなく街全体を見ながら探さないでしょうか。実際に私が賃貸住宅に住んでいた時には、街を見てここに住もうと決めた経験があります。
家に住む、ではなく街に住む、という感覚。
恐らく街を歩いているだけでは見えてこない、街の姿があるように思います。このnote libraryは、本を通じて清澄白河の人と街を知れる場所です。ここに住めば、こんな人たちに出会える可能性がある。そんな風にワクワクした気持ちになる場所にしたいのです。

本の寄付を募っています。

note libraryを街の図書室とするために、街に住む方が所有する本の寄付を募っています。
建築、アート、文化に関わる方の、建築、アート、文化に関わる現在お持ちの本をnote libraryの本棚に置かせてください。

寄付いただける方は、下記メールアドレスまでご連絡ください。
もしくはnote libraryまで直接お持ちください。

info@note-arch.com
東京都江東区三好3-7-9 ファーストハイツ101
note architects 鎌松亮

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