運命

信じられないような出会いだと君は言った
境遇と接点の希薄さから
あまりに感激を込めて言うものだから
僕は黙ってうなづいた

この出会いは運命づけられている
と君は言った
僕は運命についての自論を口腔内で反芻した

運命という単語は物事が起こって
それが展開するかして終焉したとき
もはや出来事に干渉できない段階で
一連の出来事に題名を付けたいときに
一番似つかわしいものだと
つまりこれほど利己的な単語はない

僕らは出会い、終焉を想定しない
いつも経過を生きる、君が
そのきっかけを祝いたいのだと思ったから
僕は黙ってうなづいた

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