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ロケットの再使用

再使用の意義

私たちが宇宙へ行くのはとても大変である。大きなロケットが必要になり、それらは飛行機などとは違ってほとんど使い捨てであるため、巨額の資金がかかる。この問題を解決するべく、今までも多くの方式が検討されてきた。今回はそれらの方法の一つ、フライバックブースターを紹介していきたいと思う。

ロケットの再利用はすでにNASAのスペースシャトルでされた。これは軌道を回っている乗員を載せたオービターという部分を滑走路に着陸させて何度も再利用しようとするものである。しかし大気圏突入の超高温に耐えるための耐熱パネルの張替えなどの費用で、結局使い捨てロケットよりも高額になってしまった。そこで提唱されたのがフライバックブースターだ。

フライバックブースターとは

これは、一番推力が必要とされるために費用も高額な一段目のブースターを射点の近くや無人の洋上回収船まで誘導し、逆噴射で着陸しようとするものである。とても未来の技術のように聞こえるが、全くそんなことはない。すでにアメリカの宇宙ベンチャー、スペースx社が自社のロケット、Falcon9ロケットのブースターを回収し、そのブースターを再利用しているのだ。実際に多くの衛星が打ち上げられ、2020/5/20には初の有人飛行にまで成功しているのだ。

これらのロケットは通常通り発射台から打ち上げられ、そのまま機体を少しずつ傾けながら上昇していく。だが、一段目のブースターを切り離すとき、それは多少の燃料が残った状態で切り離される。残りの燃料を使い、横方向のスピードを打ち消し、着陸地点を調整する。この逆噴射はブーストバックと呼ばれ、一段目を使い捨てる通常のロケットにはない工程となる。同時に切り離された第二段目は燃焼を開始し、荷物(ペイロード)を軌道に届ける。一方一段目は再突入の熱を抑えるためにリエントリーバーンと呼ばれる噴射を行う。そのまま第一段は小型のスラスターや空力フィンなどで落下地点を精密誘導しながら降下を続け、着陸の直前にエンジンを再点火して着陸させるものだ。着陸したブースターはもう一度工場に運び込まれ、また新たなロケット打ち上げのブースターとして使われる、というものだ。

フライバックブースターはあくまでこれは完全な一段式の宇宙往還機やスペースプレーンなどの前段階ではあるものの、これらの方式を実用段階までもっていったSpaceX社の功績はとても大きなものだといえる。同社のCEOのElon Musk氏は将来的な人類の火星移住を切望していて、そのための準備を進めている。また将来火星にいくための宇宙船も開発中だ。それらへの期待はますます高まっていく一方だ。

参考文献

https://www.spacex.com/vehicles/falcon-9/

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