見出し画像

ポッドキャストが最も聴かれるのは何曜日? アナリティクス機能で分かった新法則

自分が熱意を持って運営しているポッドキャスト。せっかくなら多くの人に聴いてもらいたいですよね。エピソードの内容を充実させるのはもちろんのこと、どうすればコンテンツがより多くのリスナーに届くのか、その「配信の仕方」も改善していきたいところです。僕もそう思い、ポッドキャスト配信アプリAnchorのアナリティクス機能を眺めてみたところ、「ある法則」が浮かび上がってきました。

配信者のねらいとリスナーの実態との乖離

僕がSpotifyなどで配信しているポッドキャスト番組グローバル・インサイトでは、1月中旬まで、月曜日の夕方水曜日の夕方、そして、土曜日の朝方と、週に3回、新着エピソードを配信していました。

「平日は仕事が落ち着いてきて、オンからオフへと気分が切り替わるときに聴いてほしい」「週末は自分のタイミングでオフの気分で聴いてほしい」という思いから、そのような配信スケジュールにしていました。

しかし・・・ 久しぶりに『Anchor』のアナリティクス機能を眺めてみたところ「衝撃の事実」が発覚。

スクリーンショット 2021-03-01 17.23.13

ずばり、再生回数を示す上の折れ線グラフが「ガクン」と下がっているのは週末。つまり、週末にも聴いてほしいと思っていたのは僕だけで、ほとんどの人は週末はポッドキャストを聴かないということが分かったんです。

これは週末にかぎらず、休みの日全般についても言えることでした。例えば、先ほどの折れ線グラフをさらにさかのぼって見てみると、再生回数が明らかに低迷しているのが「クリスマス」「大みそか」と、まさに休暇中。

「ポッドキャストって他のメディアと違って『ながら聴き』できる気軽なメディアだから休みの日でも聴いてもらえる・・・?」と期待していたんですが、だれだって休みの日は休みたいですよね(苦笑)

ポッドキャストが最も聴かれるのは「水曜日」

「では、ポッドキャストはいつが最も聴かれるんだろう?」と思ったとき、先ほどの折れ線グラフをカレンダーと照らし合わせながらもう一度見てみると、ピークを迎える日に「一定の法則」があることが分かりました。

スクリーンショット 2021-03-01 17.23.13

それが「ポッドキャストは水曜日に最も聴かれる」ということ。もちろん、毎週水曜日にピークを迎えるわけではなく、火曜日、木曜日に前後することもあるのですが、最もピークが集中しているのは水曜日でした。

また、この法則は、過去3カ月間で最も聴かれたエピソードのランキングを見ても当てはまっていました。最も聴かれているエピソードの一覧を見てみると、水曜日に配信したエピソードが上位を占めていたんです。

スクリーンショット 2021-03-01 17.25.41

このことから読み取れるのは「ポッドキャストにおいても『初速』は大事」ということ。

たしかに、過去に配信したエピソードの累計再生回数が伸びるというのは、僕の番組でも起こっています。それでも、配信後、短期間で多くの人に聴いてもらえるかが、番組全体のリスナーを増やすうえでは大切なんですね。

それはつまり、他のメディア同様、ポッドキャストにおいても、新着コンテンツは数日間である程度消費され、あとは埋もれてしまう現実がある、ということです。

大切なのは「聴取習慣」を身につけてもらうこと

「何曜日に配信するか?」など、新着エピソードの配信スケジュールにこだわるべき理由は、より多くのリスナーに番組を聴いてもらうため、だけではありません

僕がより大切だと考えているのは、リスナーに「聴取習慣」をつけてもらうこと

メディアとしては比較的新しいポッドキャストでも、今番組数は急増しています。そんな中で、番組が一定の存在感を示すには、「エピソード単位」ではなく「番組として」認知してもらう必要があります。

そのためには、初めてエピソードを聴いて「面白い!」と感じてもらえたリスナーに、「この時間になったら新着エピソードが配信されているはず」と記憶して、思い出してもらうことが大切。

スクリーンショット 2021-03-01 17.26.46

さらに、「この時間」というタイミングが、リスナーにとってよいタイミングであることも大事でしょう。

たとえ、番組を好きになってもらえたとしても、新着エピソードが配信されるタイミングが、仕事や家事、育児などでリスナーが忙しいタイミングと重なってしまった場合、すぐには聴いてもらえません。

そのうち、「積ん読」ならぬ「積ん聴き」状態が続いてしまい、それがリスナーにとって、「最近聴けずにいる・・・」というストレスとなり、そのうちに番組から離れていってしまう、というのはとても悲しいことです。

リスナーの声に耳を傾け、番組をフィットさせていく

今回、「ポッドキャストが最も聴かれるのは水曜日」とお伝えしましたが、これは、僕の番組の特性や現時点での配信スケジュールによるところも大きいでしょう。

「海外のビジネス・テクノロジートレンドを、3〜4分という短時間でインプットする番組だから平日に聴かれている」「うちの番組はむしろ週末によく聴かれているのだが・・・?」ということも多分にあるはずです。

大切なのは、自分の番組のリスナーがどういう状況で番組を聴いているのか、あるいは聴きたいと思っているのか・・・ リスナーの声に耳を傾け、番組をフィットさせていくこと

リスナーの聴取習慣というものは、その先にあるのだと思います。今回、僕も久しぶりにアナリティクス機能を眺めてみて、「ああ、もっと早く気づいていればよかった」と反省しました(苦笑)。

みなさんの番組は、いつ、よく聴かれていますか・・・? ぜひ、みなさんのティップスをTwitterで教えてください。

「ポッドキャスト運営のティップスを知りたい!」という方はこちらの記事もどうぞ:

編集者/Livit代表 岡徳之
2009年慶應義塾大学経済学部を卒業後、PR会社に入社。2011年に独立し、ライターとしてのキャリアを歩み始める。その後、記事執筆の分野をビジネス、テクノロジー、マーケティングへと広げ、企業のオウンドメディア運営にも従事。2013年シンガポールに進出。事業拡大にともない、専属ライターの採用、海外在住ライターのネットワーキングを開始。2015年オランダに進出。現在はアムステルダムを拠点に活動。これまで「東洋経済オンライン」や「NewsPicks」など有力メディア約30媒体で連載を担当。共著に『ミレニアル・Z世代の「新」価値観』『フューチャーリテール ~欧米の最新事例から紐解く、未来の小売体験~』。ポッドキャスト『グローバル・インサイト』『海外移住家族の夫婦会議』。


この記事が参加している募集

最近の学び

読んでいただき、ありがとうございました。みなさまからのサポートが、海外で編集者として挑戦を続ける、大きな励みになります。