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無口な歌詞

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あの日から、やめられない作詞。 歌い出してくれたら嬉しいのに。
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2020年5月の記事一覧

全裸

生まれたてのままでは
風邪を引くから
恥ずかしいけれども
一つ羽織った
.
優しさとは
いつから
目に見えていた
.
まだ美しい
とは言いながら
なりたがっている
そのままの姿
決められてもいない中で
何がそれを止めるのか
.
.
生まれたてのままでは
眠れないから
恥ずかしいけれども
一つ被った
.
淋しさとは
いつから
手に取れていた
.
まだ難しい
とは知りながら
脱ぎたがっている
透明な衣

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泣いてしまえた方が
簡単なのにね
.
そう言って笑う人
.
空高く回り
見つめていると
知らない癖に
判ってくるような
気のせいのこと
.
.
逃げてしまえた方が
簡単なのにね
.
そう言って笑う人
.
難しく捉え
見つめていると
出来ない癖に
語っているような
一昨日のこと
.
.
消してしまえた方が
簡単なのにね
.
そう言ってくれた人
.
甲高く唄い
捜していると
淋しい癖に
忘れていたよう

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部屋着の声

咄嗟に出た声は
思いの外優しくて
そのままの姿で
届いてくれた
.
手書きの言葉が
目に見えて
染み入るように感じた
.
.
咄嗟に出た声は
続け様に上擦って
ぎこちない姿で
笑ってくれた
.
手書きの言葉が
目に見えて
際立つように感じた
.
.
折々の色を
選び損なっても
.
手書きの言葉が
目に見えて
広がるように感じた
あれほど遠く
輝いていた光にも
今ならば逢えそうだった
.
手書きの言

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代わりに

代わりに
あなたが
泣いてくれたから
こんなに
綺麗な
朝を知りました
.
代わりに
あなたが
言ってくれたから
こんなに
綺麗な
朝を知りました
.
代わりに
あなたが
濡れてくれたから
こんなに
綺麗な
朝を知りました
.
代わりに
あなたが
捨ててくれたから
こんなに
綺麗な
朝を知りました
.
.
優しいのに
それでは駄目だと
見上げた高い空
.
言葉ばかりが泣かされて
言葉ばかりが散らか

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とんだパラレルワールド

根に咲く花
根に咲く花
根に咲く花
それを見るものはなく
息を潜めた声が
たまに聞こえてしまう頃
.
また思い出せば
夢から醒めたような心地
.
とんだパラレルワールド
誰が知っている
これで何度目の再放送
唇が優しくて震える
言いたいのに言えない
気持ちが花を濡らす
独り言ばかり綺麗
.
.
根に咲く花
根に咲く花
根に咲く花
それは散ることもなく
髪を掠めた風が
いやに残ってしまう頃
.
根に

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灯り

夜空を飛ぶ鳥
蒼穹の姿よりも
美しく羽搏く
その眼差しは今
何処へ向かう
.
星の地図も
まだ若く
届ききらない灯り
.
君も夜更かしなのかと
無口な路地で呟く
そこからならば
今夜の町はどう見える
一人だということが
もっとはっきり判るのか
知りたくはないが教えてほしい
.
.
部屋の数も
ただ多く
憶えきれない灯り
.
これも夜更かしなのかと
真面目な顔で尋ねる
このままならば
夜明けの町はど

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甘い夜

半分だけ
涙を流すのは
半分だけ
泣いているから
.
半分だけ
言葉が滲むのは
半分だけ
逃げているから
.
何をしても
何ともならない夜
二人になりたい
.
言葉が要らないくらい
苦い酒を並べる
机の上はやけに綺麗
星は外に
砂は靴に
まだ少し朝までは遠い
.
.
半分だけ
未来が見えるのは
半分だけ
諦めたから
.
誰と居ても
淋しくならない夜
一人を知りたい
.
手紙に書きたいくらい
若い日

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mooning

いつの日か
太陽が居なくなったら
あの月はもう
光らないんだね
.
見えない訳ではないけれど
それは凄く淋しくて
.
僕の懐中電灯だけで
照らしてみたいと
新月の星空を捜している
当たり前にきっと
届かないだろう
それでもやってみたかった
.
.
いつの日か
太陽が居なくなったら
この朝ももう
帰らないんだね
.
逢えない訳ではないけれど
それは凄く淋しくて
.
僕の小さな囁きだけで
起こしてみた

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二つの朝

あなたも同じように
朝を見ている
それでも違うのは
あなたにとって
それが今日であり
もう昨日ではないこと
.
あなたは目を擦り
僕は目を瞑る
.
そこには二つの朝がある
.
戻ってこられないほど
遥か遠くまで
流れてしまえたのならば
とある日のまま
物語も進んでくれる
気づかないように
気づかないように
.
.
戻ってこられないほど
遥か深くまで
沈んでしまえたのならば
とある日のまま
カレンダ

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水溜まり

映画を観た後の街が
違って映ったのは
酷く雨の降る夜のせい
それとも淋しさのせい
早く誰かに逢いたい
.
嘘は嫌いだった
全てを認めてしまうと
楽になるのか
.
今さら何も変わらない
そんなことはもう
随分前から判っていただろう
だからと言って
変わらないままでも
できそうなことはまだあって
さっきよりも拡がった
水溜まりをひょいと飛び越える
.
.
朝日の出る頃の空が
綺麗に

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apophenia

ギフトを贈らせてくれ
ギフトを贈らせてくれ
貰ってばかりもあれだから
それにこっちのあれもあれだから
ギフトを贈らせてくれ
.
.
フレンド
それは大袈裟ではなく
繋がっていると
信じてもいいよね
.
フレンド
いつかそんなことを言い
からかっていても
判ってくれるよね
.
あまり泣いたりはしたくないの
.
ベストを尽くさせてくれ
ベストを尽くさせてくれ
語ってばかりもあれだから
それにこっちのあ

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ラブソング

ラブソングにはならない
寝息で揺れる
その髪の毛のよう
どうしてもまだ独り言
.
グッバイは兆し
希望的なリグレット
.
怖がらないで
その手のひらが
掴めるだろう
優しさの切れ端
もう一度は
もうない
.
.
絶対はフラグ
具体的なシルエット
.
考えないで
その戸惑いが
導くだろう
淋しさの裏側
もう一つの
正体
.
.
グッバイは願い
理想的なエグジット
.
間違わないで
あの約束が
始める

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約束

周りがあまりにも動いているから
逆にそれは止まって見えた
だから僕は立ち止まって
誰よりも動こうとした
.
目視できないものを
見ようとするには
足りないものが多過ぎる
.
雨は降り注ぐ
また何かを目掛けて
一途に飛び込む
綺麗に映ったのは
きっとそんな思い込み
想像力が作り出す
シナリオに沿った未来
.
.
今更ストレンジャー・シングスを観る
旬なものを穿って見れば
いつも僕は乗り遅れて
簡単に

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くう

部屋の大きさは
変わらない筈なのに
君が居ない分だけ
広く感じる
.
まだ聞こえてきそうな声
捜すそこら中に
気配が残っている
.
いいんだよ別に
私が勝手に泣いているの
そうしていないと
泣き疲れて眠れない
無口な夜の窓辺
クリーム色の四角
これが月の一部
.
.
同じ温もりは
戻らない筈なのに
君が居ないことだけ
信じられない
.
まだ離れてくれない影
過ぎる時間内で
余計に溜まってゆく
.

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