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「グループ展」というかたち

「グループ展」という展示の形を、絵をちゃんと描くようになってから認識した。

複数人が寄り集まって一つのギャラリーで展示するスタイルのことを「グループ展」と呼ぶ。私のように絵のキャリアをこれから築こうという人にとって、グループ展というのはとても身近な存在だ。

しかしあえて言う。「グループ展」というのは、(場合によっては)リスクのある展示方法だ。下手すると「モヤっ」としかねない。もちろん私はグループ展を否定したいわけではない。これまで参加したグループ展は、胸をはれるものばかりだし、あくまで「ちょっと気をつけねば」というようなやつだ。
グループ展のリスクを端的にいってしまうと「甘えが出やすいこと」と、「印象に残りづらいこと」だと思う。
比較対象として「個展」の場合、ぜんぶ自分次第というプレッシャーがある。高いギャラリー代を払って手に入れた空間を台無しにするのも自分次第だから、全力を出しきる以外の道はない。その分、可能性に満ちているし、終わった後に手応えも感じられやすい。

(去年、初めてギャラリーで個展をしたときの写真。小さい個展に見えるけれど、これだけでもなかなか大変だったし、眠れない日もあった。)

それに比べて、グループ展はうっかりすると「他の作家さんの作品が、きっと展示空間をいい感じにしてくれるだろう」という甘えが出やすい。また、展示の点数が限られるので、そこまで印象に残らない可能性も高い。結果、半端な作品が並んでぼんやりとした展示に…というのがグループ展の最悪のシナリオではないだろうか(…書いていて怖くなる)。

とはいえ、グループ展にもいいところはいっぱいある。
まず、甘えと表裏一体ではあるが、「ハードルの低さ」はやっぱりメリットだ。個展となると結構な心身摩耗は必至だが、グループ展ならば、小さな冒険の軽やかな心持ちで表現を楽しめる気がする。
次に、素敵な作家さんと一緒の展示は、良いプレッシャー・刺激になる。
準備期間中の、静かな・目に見えない切磋琢磨は良いものだ。展示当日にどんな絵が並ぶのか想像もつかないワクワクがある。
そして、グループ展は他の作家目当てで来場した方に、自分の絵を見てもらえるチャンスでもある。自分のことを知らない人にも絵を見てもらえたらやっぱり嬉しい。

「最初にリスクがあると言ったくせに、どの口でいうんじゃ!」という感じだが、
やっぱりグループ展は良いところがたくさんある。そして、来場した方にとっても、一度足を運ぶだけで、一気にたくさんの作家の作品が見られるグループ展のお得さは大きいとも思う。

…くどくど書いたけど、何が言いたいかというと、
私は来週から「グループ展」に参加します。


発端は、2020年3月末にMOUNT tokyoさんからお誘いをいただいたこと。3月末といえば、コロナが世界中に広がり始め、日本の小学校は3月上旬から休校が始まり、私自身、4月から完全に会社がリモートワーク決定していたタイミングだ。当初は6月下旬予定の展示だったので(結局延期した)、「本当にこの感じで6月に展示して、果たして何人のお客様が来られるのだろうか?」とモヤモヤしてしまい、正直さいしょは参加を躊躇してしまっていた。

ただ、考えるほどに参加したい気持ちがじわじわと湧いてきた。
私の大事にしていたはずのアートそのものが、「不要不急」という言葉によってどんどん苦しい状況に立たされている危機感があった。このまま何もしないといつか後悔するかもしれないと思った。
「Traveler」というテーマにも惹かれた。みんなが今どんなに願っても叶わない自由な「旅」を絵で表現することが、わずかでも癒しに繋がればいい。たとえギャラリーに来られなくても、作品が生まれるところをネット上で見てもらえればいい。

だから今回の展示については、まっすぐ「自分のPR目的」という感じではないんだけれど、世の中と接点を持って前向きに動き続けたいという目的で参加を決めた。

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私は未熟者なので、一発で正解にたどり着けることはなく、DM用の絵を描くだけで10回くらい考え直した。グループ展特有の甘えという呪いを振り払わねば!と必死である。

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展示に至らず、お蔵入りした絵は数知れず。この子は残念ながら展示されない。(別の子に生まれ変わったのでお楽しみに)

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1つだけ何かグッズを作ろうと決めて、結局小さな「ノート」を用意した。
いくつか表紙を試作して、結局いちばんシンプルなやつにした。
このノートを、心の旅に連れて行ってもらえたらなどと思っている。


そんなわけで、「グループ展のリスク」を勝手な自戒にして甘えを振り払って描いたつもりだ。だから、きっと、いいグループ展になっていると思う。
もしよかったら、原画を見てください。

あ、でもこんな時だから、無理せずで構いません。
心の中で、見守ってくださると嬉しいです。







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イラストレーションを描きます。第211回玄光社主催「ザ・チョイス」準入選(佐藤亜沙美さんの審査)。 1983年浜松出身・東京在住。メーカーで社内広報を経験後、2008年に教育系出版社に転職。平日は企画開発・編集を担当しています。
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