Fate/anonymous(Fate二次創作小説)＃1

こんばんは、ヨルノです。昨夜U-NEXTでFate/stay night unlimited blade works(通称UBW)を見ていたら、無性に二次創作がしたくなってしまったので勢いに任せて書きます。更新は遅いと思うので、気が向いた時にでも読んでいただければ幸いです。ルビや読み仮名は()などで表記します
11／27　本編更新

本編

①
私、これからどうしたいんだろう。将来何になりたいか、どんな仕事をしたいのか。いろいろとあったはずなのに気がつけば頭の中には何もなくてただ毎日の生活や、家族の言うことにただ流されているだけになっていた。自分の口から意見を言うのはひどく億劫な気がして、いつの間にか学校から帰宅すると両親ともあまり口を聞かずに自分の部屋に閉じこもっていた。変わりたい、なんてこれっぽっちも思いつかなかった。このまま今の生活を続けたいのか、それすらもわからない。どうすればいいんだろう。誰か……そう誰でもいいから、今の気持ちを話せる誰かが欲しかった。両親や学校の先生ではない、私だけの友だち。私の気持ちを素直に打ち明けられて、自分のことを1番理解してくれる……そんな友だちがいたらと最近よく空想するようになっていた。叶わない願いなのはわかっているが、いつかこの願いが叶うのなら、きっと私はなんだってする。

＊

「ねえねえ、あのウワサ知ってる？」
「あーそれ知ってる！最近配信始まったオンラインゲームでしょ？なんか、選択肢選んだらほんとにゲームのキャラクターが出てきたってやつ」

午前中の授業がひと段落して、弁当を食べ終わったので通学用鞄に入れて持ってきていた本を読みかけた荊の耳にそんなクラス内の誰かが話している会話が聞こえてくる。ページに目を落としたまま、じっと耳をそば立てる。

「そうそう、それ。他のクラスの子が試したらしいんだけど何にも起こらなかったって」
「なんだー気になってたから今日帰ってから試してみようと思ってたのにい……やめるわ」
「やっぱしょせんはトシデンセツだよね」

だよねー、と誰かが相槌を打つ。ちょうど午後の授業を知らせるチャイムがなったので話はそこまでで終わってしまった。

(本当なのかな。もし、さっきの話が本当なら……)

友だちにーーーなれるかな。荊は一瞬そう思った。自分用のパソコンは持っている。家に帰ったら早速やってみようと思うと気になってしまい、午後の授業は内容があまり頭に入って来なかった。

＊

オンラインゲーム、噂、都市伝説……検索。

夜。寝る前に自室で今日の午後の授業前に漏れ聞いた単語を思い出しながら、検索エンジンの空白に打ちこんでパソコンのエンターキーを指の腹でたたく。

(あれ、出てこない)

出てきた検索結果にざっと目を通すが、ほとんどがゲームに関する都市伝説の類いのネット記事ばかり。荊が求めている例のオンラインゲームについての情報はなかった。最近配信され始めたばかりのゲームだと言っていたから、遊んでいる人がまだ少ないのだろうか？

(そうだ……ネットの知恵袋で質問してみよう。何か回答があるかも)

質問：最近配信が始まったオンラインゲームが遊んでみたいのですが、ネットで調べても情報があまり出てきません。都市伝説もあるらしいのですが……どなたか知りませんか？

荊はインターネット上の質問サービスYEAH！知恵袋にそう書き込んでパソコンを閉じた。明日また見てみよう。誰かから回答があるかもしれない。

＊

翌日。夕方に下校した荊は自室にまっすぐ向かい、パソコンを開いて昨夜の知恵袋の質問ページを開いた。閲覧数は増えているものの回答はひとつもついていない。最初はこんなものかと思った荊が知恵袋のページを閉じようとした時、画面の右下に通知用ウィンドウが表示される。

meimei44 さんから回答がありました

荊は通知ウィンドウが消える前に手元のマウスで素早くクリックしてみた。リンク先の回答一覧が出てくる。そこには彼女が今求めている情報が書かれていた。

回答：それはたぶんHGWオンラインのことではないでしょうか？HGWはHoly Grail Warの略です。私も遊んでいます、面白いですよ

荊はすぐに回答者へ返信を書き込み、別ブラウザを立ち上げてHGWオンラインを調べてみる。ーーあった。検索結果の最初に出てきたページをダブルクリックで開く。ひと昔のゲーム機で発売された作品のような単音で構成されたBGMが流れ出し、シンプルなタイトルロゴが入った画面が現れた。荊は普段あまりゲームを遊ばないが、たまに動画サイトなどで実況プレイ動画を見たりして雰囲気だけは知っていた。操作できるキャラクターはカクカクした四角形で作られている。たしかこれ、ドット絵というのだっけ。

(あ……これ、面白そう)

気がつけば荊はHGWオンラインにのめり込んでいたようだ。部屋のドアをノックされた音で我に返って机の上の時計を見る。午後7時。そろそろ夕食の時間だ。

人物設定ほか

夜河　荊(よるかわいばら)
主人公で中学2年生。おとなしく内向的な性格。自分から意見を言うのは極端に苦手。のちにアサシンのマスターになる

アサシン
真名：スウィーニー・トッド
クラス：アサシン
身長/体重：170cm/55kg
出典：スウィーニー・トッド　フリート街の悪魔の理髪師
地域：欧州
属性：混沌・悪
宝具：悪魔の剃刀(デビリッシュ・レイザー)

夜河荊が呼び出したサーヴァント。フード付きパーカーのような変わった衣装に鋭い爪の生えた異形の両腕を持った白髪の少年。