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金木犀の夜に

いつの間にかテレビのリモコンを譲るようになった 暗がりの中君を求めないようになった 揺れて滲んでは揺れて滲んで 薄れてゆく液体にも 薄れてゆく匂いにも 感じなくなって 泣いたって良かったんだって今ならわかるよ 思い出や愛着は無防備だけど嘘じゃなかった 

金木犀は3日間しか綺麗に咲かないけれど こうやって枯らせばずっと綺麗に飾れるんだよってボトル便の中に金木犀を閉じ込めて玄関に飾りながら言ってた君と私の相性は ずっとずっと続くような綺麗でベストな関係ではなかったにしてもある意味お互いを小さく小さく見積ることでつなぐことが出来たからベターな関係だったよね その相性も今夜で終わり


季秋の月夜 私には似合わないくらい光っていて 今年も金木犀の季節が訪れようとしている


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