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【ご報告】クロージング・フィールド・ノート――これまでのこと、これからのこと

 こんにちは。動物園・水族館を中心とした趣味活動を発信してきたX(旧・twitter)アカウント(@weiss_zoo)の稼働を止めてから、数ヵ月が経過しました。
 この間の私自身の環境や心境の変化を辿りつつ、これまでとこれからについて簡単に覚書としてまとめたいと思います。

結婚しました

 6月に交際相手と入籍しました。知的好奇心にあふれていて、動物園や博物館にも明るく、話題が尽きないひとです。
 初めて一緒に出かけた日、上野動物園の「日本の鳥 Ⅰ」のベンチに腰掛けて閉園の音楽を聴きながら、ふたりでこれからの話をしたのが思い出に残っています。

恩賜上野動物園「日本の鳥 Ⅰ」

単身赴任しています

 前述の入籍は、別居婚の形となりました。職場都合で、4月より単身赴任生活となってしまったためです。
 赴任先での生活も軌道に乗り、月に何度かは妻と過ごす時間もありますが、遠出はとても難しくなりました。

ライフステージと趣味活動

 身辺の変化の中で、動物園・水族館への訪問回数は激減しました。
 私は動物園を主題に様々な企画を形にしていく中で、これまで「現場を訪れて自分が見て、触れて、感じたことをベースに創り、企てる」ことを信条としてきました。
 動物園に足を運ぶことに大きな制約があった新型コロナウイルスの流行期においても、動物たちに会いに行くために日本全国を飛び回った長い時間を糧にして活動を継続していました。
 しかしいま、地理的・時間的制約によって動物園・水族館に足を運べない中、過去を向いて発信することにはためらいがあります。
 動物園・水族館の置かれている環境は日々変化していますし、私自身も、「いま」と「これから」を生きていくために、価値観を変化させている只中に居ることを日々実感しています。

文化とファンダム

 これまで私は、「動物園(・水族館)が社会的役割を向上させプレゼンスを高めて行くため、従来の『生涯に3度行く場所』という価値観を超える、『新しい動物園文化』を生み出していくことが必要ではないか」と主張してきました。
 このスタンスは「不要不急」という言葉が席巻したコロナ禍の風潮に対する私なりのカウンターであり、実際に趣味活動の後半期はZINEや読書会、短歌といった「都市的な文化活動と動物園を接続すること」に関心の主軸が移っていたように思います。

  しかし、動物園・水族館の「いま」に根差した活動が難しくなり、急速に動物園・水族館が遠い場所に感じられることを否定し得ません。
 また、各園館に根を下ろすファンダムが成熟してきているなかで、すでに私は個人として打ち出していた主要な活動目標を達成してしまったようにも思います。
 

進化的生活

 進化生物学には「種は生き残るために、絶えず進化し続けなければならない」ことを命題とする「赤の女王仮説」という理論があります。
 動物園・水族館という社会施設の行方や、動物たちが置かれている環境に対する関心を失ったわけではありません。しかし、「動物園文化」の第一線からは離れ、少し遠い場所から見守る関わり方にすでに私自身は移行しています。
 そして、趣味を過ごす時間の色合いや長さは変わっても、生活は続いていくのです。

 私はこの辺りで連続性を持ったフィールド・ノートの筆を置くことにしますが、古い友人たちの顔を思い出すように、何度も歩いた園館の風景や動物たちの表情を思い出すこともあると思います。
 ひとりで動物たちと向き合っていた私が、今度は家族とともに動物園を歩く時がきたのなら、どのような仕方で動物たちと再会することになるのだろうか、我がことながら楽しみにしています。

 2017年から足掛け6年以上に及んだ趣味活動を通じて関わりを持つことができた方々との時間は、私にとって宝物です。
 十人十色の「動物園から見える風景」を知ることができ、20代の大部分に横たわるゆたかな時間を過ごすことができました。
 今後ともご縁がありましたら、どうぞよろしくお願いいたします。