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トークイベントまとめ【前編】俺より強いライターに会いに行く【テクニックより在り方が聞けるライター講座】イラストルポ系ライター編/ゲスト:斎藤充博(ライター・マンガ家・指圧師)、ギャラクシー(ライター・株式会社バーグハンバーグバーグ)(14280字)

■ビジネスやハウツーじゃない生のライター話です

こんにちは!ライター/イベンターの大坪ケムタです。

自分はフリーライターとして99年に仕事をはじめ、今年で20年になります。90年代から現在まで、紙からwebへとメインメディアが移行する中、媒体の特性に合わせてライターという仕事も大きく変わってきました。

(イベントの起こしはもう少し下ですので、「お前の能書きはいいから!早く読ませろ!」て人はスクロールしてください)

もともとライターとは文字通り原稿を書くだけの仕事だったのが、写真を撮り、htmlを組み、動画を撮影し、イラストを描き…といったことも当たり前の作業となり、今「ライターになる」という意味は一昔前とは大きく異なります。

そう思うと、ホント自分は旧世代のライターなわけです。文字を書くしか出来ないうえに、徹夜する体力も集中力も失われるばかり……!憎い!今どきのライターたちが憎い!…ハアハア…すいません、激昂してしまいました。

そういう変化を思うと、現在の「ライターという職業」についてあらためて学びたくなりました。
そう思って、ちょっと良さげなサロンぽいライターイベント行ってみたんですが、自分がどう大手メディアでうまいことやって転職してきたとか、今後のweb業界はこんな波が来るとか、そういう話ばかりでなーんか違うなと思ったわけです。どこか現場感に欠けるんですね。
といって、いまさら文章講座みたいなハウツーものをやるつもりもない。もっと今のライター界をサバイブしてる人の”ライターとしての在り方”を聞きたいと思ったのですね。

ということで、毎回web以降ならではの人気ジャンルのライターをお呼びして、デビューのきっかけといった話から、そのジャンルの可能性や悩みについてズバッとゆるっと聞いていくトークイベントを開催しました。文字どおり「俺より強いライター」に会いに行く!(実際はお呼びします、主に金の力で)

ということで、今回テキスト化したのは、記念すべきイベント第一回。

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俺より強いライターに会いに行く
【テクニックより在り方が聞けるライター講座】
~第一獄・イラストルポ系ライター~

【日時】10月10日(木)開場19:00 / 開演19:30
【会場】高円寺パンディット
【ゲスト】斎藤充博(ライター・マンガ家・指圧師)
ギャラクシー(ライター・株式会社バーグハンバーグバーグ)
【聞き手】大坪ケムタ(ライター/イベンター)

☆斎藤充博
1982年生まれ。「デイリーポータルZ」でライターデビューして以来、Webオウンドメディアを中心に体験記事を制作している。最近ではマンガも制作するようになり、Webだけでなく「清野とおるコミックエッセイ大賞」(講談社)の「期待賞」も受賞。

☆ギャラクシー
株式会社バーグハンバーグバーグでライター・編集として活動中。書いているのはオモコロ、オモコロブロス、ジモコロなど。ジモコロでは編集長をやってます。ニコニコでゲーム実況してました。

イベントは約2時間半、まとめ記事は前後編でお送りします。ちなみにテキスト化しているのは、全体の7割くらいです。文字にまとめるにおいて「発言的にちょっとヤバいかな……?」ということで削った部分もあります。そこは当日会場に来た人へのお土産ということで。どういう事を話してるのか気になる方は、ぜひイベントにもお越しくだされば。

それでは本編お楽しみください。まずはふたりがライターになったきっかけからうかがいます。

*初回なので有料価格お安くしてます。一週間くらいで通常価格に変更します。

■ライターのきっかけは”路上4コママンガ家”

大坪 では、まずはおふたりがライターになったきっかけからうかがっていきましょうか。まずは斎藤さんから。
斎藤 ぼくはデイリーポータルZってサイトでライターデビューしたんですけど、そこに読者レポートを受け付けるコーナーがあって、そこに何本か書いたら林さん(林雄司。デイリーポータルZ編集長)から「記事を書いてみませんか」ってタイトルのメールが来て。
ギャラクシー めちゃめちゃテンション上がるやつじゃないですか!
斎藤 もう、その日は眠れなかったですね……。
大坪・ギャラクシー ははははは!!
ギャラクシー でも、それはわかる!
大坪 一読者からだと「あの林雄司から来た!」ってなりますよね。「インターネット界の風雲児から!」って。それまでブログとかは書いてたんですか?
斎藤 そうですね。当時は会社員してたんですけど、会社が嫌すぎて、現実逃避をしたくて原宿の路上で4コママンガを描いてたんですよ。
ギャラクシー えっ、路上で?
斎藤 ”路上詩人”っているじゃないですか。それの4コママンガ版ってあったらいいかなって思って。「あなたを見て、あなただけの4コマ漫画を描きます」ってのを原宿ではじめて。その活動を知らしめたくて、デイリーの投稿コーナーに送ったんですよ。
大坪 「こういう活動してます」って感じで。
斎藤 そしたら自分の活動が知れ渡って、NHKが取材に来ると思ったんですよ。
大坪 はははは!そこまで考えてた。
斎藤 当時、NHKの番組で路上詩人を取材する枠?みたいなのがあったんで、絶対来ると思ったら全然来なくて。
大坪 ちなみにその路上マンガ家はどんな形で話を聞いて描いてたんですか? 4コママンガを売るんですか。
斎藤 まず話を聞いて。で、話を聞いてもその4コマは描けないんで、話とは全然関係ない4コマを描いて、タダであげるんですよ。そうするとお金をくれる人がたまにいる、みたいな。
ギャラクシー じゃあ、もうアーティスト活動なんですね。
斎藤 まあ、会社が嫌な人間の現実逃避なので……。

