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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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#ポエっちゃお

奇跡に狙われている

奇跡に狙われている

そして
背を向けた
あっちも
輝いていたから
.
まだまだ遠い空の色
忘れられず
.
心許ないからかな
泣いてばかりの
この頃は
理由だけを捜しながら
わざとらしく迷った
いつもの道
逢いたかったんだ
多分きっとさ
.
.
やがて
手を振った
そっちが
賑わっていたから
.
いよいよ長い風の中
見つけられず
.
取るに足りないとはいえ
逃げてばかりの
あの頃は
自由だけを叫びながら
わざとらしく笑

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演者

演者

思い出を並べた
窓際の本棚
模様替えで動かせば
埃と共に見つかった写真
.
その度に開かないと
忘れてしまうようなものでも
こんなに恋しい
.
知らなかった
そんなことばかり
笑っていいのか
判らないのならばもう
知らないふりのまま
知ったかぶりのまま
演じてみる
感慨深そうな顔を作って
程よい涙も抱えて
なりきってみる
たまには
.
.
溜め息を重ねた
街角の公園
遠回りに準ずれば
視界の隅で見

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ケダモノミチ

ケダモノミチ

切り取れば
幾つでも
物語は生まれる
この今だって
.
その笑顔に忍ばせた
遅効性のばい菌が
思い出の中で猛威を振るう
.
勝てない
そう知って
初めて
痛みを伴って
ぼろぼろのままに
天を仰ぐ
泣いてもいいけれど
替えの服は持っていない
汚さないでね
.
.
踏み出せば
何度でも
紙芝居は始まる
今さらだって
.
その言葉に灯らせた
指向性の眼光が
優しさの外で好機を狙う
.
咲かない
そう知っ

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一番遠い雲

一番遠い雲

それぞれに泣く夜
人知れずとも
やがて流れ着く先には
きらきらと
.
舟に引かれた光
その色は
七つどころではない
.
ここから一番遠い雲を
今日も静かに見つめている
何かの拍子で
降りかかってこないかと
落ちる訳もない
その柔らかさのこと
考えている
ここから一番遠い雲は
気づくと
すぐ近くにあった
.
.
どうしても止む雨
仕方ないから
きっと思い出す頃には
まざまざと
.
酒に呑まれた瞳

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Barking up the wrong tree

Barking up the wrong tree

判りきったことを
敢えて何度も
確かめたかった
嬉しくて
.
花と散り際
抱かれるようにそっと
見つめ合いながら
.
空をかける
流れる風を詠み
滑り落ちれば
好きだったことまでも
忘れられるだろうか
また一から
始めたくなった
なんて
恰好よすぎるかな
.
.
思いついたことも
既に幾つか
懐かしくなった
眩しくて
.
雨と泣き言
赦されるようにきっと
苛まれながら
.
星に黙る
倒れる雲を裂き

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水槽の底

水槽の底

そのさようならを
私は見ていない
雨の溜まった水槽の底は
思ったよりずっと昏い
.
手探りで
掴んだつもりの
左手の袖口
.
やっていることは
変わっていない
知らないことだって
数えきれない
折り畳んだ
夢の真ん中なんて
あるんだろうか
今日もまた
ここまで
.
.
その懐かしさを
私は信じない
神に願った水曜の午後は
思ったよりもっと苦い
.
いつの間に
迷ってしまった
思い出の入口
.
待っ

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invincible

invincible

同時に
落ちてはくれない涙
ばらばらに
流れたその先で
一つになる
.
美しい始まりにはまだ
足りないものが
多過ぎる
.
然らば諸共
そんな拠り所
知らずに
頼り切ってしまい
引くに引けなくなっている
語るほどの
愛は要らない
ただそっと心を
洩らすくらいならばと
.
.
何度も
消えてはくれない光
ばらばらに
外れたその先で
一つになる
.
新しい閃きにはまだ
待てないことが
多過ぎる
.

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climax

climax

巡り逢い
そして
また
別々の方へ
.
それが一回転
脚色に個人差はあっても
同じ結末を知っている
.
涙に譲った
クライマックス
幕が下りるまでは
拭わない
自分で決められない
だからこそ
自然に泣きたい
懐かしさよりもずっと
当たり前の場所で
ひとり
.
.
奪い合い
そして
また
特別な物へ
.
それが及第点
約束に時間差はあっても
同じ退屈を知っている
.
痛みの走った
クライマックス

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横顔

横顔

安らかに眠る
横顔に語る
あれはいつかの思い出
捨てたりしないで
.
半分だけ
消した灯りに
写る夢
.
涙ぐんでも
決して落とさない
それはきっと
取るに足りない
優しいだけではもう
何も守れない
それくらい
誰でも知っているからこそ
誰にもできない
なんてこともあるだろう
.
.
朗らかに笑う
横顔に黙る
あれはいつもの風景
飽きたりしないで
.
一瞬だけ
止めた呼吸に
残る声
.
思い出して

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相も思も愛も

相も思も愛も

震える手で
書き上げた一行
言葉より
この痛みまで
伝わってしまわぬよう
.
なるたけ
やわらかい線を辿る
.
ばらばらにして
時間を稼ぐ
悩ませた分だけちょっと
濃くなる
二人でならば
きっと叶う
遠い空に見つめられて
ゆっくりと染まる
大差ないとは
言えずとも
よく似た色へと
.
.
怯える目で
切り取った一秒
希望より
この好みまで
決めつけてしまわぬよう
.
そのまま
あたたかい夢に奔る

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バイバイ

バイバイ

命までかけて
登った山の頂で
見つけた花
誰かに踏まれていた
.
そんなものか
何かを見るということは
何かを見ないということになる
.
どっちもあって世界
それでいて
どっちにしたって世界
知らなかった
ことが増えてゆく
その中で
美しかった
花の名くらいは
憶えていたい
一つでも
.
.
心にもないと
語った夢の切れ端で
塞いだ穴
今でも残っていた
.
そんなものさ
何かを好くということは

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やさしい毒

やさしい毒

涙らしく
素直に
頬を滑って
落ちるべきだったんだ
.
今のままでは
きっと報われない
最期まで
.
時効のように
その時が来ると
消えてしまうような
思いがけない夢でもなお
忘れたくはないと
心に留めれば
幽かな吐息に混ざって
声が洩れる
言いたかったんだ
痛かったんだ
.
.
一つ一つ
綺麗に
夜を洗って
落とすべきだったんだ
.
独りきりでは
ずっと救われない
最初から
.
希望のように

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隣りのあなた

隣りのあなた

世界はまだ知らない
こんな僕らのこと
そして僕のこと
一度たりとも思わない
.
だからって
淋しくもないけれど
勿体ないような
.
ようこそ未来
笑う様まで
誰かに似ている
愉しかったのならば
それでいい
そのままでいい
感じたことを
遺していい
語るべきなのは多分きっと
隣りのあなたへ
.
.
続きはもう要らない
こんな僕らとまた
そして僕とまた
一度きりでも構わない
.
なのにって
悔しくもな

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Epoch

Epoch

春を背に
手を掛けた扉に
硝子窓
窺い知る色
.
けたたましく鳴り響く
煩わしい足音ばかり
近づく気配に
.
世の常と
頷くような
独りで
終末の変拍子まで
演じきれるのか
青空
控えめに見て
美しい
あの花の周期の中で
またいつか
.
.
夜を蹴り
手で拭う言葉に
涙声
確かめ合う顔
.
おびただしく散らばった
嘆かわしい足跡ばかり
無邪気な悲鳴に
.
世の為と
欺くような
瞳で
何度目の繰り返

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