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【備忘録メモ】【EN】ZINE_Engineering―― 「霊長類フリーマガジン」のつくりかた ②構成編

■ どこからはなそうか


  「霊長類に光を当て、『好き』を詰め込んだ雑誌を作る!」と決意して始動させた霊長類文学フリーマガジン「【EN】ZINE」「多様さは、ゆたかさだ。」というメインコンセプトを決めた上で、雑誌を構成する目次部分の骨組みを作っていきました。

「巻頭言」と「巻末言」で雑誌のコンセプトと霊長類や動物園の未来への展望に言及することははじめから決めていました。霊長類フリーマガジンは個人的な霊長類が好きという気持ちを発信することに加え、「動物園という場を媒介にした『動物園文化』を醸成する」ことを大きな目標として制作し始めたので、「呼びかける」ページはどうしても必要と考えたのです。結果的に始まりと終わりがはっきりした、分かりやすい構成になったと感じています。

■ 雑誌らしさってなんだ

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   巻頭言の次のページには、ルポルタージュを置くことにしました。かつてウェブ上で公開した記事(地獄谷野猿公苑の訪問ルポ)の再構成原稿と、書き下ろしになる野生ニホンザルとの出会いを記したルポを冒頭に写真とともに提示することで、アイキャッチになるだろうと考えたのです。
   一般誌のオピニオン欄・書評欄を意識し、本の紹介ページ、評論を中盤に配置。中盤の目玉としては、霊長類をテーマにした発信や創作活動を続けている人たちのインタビュー記事を載せることにしました。そして詩歌を終盤に登場させることで、誌面全体が雑誌らしくなってきました。

■ 多様さはひとりじゃつくれない

   この時点までは、「【EN】ZINE」は私ひとりが独断で編集する「個人誌」として構想されていました。しかし、並べた目次を見て、インタビューや書評こそあれ、書き手が私ひとりであることにだんだん違和感を覚えてきました。
  「多様さは、ゆたかさだ。」とうたいながら、私ひとりの視点しかなかったらコンセプトを体現しているとは言い切れない。 

    すでにこの時点で無償での配本を想定している冊子としては異例とも言えるページ数でしたが、私はおっかなびっくりこの雑誌に寄稿して頂ける方を募集し始めることにします。その経緯はまた次回の記事でまとめることにします。

■ 2冊目の目次構成

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   1冊目の「【EN】ZINE」が想定以上に多くの人から反響を頂いたこと、新型感染症の拡大による活動の制限が長期化していたことを受け制作した2冊目の霊長類フリーマガジン「【EN】ZINE Re:Boost!!」の構成も、1冊目に引き続きコンセプトを前面に押し出しながら進めていきました。

 「サルはうたう、ヒトもうたう。」と銘打った「【EN】ZINE Re:Boost!!」では、詩歌の特集はマストだ、と決め、巻頭言も「歌」を意識して企画立ち上げと同時に書き下ろしていました。

  2冊目は1冊目と異なりはじめから寄稿を募集しながら制作していたため、実際の掲載順は寄稿者の方々からページ配置などを細かく聞き取りながら進めていますが、「特集」に各個別の記事が繋がるよう意図を持って構成に取り組みました。1冊目よりも作業としては緻密だったかも知れません。この辺りの調整過程についても、また次回以降で詳しく触れていこうと思います。


  ここまで、2冊の「霊長類フリーマガジン」の誌面構成過程について簡単に振り返り紹介しました。次回の記事では、寄稿者の募集プロセスについて、そして雑誌の印象を当初のイメージから数段強固な完成系に引き上げてくれた表紙イラストの依頼への流れについて振り返っていきます。