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小さな恋の歌


「小さな恋の歌」という映画が上映しているのをTOHOシネマズ渋谷で目にして、昔のことを思い出したので書き起こそうと思った。


2011年、とある夏の出来事だった。

僕が中学二年生だった時のことだ(当時の僕はバスケ部に所属していた)

当時の連絡方法はスマートフォンが流行っていなかったのでガラケーやYahoo!メッセンジャーを使っていた。

家族が寝静まった後、夜な夜なパソコンを立ち上げてはYahoo!メッセンジャーで、学校の友達と夜通しチャットをして楽しんでいたことを思い出す。


***


ある日、今でも二週間に一回は会う、小学校から友達だった(ここではHと呼ぶことにする)から『好きな人が居るんだ、一緒に演奏してくれないか?』と言われた

周りにはチャット仲間であり、学校でもよく話す、KとYがいた。

Kは、小学校の時に転校してきて以来仲良しな友達だ、Yは普段学校では目立たないがとても熱い男だった


Hの提案にはみんな賛成していた

気持ちが高ぶっているのを思い出す


Hはギターを弾いてることもあったのでそのほかの楽器はじゃんけんをして決めた。


僕は負けた

そのまま残されたベースを弾くことになった


それからは早かった

僕達はその日の放課後近くのイオンモールで、それぞれの楽器を購入した。僕は当時の全財産5700円を支払って1番安いベースを購入した。


Hはギターで、僕はベース、当時のKはお金持ちだったので電子ドラムを親に買ってもらっていた。Yはボーカルを担当した


***


それからのこと、僕達は近くのスタジオを借りて練習したり、Hの家で練習を重ねた。

曲はもちろん『小さな恋の歌』だった


当時の僕からしたらベースはとても重い楽器で、手にマメがたくさんできた

それ以上に誰かのために曲を演奏することは楽しかった

音楽を奏でることはとても楽しかった


夏休みの1ヶ月を掛けて僕達は曲を完成させた

不慣れながらにもきちんと曲として成り立っていたことに感動した


***


夏休みが明けてから3日くらい経った頃、僕達は事前に先生に話していたこともあり音楽室に楽器を置かせてもらった

その日の休み時間、Hは好きな人に『聴いてほしい曲があるから、音楽室に来て欲しい』と誘った

Hの好きな人は誘いに断らなかった


その日の放課後、僕はとても緊張していた

今まで誰かのために時間を掛けたことがなかったからだと思う


僕達は音楽室で小さな恋の歌を弾いた

演奏を聴いてる好きな人は泣きながら僕達の演奏を聴いてくれた

Yは泣きながら歌っていた

もはや泣きすぎていてなんなの曲がわからなかったが演奏を続けた

僕も手は震えていたが最後まで演奏ができた


演奏の後、Hは好きな人に付き合って欲しいと伝えた


***


答えはもちろんyesだった

二人は付き合うことになった


あれから8年が経った今でもHとHの好きな人は付き合ってないながらにも、仲の良いだけじゃ収まらない仲になっている

彼らだけにしかわからない関係や物語があるらしい


僕にもそんな物語が欲しかったな、なんて思いながら思い出して書きました

この後僕達はいろんな演奏をするのですがその話はまた今度


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