本当の意味での注文住宅と建売り住宅の差

お疲れ様です!

皆さんは一戸建ての住宅を買った経験や、これから買う予定はありますか?
今回は大工さん目線で注文住宅と建売り住宅の違いを説明してみたいと思います。

知人とこの手の話題になると、憧れの注文住宅というイメージに対して、貧相な作りと妥協の建売りみたいなイメージなんですが、それは大きな間違いです。建売りもデザイン性や居住性を気にしなければお客さんは見向きもしない時代です。もしくはそれらを上回るローコストで納得できるかでしょうか。

もちろん予算はかなり大切です。いい材料、いい設備、いい人材はお金をかけるほどに出会える確率がかなり上がります。そこは大前提です。
ですが今の建売り住宅でも住宅設備なんかはなかなか良いことも多いですよ。リモコンやカードキーで開閉できる玄関ドア、人感センサーのライトやモニター付きインターホン、トイレもウォシュレットで自動開閉のフタだったり、食洗機のついたキッチン、ユニットバスや洗面台も新しいものへと進化しています。僕の親父が買った昔の建売り住宅と比べたら天地の差ですよ本当に。そんなの当たり前だなんて思えるのであれば、それを当たり前にやっている業界人の努力なんだと思います。世界に誇るオリンピック会場である国立競技場ですらウォシュレットないみたいですし(白目)

材料や施工方法で言うと今の時代は最低限の品質を確保するために基準が明確になったり検査なども増え、信頼性は増しました。
良いもの、それなりのもの、良くはないものは確かにありますが「悪いもの」がかなり減ったという印象を僕はもっています。
それはそうです。この時代に何か重大なミスがあれば今まで販売した家や今後にも影響があるので、企業も悪いことは安易にできないのです。
建売り住宅の総合的な最低水準というものは僕の知る範囲では確実に、大幅に上がったと思います。

建売りのメリットを一部書いてみると、完成品を見て決められることですね。あとからイメージと違ったとかはないですから、とにかくわかりやすいはずです。そして引き渡しまでが早い。仮住まいとかにかかる費用も削減できますね。販売価格も一般的には建売りの方が安価で済みます。中古の戸建て買うなら新築買いなよって値段だったりします。デメリットももちろんありますし、単価は殺人級なので大工として思うことはありますが、冷静に考えると本当バカにできませんよ今の建売りは。

先ほども書きましたが、予算があれば自由度は増し、いい材料、いい設備、いい人材に出会う確率はあがります。それなら建売りを単純にグレードアップすればいいじゃんとか、建売りの会社に注文住宅やってもらえばいいじゃんとか、注文住宅の会社に早く安くなるように頼めばいいじゃんってなりがちなんですが、なかなかそうはいきません。

ユニクロとかがやってるセミオーダースーツみたいなものはアレはアレでよくできてるんですが知ってますか?フルオーダースーツ専門の店ももちろん素晴らしい品質だと思います。

だけどユニクロがフルオーダースーツを作って、普段からオーダー専門でやってる店にサービスの質で勝てるのか?
フルオーダースーツの会社がセミオーダーでユニクロの価格まで下げて利益が出せるのか?
そのへんはなかなか難しいっていうの、素人でもわかりますよね?同じような業界でも得意分野はあるものです。
建売り住宅が得意な会社に頼むならせいぜいセミオーダーくらいまでの住宅にしておくのが無難だし、注文住宅が得意な会社に建売り並の価格や工期を求めるのは良い結果を生みにくいのです。つまり努力すれば、あるいはお金払えば不得手な部分が埋まるでしょう?と簡単にはいかないのです。長所に目を向け、長所にお金を払うことをおススメします。

建売り住宅と注文住宅の本当の差とは?

お金払えばいい家ができるとは限らない理由を説明しましたが建売り住宅も注文住宅もどちらにもポジティブな要素がある中で、決定的に違う点が1つあります。そこが今回の差になります。

それは、コミュニケーションがとれることです。

人それぞれライフスタイルが違います。帰ったらまずごはん食べる人もいれば風呂に入る人もいて、ペットがいるか?家族は何人か?車は?自転車は?
こうした部分の満足度を高めるにはどうしてもコミュニケーションをとる必要があります。コミュニケーションが煩わしく思う方もいるので良い悪いは個々によりますけどね。やはり情報は多い方がイメージしやすいのです。

