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【正直レポ】VISON(ヴィソン)に行く前に読んでほしいこと

先日、VISON(ヴィソン)に行ったので、その正直な感想を残しておきたい。

VISON(ヴィソン)とは三重県多気町の山と谷を切り開いて作られた巨大商業施設であり、東京ドーム24個分という広大な敷地内に、飲食店や雑貨屋、宿泊施設、温浴施設が入っている。

ヴィソンは関西圏ではニュースで取り上げられたり、電車内に広告が出されたりと、何かと目にしていたのでいつか行ってみたいと思っていた。

今回たまたま金曜に休みが取れたので、金土を使ってヴィソンに行ってみたのだ。
とはいっても実際ヴィソンにいたのは土曜の14時~18時ほどである。
なので、余すところなく味わったという訳ではないのだが、日帰りでヴィソンに行きたいという方の参考になれば幸いである。

ヴィソンとは

改めてヴィソンについて紹介しておこう。
VISON(ヴィソン)は日本最大級の商業リゾート、というふれこみで三重県多気町に2021年4月にオープンした巨大商業施設である。
多気町は三重県の中央部に位置する町で、伊勢神宮に至る伊勢自動車道路と熊野に至る紀勢自動車道が分岐するのが場所に位置する。
自動車での伊勢神宮、熊野大社への行き帰りに、必ず目にする立地で、伊勢神宮方面からは、多気ヴィソンスマートICというヴィソン専用といえるスマートインターチェンジまで設置されている。
アクセスがいいのか悪いのか微妙な立地である。

本当に巨大な施設で、東京ドーム24個分に当たる54ha(約700m四方)という広大な山と谷を切り開いて作られている。
きっかけは、多気町からアクアイグニスというリゾート企業へのアプローチらしい。
このような大規模開発は行政が主導したからこそ成し得たのだろう。

ヴィソンには、アクアイグニスの他にもイオンタウンとロート製薬という二つの企業も共同事業社として参画している。
イオンタウンは園型(屋外型)商業施設の開発運営を、ロート製薬はヴィソンの温浴施設「本草湯」を担っているらしい。
それともう1社、不動産投資会社のファースト・ブラザーズも加わってヴィソン多気株式会社を設立している。
全て何かしら三重県にゆかりのある会社で、三重県を挙げて地方創世を進めていこうという心意気が感じられる。

各店舗レビュー

そんなヴィソンには、和食屋・洋食屋・カフェ・パン屋・スイーツ店・露天形式の飲食店・ホテル・温浴施設など様々な施設が出店している。
今回僕は全て行きつくしたわけではないが、行ったところの感想を覚えている限り書いてみる。

マルシェヴィソン

露天形式でいろんな飲食店が入っているマルシェヴィソンエリア。
駐車場から近く、最初に訪れる場所はおそらくここになるだろう。
ここには海女小屋があったり、インスタ映えするハンバーグ乗せご飯のお店があったりと、ここを目当てに来る人も多いのではないだろうか。
だが、僕はお昼ご飯を別のところで済ませてから来てしまったので、一旦何も食べずにスルーしてしまった。
これが悲劇を呼ぶことに。

一通り周り終えて、お風呂にも入り、小腹が空いてきた頃、ハンバーグ乗せご飯でも食べてインスタにでも載せようかと思いマルシェヴィソンに戻ってきたのだが、17時30分の時点で売り切れ。
その他ほとんどのお店が店じまいを始め、食べ物にありつけない事態に陥ってしまった。
がっつり食べるのは諦め、小腹を満たすために海老の串を購入。
美味しかった。

ここには三重県で採れた新鮮な野菜やお肉、海産物を取り扱うお店が多く出店されている。
時間とお金に余裕をもって楽しみたい場所である。

和ヴィソン

和ヴィソンには味噌、酢、海苔、出汁など、和食の素材になるものを取り扱った店が多かった
店内は基本的に物販ゾーンと飲食ゾーンがあり、飲食ゾーンではその食材を使った料理が食べられる。

魅力的な商品もたくさんあったのだが、正直僕はヴィソンに食材は求めてはいなかった。食材ではなく既製品が欲しかったし、どちらかといえば雑貨や服飾系の商品を求めていた。

なので、このゾーンでは日本酒だけ購入した。
福和蔵という酒造で、ヴィソンの店舗の裏側に蔵があるらしい。
車なので試飲はできなかったが、美味しそうだったので生酒の大吟醸を購入した。家で飲むと香りが豊潤でとても美味しかった。

サンセバスチャン通り

ここには雑貨屋やスイーツ店、飲食店が多く出店している
サンセバスチャンとはスペインバスク地方にある美食の都と称される街で、多気町がヴィソン開発のために、サンセバスチャンと姉妹都市のような「美食を通じた友好の証」 を締結し、協力を仰いだことが、通りの名の由来らしい。
サンセバスチャンは、ピンチョスというワンポーションのおばんざいが並ぶ小さなバルをはしごするという食文化が根付いた街だ。
ヴィソンにはサンセバスチャンにも実在するバルが4店出店している。

このサンセバスチャン通りは、木造二階建ての長屋街で、一階が店舗、二階が「旅籠」という宿泊施設になっている。ヴィソンには宿泊施設が三タイプあるのだが、この旅籠が最もリーズナブルな宿泊施設となっている。
旅籠に泊まり、夜はサンセバスチャン通りではしごなどすれば最高である。

