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ベンチャー企業で人がやめる原因ってなんだろう

おはようございます。おいとま(@not_barikyari)です。
しがないベンチャー企業でBtoBマーケティングの仕事をしています。

最近、身近な同僚が退職したり、自分自身も転職を考えたりする機会がありました。
そんなときにたまたまメンタリストDaigoさんの動画がYoutubeのおすすめにあがってきて、見てみたところ、、、これだ!と思ったので記録の意味でnoteに書くことにしました。

メンタリストDaigoさんの動画

私が見たのはこの動画です。
UUUMと、ジャニーズ事務所からの退所が増えている理由を考察しているものです。
このnoteは読まなくてもこの動画を見れば、ベンチャー企業にお勤めの方はあー!と思うのではないでしょうか?

動画の中で語られていたこと

UUUMとジャニーズ事務所から退所する人が増えている理由として

①情熱頼りだった人が脱退している
②相対的に自由度が低下している
③事務所に所属するメリットが低下している

があげられていました。
これってベンチャー企業で人がやめる理由に似ている部分が多いように思います。

①情熱頼りだった人が脱退

動画の中で触れられていたのは、好きなことを仕事をするにする人・情熱頼りで仕事をする人は離職率が高い、ということ。

UUUMといえばこのYoutubeのCMでもわかるように、「好きなことで、生きていく」人が集まっている世界です。

これ自体はとても素晴らしいことですよね。

動画の中で紹介されていたのは、オクスフォード大学のとある研究です。
その研究によると、人の働き方(働く人の思考、という方が正しいのかな?)には3つのパターンがあるそうです。

①アイデンティティ思考
 ー自分はこの仕事に特別な才能を持っている
 ー自分はこの仕事が好き
②貢献思考
 ーこの仕事で社会に貢献したい
 ー自分は意味のあることをやっている
③実践思考
 ー仕事は仕事として割り切っている
 ー自分の能力が仕事にどう使えるかを考える

仕事のスキルがあがって成果が出せて安定的に職場に定着するのは、③の実践思考の人、という研究結果があるそうです。
アイデンティティ思考や貢献思考の人は、ストレスに弱く離職率が高い、と。

Daigoさんの仮説は、事務所内で上にのしあがったにも関わらず、裁量権がないという現実に直面したり、チャンネル登録数・視聴数が伸びたにも関わらずやりたいことがやれない、というストレスに直面したことが離職に結びついたのではないか?というものでした。


情熱や好きを頼りに仕事にしてる人が集まると離職率があがる…

情熱や好きを頼りに仕事をしたい人・している人が集まるのがベンチャー企業なので、これを見るとベンチャー企業で離職率が高いのは仕方ない気もします。
特にベンチャー企業の採用活動においては、めちゃめちゃ夢を語ります。
大企業に比べて候補者を惹き付けるようなお給料が払えるわけでもなく、事業が継続していく保証はどこにもありません。
だからこそ、ベンチャー企業の採用は、社長や役員が候補者に直接「この事業が存在する意味」や「事業を通じて解決したい課題」を熱く語ることが多いです。
候補者もそこに合意の上で入社するわけですが、その際も本当はもっとバランス感のある決断が求められるのかなという気がしました。ベンチャー企業が感じる社会課題への共感や、その事業ドメインが好き、という気持ちだけではなく、そこで自分のどんな能力が活かせそうでどんな能力がさらに伸ばせそうかを考えないと、ストレスを感じる場面に直面した際に折れてしまう気もします。
まぁ、そのバランス感覚がないからこそベンチャー企業で働く、という選択ができる気もするので、なかなか難しい気もしますが。。

一方でベンチャー企業側も、情熱だけではなくて、実践思考があるか(採用時の段階でなかったとしても、入社後に実装できそうか)という観点で見極めをする必要があるし、入社後のオンボーディング期間から実装・育成する努力をしなければならないように思います。半年後には社内が様変わりしているのがベンチャー企業だけど…せめて採用時に、入社3ヶ月後ぐらいはイメージしておいた方が良い。そして自分たちが盛大に夢を売った採用時のことはしっかり記録しておこう。たぶんベンチャー企業が大好きな1on1ってそういう実装をするためにある時間なんだろうな…と。

②相対的自由度の低下

自分の仕事に対する裁量権・自分で物事を決めれる権利がどれくらいあるかで仕事へのモチベーションや幸福度が決まる。これは人間の人生全体にも言えることで、自分の人生をどれだけ自由に決められているか、と幸福度はきれいに比例する。
その自由が制限されるとモチベーションが下がる。
人が感じる自由は相対的なもの。

