【251】MMT

 MMTは Modern Monetary Theoryの略で、2010年頃から議論されている現代貨幣理論だ。従来の経済学を支持する学者には受け入れられない理論で「日本は財政赤字が巨大だが破綻しない。」と議論を賑わせている。なんだか難しいので、勝手に例えてみた。 

 まず、日本の借金は約1100兆円でGDPの2倍以上である。その内、約900兆円は国債で、国民への借金である。先進国として前例にない危険な水準と言われている。 このままなら、巨大な借金が「国際的に通貨の信用を失墜させ、ハイパーインフレーションを起こして国内経済を破綻させる」といわれている。

 事実、ギリシャなどは借金によって破綻し、先進国の援助を受けながら国内改革を迫られてきた。だから、緊縮財政の上に増税なのだ。 

 これを家庭に例えてみると「全所得500万円だが1100万円の借金があり、その内900万円が家族からの借金。はたして、この家庭経済は破綻するのか、しないのか」ということになるだろう。おそらく、所得を超越した借金で破綻するに違いない。 

 しかし、MMTでは、家族からの借金を帳消しにできるので実質の借金は200万円になり、直ぐには破綻しないと説く。勿論、借金をなかったことにされた家族は不満を持ち、あるじへの信用は失墜するだろうが…その通りなら、緊縮財政は必要ないし、増税すらしなくても良い。極端な話、減税も可能だ。これが新理論であると理解した。 

 ただ、家庭と国とでは違いがある。家庭で紙幣を作ることは違法であるが、国は中央銀行に国会の承認を得て紙幣を増刷させ、合法的に借金と国債を相殺できるのだ。借金の返済も行われる。結果、市場の紙幣量が増えてインフレーションを起こす可能性がある。そこで、同時に銀行が中央銀行にすることになっている準備預金額を増やして市場の紙幣を減らすという条件つきだ。 

 つまり、「インフレーション(物価上昇)にならないようにすれば」という前提条件つきで「どれだけ国債(国民への借金)をしても破綻しない」という理論だ。 

 ここまでの全てを家庭に例えると、「家族のお小遣い額を上昇させないように工夫すれば、どれだけ家族から借金しても大丈夫。魔法の玉手箱で借金もちゃんと返済される」ということになるだろうか。 

 このように、MMT理論は「希望の理論」とも言われているようだが、家庭に当てはめると「魔法の理論」にも思えてきた。 

 さて、国内労働力人口の減少や国際競争力の低下、若者の貧困化などで、私たちの「希望」は「不安」に変わりつつある。不安が的中する前に、我が国の経済発展を牽引するナンバーワン産業の誕生を願う。勿論、オンリーワンなら尚素晴らしい。

 はたして、MMTは「希望」なのだろうか。それとも、M(もう)M(魔法でも)T(使いたい気持ちだ)の略なのだろうか。

 (2020年9月19日@nortan)

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