建売りはあくまでも完成品を提供するため汎用性があるプランにするか、一部の好みに刺さるプランにするかしかできません。

それに対して注文住宅はライフスタイルはもちろん、あなたの趣味や好み、アレルギーや身体的な特徴に合わせて作ることができます。ガタイの良いご主人が施主であれば普段より頑丈な下地を入れたり、小柄な奥様であれば階段の手すりは少し低めがいいかなとなります。ピアノや本棚を置く場所は床を頑丈にしたり、車が好きならガレージを、いつか子供が増えるかもしれないから部屋を区切りやすいように作ったりと。

こうしたものは建築士さんのアイディアとプランの引き出しが必要であり、大工さんの技術と気配りなどから形にできます。些細な雑談も含めて全てはコミュニケーションありきなんです。

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僕がグッときた現場の一つですが、お子さんがご両親に内緒で書いていったんです。儲かる仕事じゃなかったけどこんなの見たらやるっきゃないでしょう?僕らも人間ですからモチベーションってものがあります。それは人それぞれで自己満足であったり家族のためだったりします。その上にこうしたお客さんの気持ちというものもモチベーションの一つです。
なんといっても家はロマンですからね。

コミュニケーションがとれると満足度が高めやすいということはここまででお伝えしたかと思いますが、コミュニケーションがとれることでもう一つ大きなメリットがあります。

それは、今後の家の使いかたやメンテナンス方法です

家には使い方があります。材料によっても注意点は変わります。メンテナンス時期も様々です。
建売りを買うとき、住んだあとに関する情報はメーカーの説明書やパンフレットやマニュアルを渡すことくらいで終わりだったりします。内容も責任逃れの文言だったりすることもありますね…

注文住宅であればあらゆる場面でコミュニケーションが事前にとれるので、この材料はどう扱うべきか?どうやってメンテナンスをすればいいか?屋根や外壁はいつ頃に塗り替えか?そういう部分は地域や立地などの条件、お客さんの使い方でかなり変わります。

僕の知る範囲ではありますが、やはり注文住宅で家づくりした方の方が自宅を大切に使っています。お金のかけ方ではなく日頃の使い方としてです。
不思議なことに、車は資産として捉えていて価値が下がらないようにキレイに乗るけど、自宅は傷だらけで汚いって人が結構いるんです。床はワックスかけないけど車はワックスでピカピカみたいな笑

それは意識からくるものもあれば、知識からくるものもあると考えています。建築士や監督や大工から聞かされていたり、質問したりできる機会は建売りだとほとんどないのです。ググったり知恵袋だけで上手くやれる方は一握りです。
注文住宅にはその機会がありますね。それは今後何十年と住む上で習慣として根付かせて、大切に住み続けることでメンテナンス費用もグッと抑えられることも可能だと思います。

コミュニケーションが煩わしく思ってしまったり、完成品でイメージしたかったり、コストで考えたかったり、いい立地だったり、そうした条件が噛み合えば建売りはかなり納得がいくものです。

ライフスタイルにあわせて拘って作りたかったり、高い品質のものが良かったり、コミュニケーションがとれることで自分の思いを伝えられたり、業者から得られる情報や関係性に価値を見いだせるなら注文住宅は満足度がかなり高くなると思います。良いものは高いのです。

僕は職業柄、家を建てよう、買おうと思う方から「どんな家がいい家か?」と相談をうけることがありますが何年この仕事をしても正直わかりません。
価値観や好みの要素がある以上、正解は一つではないからです。最初は大好きで使いやすかった家も何年も経てば飽きてしまったり、生活環境の変化があれば使いやすさも変わるので違う不満がでてきたりします。自分がどんな生活をしてきたのか、これからどんな生活をしていくのか、何を大切にしたいのかは本当に人それぞれなんです。

どの家にも注意点はあるし、メンテナンスは必要。建売りも注文もメリット、デメリットがそれぞれある。デメリットばかりに目を向けるより、メリットに目を向けてお金を払う方が満足度は高いし、他人がどう思っていようが最後は自分自身で決めた方がいい。

最終的にはそこに行き着くのだと思います。
建売り住宅と注文住宅の差は、金額、品質、期間など調べたらすぐにわかることもありますが、家というのは買うまでが家ではなく住んでからが家なので、コミュニケーションや情報量の差も大切なんだということも、今後は覚えておいてもらえたらと思います。

次回(かはわかりませんが)は、とくに気にしてなかったという方々のために「家の使い方」について記事にしてみたいと思います。あなたの今後かかるメンテナンス費用がグッと抑えられるかもしれません。

以上、今日もご安全に!

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