これは、成長過程にあるベンチャー企業における退職理由にありがちな気がします。

ベンチャー企業の魅力のひとつに、社内が未整備で個人の役割が細分化されていないこともあり、ひとりひとりのカバー範囲やそれに伴う裁量権が大きいことがあります。ただし、ベンチャー企業の方が大企業より創業者や社長の意向が大きいのであくまでもトップの意向に沿っている場合に限り、という条件があることと、そんなにお金がないことも多いのでお金が自由に使えるという意味での裁量ではない、という点には留意が必要です。
言い換えると、「お金はないが、会社の方向性(トップの向いている方向性)から逸れていなければやれることはなんでもやってみよう!」という工夫の余地がたくさんある、という状態です。
毎日がゲリラ戦。ヒリヒリしますねw

ただし、日々のひとりひとりの努力の結果、事業がグロースし始めると状況は一変します。

事業のグロースとともに、コンプライアンスや、内部統制の観点で今までできていたようにやりたいことがやれなくなる。
会社が大きくなると、何かを決める際にあいだに入る人が増え、自分の意志で決められることが少なくなる。
たくさんの人の許可をもらわないと自分の企画が通らなくなる。
周りのベンチャー企業に比べて自由度がないと感じるようになる。
結果として、モチベーションの低下・会社へのエンゲージメント低下が起こる。

加えて、ここでは別の研究結果が引用されていて、

人が情熱を発揮し続けるのには条件があり、自分が前にすすんでいる・成長している実感がないと情熱は発揮できない。
仕事に対する選択の自由がないと情熱が減退する。

ただでさえ、情熱を頼りにしている人を集めていて離職が起こりやすい状況であるにも関わらず、彼らに自由度や裁量権を与えないと成長実感が得られずその情熱も失われ、離職率が上がるという図式ということですね。

ベンチャー企業は情熱をエサに候補者を集め、ただでさえ人が離職しやすい状況にあるにも関わらず、事業がグロースする過程で徐々に自由度を奪っていく、という状況が起こりがちな場所ではあるので、一定の離職はやはりやむを得ないというのがうかがえます。
唯一できることがあるとすれば、自由の奪い方なのかな…
自由は奪われても、成長実感や前に進んでいる感があればそこまでエンゲージメントが下ることはない気もします。
ベンチャー企業でよく「昔はぐちゃぐちゃだったけど、ルールが整備されて、我々もやっとこんなフェーズに来ましたね」みたいなコミュニケーションが定期的に行われるのは上記への対策なのかも知れません。まぁそのコミュニケーションが響く人と響かない人がいるので注意は必要ですけど。

③企業に所属するメリットの低下

昔は企業に所属していないとできなかったことが、個人で稼げる人が増えてきたせいで、自分でもできるんじゃない?と思う人が増え始めた。

これも、ベンチャー企業の離職理由あるあるですね。
特に今は以前より、企業に属しながら個人として実名で発信をする人や副業がOKな会社も増えています。
②であげたような自由度の低下が起きた際に、だったら起業までいかなくても個人としてフリーランスでやった方が良くない?という発想に以前よりなりやすい環境にあるのは間違いなさそうです。

だからといって、個人のSNSによる発信や副業を制限してしまうとそれはそれで離職が増えてしまうと思うので難しいところではあります。。
大企業より、自由度や裁量以外で企業に所属するメリットや恩恵の提示が難しいベンチャー企業において、この手の離職は仕方がない部分もありそう。

ベンチャー企業において離職率が高いのは仕方がないこと

考えてみると、どのベンチャー企業においても起こりうる事象ばかりで、ある一定ラインは仕方がないことのような気もします。

でもその中で、やれることがあるとすれば

・採用の段階で、アイデンティティ思考や貢献思考だけではなく実践思考を見極める(やる気や思い・勢いだけで採用しない)
・採用時には仮になかったとしても入社後に実践思考を実装する努力をする
・グロースとともに自由や裁量を奪う場合は、成長実感にコミット・配慮をする

あたりでしょうか…見る限り無理難題。。。
ベンチャー企業こそ、大企業以上にマネジメントの能力が問われますね。。

ベンチャー企業で人が辞める原因を考察しながら、最近モヤモヤしていたことの原因が割と特定できたのと、企業側がじゃあどうしたら良いのかを考えたら何それ無理ゲー…という感じなので経営層に少し優しくなれそうな気がします。

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます。
普段はベンチャー企業で働くマーケターの日常をTwitterに書いているので
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おいとまちゃん@ゆるいマーケター(@not_barikyari

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