参考:当時の斎藤さんブログより
番外編 四コマ路上活動の様子(ウエブのたわみ)

https://ttmm345.exblog.jp/8113985/

大坪 でも、そこからよくライターとしての活動に移行できましたよね。いろいろネタを探して取材して、って方向になるわけじゃないですか。
斎藤 そうですね。言われてみれば、確かに不思議ですね……デイリーの雰囲気にうまく乗って、自分も考えるようになったっていうか。やっぱりデイリーポータルのすごいファンだったんで、会議とか行くとテンション上がるんですよね、最初は。
大坪 最初は(笑)。
斎藤 憧れの林さんとか古賀さん(古賀及子。デイリーポータルZ編集者・ライター)とかにウケたかったんですよ。そういう感じでネタはできていったんだと思います。
大坪 この場にいたい、て思いで企画を出すように。
斎藤 あとデイリーポータルZで書き始めたときに、会社も辞めて指圧の専門学校に通いだしたんです。それで学生なんで、バイトしなくちゃいけなかったんで、バイトの一貫としてデイリーポータルZでも書いてたみたいな感じではありますね。
大坪 そのうちに本業としてライターがメインになっていくみたいな。たしかに今の流れだと記事にイラストが入るのは自然ですね。
斎藤 そうですね。路上4コマから始まってるんで。
ギャラクシー そんなスタート地点の人います?

■「文章の方が楽だな!」と思って風俗ライターに

大坪 確かに(笑)。じゃあギャラクシーさんのライターになったきっかけを教えてください。
ギャラクシー 僕はもともとデザイン的な仕事をやっていて、「ページまるごとやっちゃってよ」みたいな時に文章も入れるということをやっていたんです。そしたら「文章の方が楽だな!」って思ったんですよ。
大坪 昔から本業カメラマンやデザイナーの人が、編集者に誘われて原稿も書くようになって、それが高じて本業ライターになることは多かったですね。
ギャラクシー デザイナーからすると(Adobeの)Illustratorとかphotoshopって、バージョン変わったら全部覚え直さなきゃいけないじゃないですか。文章なら紙と鉛筆だったら出来んじゃん、って思って。それで、どっかで文章勉強したいなって考えるようになって、どうせならちゃんとした会社で書けるようになりたいなって思って、入ったのがエロ雑誌。風俗情報誌で、モデル兼ライターとして。
大坪 モデルを兼ねて(笑)。風俗誌のモデルって何かと言われればだいたいもう想像つくわけですが。
ギャラクシー 実際にはやらないですよ、フリです。写真を撮るための。
斎藤 へえ~。
ギャラクシー いまだに気持ちいいときの顔とか上手いですよ!(顔芸を実演)
大坪 ワハハハ、それっぽい! モノクロ雑誌っぽい!
ギャラクシー それが25歳ぐらいからやり始めたかな。20年くらい前。
大坪 あ、ぼくもAVライターをその頃始めたんで結構近いですね。
ギャラクシー 兄弟分だ(笑)。
大坪 その当時はむちゃくちゃ仕事があったんですよね、エロのジャンルは。
ギャラクシー そうですね。だから未経験で雇ってくれたんですよ。今はwebライターとかけっこう一般的な職業だし、募集してるところも多いですけど、当時はwebもまだなかったし、そう考えるとすぐ仕事として書けるところってエロかなーって。
大坪 それが今みたいなwebの方にっていうのは、何かきっかけがあったんですか?
ギャラクシー そこからライターとしていろいろやったんですよ。通販番組の脚本書いたりとか。
大坪 へえー、放送作家みたいな。
ギャラクシー 芸人さんに読んでもらう脚本ですね。なるみさんとか知ってます? 大阪の芸人さんの。
大坪 はいはい、女性漫才のトゥナイトに元いたなるみさんですね。
ギャラクシー 「なるみ:驚く」みたいなこと書いて。
大坪 「これがなんと29800円!」みたいな。
ギャラクシー まさにそういうのをやってたんですけど、その会社が倒産しちゃって。それで4、5年くらい警備員とか派遣の工場とかで働いてたんです。
大坪 そういう時期もあったんですね。
ギャラクシー それで「いやこれ家賃も払われへんし、ヤバいな」ってなって。当時はまだ恋人でしたけど、今の嫁と「なんとかしてよ!」みたいな感じになったときに、これもう死ぬか別の仕事やるか、どうしよう? って。
大坪 そこまで追い詰められた。
ギャラクシー それで「ゲームしよ!」って。
大坪 ははは! ダメじゃないですか、逃避に逃避を重ねちゃ。
ギャラクシー  ゲームをするしかない! って思ったんですよ。当時ニコニコ(動画)でゲーム実況が流行ってまして、それである程度人気が出たのをバーグハンバーグバーグの元社長のシモダから「ファンです、会いません?」って誘ってもらって、会ったその日に「じゃあ、うちで働いてください」って。
斎藤 そんな出会いだったんですね!
ギャラクシー うまい感じになったんですね。だから逃避は決して無駄ではないと。
大坪 ホントですねえ。でも雇われた時点では「ゲーム実況の人」なんですよね。
ギャラクシー そうですね。だからシモダは僕がライターやってたっていうのも知らずに誘ったんです。だから、あとで聞いたんですよ。「ぼくが文章まったく書けなかったら、どうするつもりだったんですか?」って。そしたら「端っこに立っといてもらうとかでもいいけど、一緒の建物の中で仕事したかった」って。
大坪 そこは運がいいというか、会社入ってみて過去のライター経験が生きたんですね。


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