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なぜ、MRの情報提供ガイドラインはここまで厳しくなったのか

MR(医薬情報担当者)いわゆる、医薬品の営業マンは現在、とても厳しいルールの中で営業活動をしています。今回はその歴史や概要についてご紹介します。

ディオバン事件

事の発端はこの当時めちゃくちゃ売れてたこの医薬品に関する、誇大広告の違反事例にあります。ディオバンは高血圧の薬、ただ、ほかの高血圧の薬と差別化を図る為に当時
「高血圧が治る意外にも色々と効果があるよー」
とデータを出して宣伝していました。データを出すのは医師の仕事なのですが、ここに社員が身分を偽ってデータを操作していた事がわかってしまったのです。まぁ、ここは「ディオバン事件」とググってみて下さい。

マズイと思った製薬協

これはマズイと感じた製薬協(製薬会社が作っている業界団体)が、自主ルールを作り、クリーンな営業活動を各社に促しました。
ところが
売ってなんぼなんじゃーい‼️
という業界の風習は変わらず、違反事例が相次いで報告されました。

ついにキレた厚労省

「自分たちでなんとかしますって言ってたけど、結局無理じゃねーか💢」
とついに厚労省が怒ってしまい、こっちが主導で徹底的にやったるでー
とかなり本格的になったのが2019年4月から。
まあ、正直言って何も出来なくなった感じです。

結局は、業界内の努力では売り上げ市場主義からの脱却は困難だと判断されてしまい、自分たちの首を絞めまくり、ルールがとても厳しくなってしまったというお話でした。

MRができなくなったことまとめ


・添付文書上にない効果を連想するようなプロモーションの実施
普通じゃん、とツッコミが入ることかもしれませんが、例えば同じジャンルの血圧の薬を売るのでも、「うちの薬には腎臓を保護する効果があるので、腎機能が低下している高齢者には特におすすめです」みたいな営業トークは日常茶飯事でした。これがダメ、ということは、
「じゃー同じジャンルの薬の中でどう使い分ければいいの?」
と、聞かれた時に、ルール上は答えようがないということなんです。

・他社医薬品との比較データの提示の禁止
上記と重なる部分が多いですが、他社誹謗に関しては非常に厳しくなりました。なので、A薬と自社医薬品Bの効果の比較のデータを取ったところ、うちの製品の方が優れていました。。なんてデータを出すのは言語道断。

・誇大広告の禁止
これまた文言上は普通のことですが、求められている中身が厳しい。
MRの業務の中に、得意先に自社の医薬品を宣伝す説明会というものがあります。会社から配られたスライドを、得意先のニーズに合わせてカスタムし、15分程度のプレゼンを行うのですが、効能効果ばかり中心のプレゼンをしてしまうと、この誇大広告に引っかかります。なので、基本的にはスライドの入れ替えは禁止になり、スライドの中の説明内容の中に安全性の情報は何割以上入れなくてはならない。会社によっては、各スライドの表示時間まで管理され、副作用情報のスライドの表示時間が少ないと会社から連絡が来るなんて話も聞いたことがあります。


会社はこのような厳しいルールをー守っている事を証明為る為に、報告書、確認書、報告書、確認書の嵐。。。

接待などがなくなり、情報提供という本来の業務に専念する環境が整った。という前向きな意見もありますが、これだけの制約の中、やりがいを見出すことはより困難になったように私は感じ、転職しました。


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