ちなみに僕は上記の理由でここでも何も食べていない。
それに今HPをみたら、ここのお店は17:30から夜営業が始まるようだ。
僕はまさに今から夜営業が始まるという直前のタイミングに夕飯を求めて訪れ、何もないことに絶望して帰ってしまったようだ。
あわれなり。

温浴施設

一通り見た後、車で本草エリアに移動しお風呂に入った。
ここのお風呂は入浴料800円と、ここだけ物価が平地並みである。

安いからといってしょぼいかと言われるとそんなことは全くなく、めちゃくちゃ力が入っていて、めちゃくちゃ気持ちよかった。

ロート製薬とタッグを組んでいるだけあり、施設に入ったそばからハッカのような爽やかな良い香りが漂ってきた。
お風呂は天然温泉ではないが、クラフト温泉というものすごく力を入れた人口温泉のようだ。
なんと、温泉シェール層と呼ばれる火山層の鉱石を細かく挽き、高圧の釜に投入し、高密フィルタで丁寧にドリップして温泉成分だけを溶解した超高濃度の濃縮温泉らしい。きっと凄いことなのだろう。

お風呂の構造にもこだわりを感じられてよかった。
男湯と女湯は日替わりなので今回は片方しか見れなかったが、天井の隙間から太陽の光が差し込み、神々しく輝いていた。きっとそういう設計なのだろう。
山を切り開いた開発なので、露天風呂は隣の山がよく見え、大自然を感じれる。
目の前にも木々が広がっており、僕は木にとまった2匹のメジロがかわいくて追加で癒された。

もう風呂がヴィソンの本体と言ってもいいほど僕は満足してしまった。

ちなみに、ヴィソンは「自然と共に生き・生かされていく、美しい循環をめざす場所。」を標榜しているのだが、自然を大規模に切り開いて作った施設なのは矛盾しないのだろうか。

正直な感想

冬場はかなり寒い。
商業施設というとイメージするのはイオンのような建物内にテナントが出店する形式だが、ヴィソンはすこし違う。
ヴィソンには一軒家の店がたくさん並んでいるのだ。
イメージで言うと、小さな村があるようなもので、店と店は室内で繋がっておらず、違う店に行くには一度外に出なければならない。
なので、冬はとても寒いし、屋根が付いていない場所がほとんどなので悪天候時には本当に嫌な思いをするだろう。

それに、マルシェヴィソンは店で買ったものを屋外のテーブルに持ち寄って食べたり、BBQをするという形式が多く、室内で飲食できる施設が少ない。
僕が行った日がたまたま大寒波の日だったというのもあるが、冬にはとても外で飲食できたものではない。

室内で食べられる飲食店は閉店時間がやたら早く、マルシェヴィソンは夕食には向いていないので注意が必要だ。
(全ての店舗が閉まるのが早いかと思っていたが、サンセバスチャン通りは夜もやっているっぽい。これを見逃したことが今回の私の最大の失敗である。)

そして、土地が広大過ぎて施設間の移動が大変である。
ゾーンごとにテーマがあり、ゾーン内の店舗はある程度集積して建てられているのだが、ゾーンとゾーンの間は距離が離れており、山を切り開いているということもあり高低差も大きい。
この時ばかりは本気で翔蟲かガルクが欲しくなった。
車で別のゾーンまで移動することも可能であるが、いちいち車まで戻るのも面倒くさいので、有料で電動キックボードを借りるのもいいだろう。

あとは、この施設に入っている店舗は飲食・食品系が多い
なので、洋服や雑貨を求めている人はヴィソンではなくアウトレットに行った方が良い。
イメージとしては、巨大な道の駅やサービスエリアといった感じで、和歌山のとれとれ市場を一回り大きく、おしゃれにしたものという表現が近いだろう。
このあたりの認識の齟齬がないかは要確認である。

もちろん良い面もある。
全体の設計や商業施設の1つ1つからはこだわりを感じられた。
ナショナルチェーンやコンビニは一切なく、いわゆる「意識高い系」と言われるような店舗のみで構成されている。
出汁のお店では担当者を付けてまで試飲を案内していたし、酢の店では酢の製造工程を実際の樽を展示して解説している。
日本酒の店では店の裏で実際に醸造したものを店頭で売っている。

このように、店舗の一つ一つに、「この店で買う理由」のようなものを付けるための工夫が施されているように感じた。
これは経営的な観点からも、顧客体験の観点からも素晴らしい取り組みだと思う。

そしてなにより、お風呂が気持ちよかった。
僕の一番の感動ポイントはそこである。

ヴィソンを最大限楽しむには、おそらくは晩夏から秋の時期に、恋人と泊りで行くのが最も楽しいだろう。
昼はBBQをして、ショッピングを楽しみ、夜はバルをはしごして風呂に入り、ホテルに泊まる。そんなコースが取れれば最高の思い出になるだろう。
秋であれば気候も安定し、屋外の時間が多くてもそこまで気にならない。
(春は花粉が心配)
施設自体は半日あれば十分回り切れると感じた。
なので、二日目は早々にヴィソンを発って、伊勢神宮に行くこともできる。
これが理想ムーブだろう。


いろいろ書いてきたが、僕はヴィソンが結構気に入っている。
お金と時間に余裕があれば、ぜひ上記ルートで再訪したいと思っている。
(その時恋人がいればの話だが。)

今回の僕のレビューが誰かの参考になれば幸いである。

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