見出し画像

星景写真のお話|#6|星景写真向けのレンズ①一般的なお話

レンズのお話ですが、長くなるので3回位に分けます。

1、星景写真向けのレンズの一般的なお話
 (この記事)
2、私が使っているレンズのお薦め紹介
3、私が使ってないレンズのお薦め紹介

という構成でやります。

星景写真向きのレンズとは?
いろんな説明や解説がすでにネットでもたくさんあると思いますが、とりあえず結論から言うとこんなレンズです。
 1、明るい。
 2、画角が広い。
 3、収差が少ない。

細かく言うと他にも色々あります。軽くて小さい方がいいですし、フォーカスリングの固さや位置、質感、フィルターの使いやすさなどなど、たくさんです。

それぞれについて順番に説明しましょう。レンズの表記は、そもそも「焦点距離」と「開放F値」となっていますから (20mm F1.8 とか)1、明るい。2、画角が広い。についてはここを見るだけで、だいたいどんなレンズなのかわかりますね。でも3、収差が少ない。については、結局は信頼出来る作例を見るしかありません。MTFやテストデータでもある程度はわかりますが。

1、明るいレンズ(F値の小さいレンズ)

なぜ明るい方が良いのか?ということですが、
①暗いと高感度を使う事になるので、高感度ノイズが問題になる。
②固定撮影なら露出時間を短く出来て有利。

ということになります。例えば、F1.4とF2.8では2段分の差があります。つまりISO感度にするとISO800と3200の差になります。星景写真の大きな問題のひとつは高感度ノイズなのでこの差は大きいです。また、同じISO感度なら、露出時間も短く出来ます。

星の数を多く固定で撮る、具体的には天の川を固定で撮りたい、という場合にはF2.8がひとつの目安になります。もちろん、もっと明るい方が有利ですが、14mmくらいの超広角レンズではF2.8程度が定番です。

明るいレンズで気を付けないといけないのは、開放で甘いレンズが多いので、単に明るければ良いというわけではありません。開放で使えないなら、明るくてもあまり意味はありません。というか、明るいと大きく、重くなるのでむしろ不利になります。具体的なレンズ名については次回から。

2、画角の広いレンズ(焦点距離の小さいレンズ)

星空は広く、天の川なんかも長いので、どうしても広い範囲を写せる
レンズが欲しくなってきます。全て、フルサイズでの話ですが、
目安としては14mmとか20mmmを多用します。

いわゆる対角魚眼レンズは焦点距離が15mmというのが多いですが、14mmの超広角より広い範囲が写せます。(対角魚眼は対角画角180°ですが14mmは135°くらい。)撮影の意図にもよりますが、星景写真は風景と星空を写すので一般的な天体写真や風景写真よりもさらに画角の広さが必要になる場面が多いです。また、画角が広ければ固定撮影で星の流れが目立たず、露出時間を長くすることも出来ます。例えば、冬の星座の代表、オリオン座は、国内で撮影する場合、南中時にはかなりの高さになります。南中したオリオンと風景を余裕で入れるためには魚眼も必要になりますね。

もちろん、広ければ良いという話ではありません。撮影意図によっては35mmとか50mmとか、あるいはそれ以上の望遠での星景もあります。

一般的に、超広角で明るいレンズというのは値段も高いです。なので写真を始めて間もない方は普通は持っていないはずです。星景写真を始めたら、きっとこの話の意味がわかって超広角で明るいレンズが欲しくなるでしょう。

例:24mmと14mmの画角の違い。
一見、大きな違いはないかと思われるかも知れませんが、地上風景を見てみると、その差の大きさが良くわかります。

3、収差の少ないレンズ

星はほぼ完全な点光源なので、様々な収差の影響を受けやすいです。星景写真向きのレンズというのは、超広角で明るいもの、となるとますます収差を抑えるのが難しくなってきます。個々の収差について説明はしません。興味ある方は調べていただければ、いくらでも見つかります。現実に星景写真ではどうなの?というお話をします。

星景写真としては、明るい開放で使いたいのは当然です。ですが、残念ながら昔から、レンズは開放では画質が良くないのです。特に昔は良くありませんでした。天体写真なんかでも、必ず、開放ではなく、最低1絞りは絞れと言われたもんです。

現在の最新のレンズでは、(レンズによりますが)高画素に対応してレンズはかなり高性能になってきています。一般の写真ではあまりうるさく言われなかった、開放での像の甘さ、特に周辺の画質の悪さについても改善されてきています。

実際問題として、星景撮影で特に気になるのは周辺の「コマ収差」です。
「コマフレア」と言う言い方もありますが、コマとは彗星のことで、彗星が短い尾を引くように点像が乱れることです。私はハエが飛んでるように見えますが(^^;

中でもよく話題になるのは「サジタルコマフレア」というやつです。サジタル方向(同心円方向)に伸びるフレアだと思いますが完全な定義は私は知りません。私はカメラ・レンズの専門家ではなく作品を撮る写真家です。

サジタルコマフレアは、特にシグマのレンズなんかで昔から問題になってるやつですね。他のレンズだと一般的にはメリジオナル方向(放射方向)に星が伸びる(流れる)傾向があったりします。

その他に、色収差と関連して「パープルフリンジ」あるいは「青ハロ」と呼ばれている色滲みのようなものが問題になります。これももちろんレンズ補正で除去は可能なんですが実際にはない色なので、気持ちの良いものではないです。今時、特に高級レンズではあまりないと思ってましたが、SONYの24mm F1.4 GMは結構出ます。

歪みも星空だけではよくわからなかったりしますが、地平線や水平線を写したりする場合ははっきりわかって問題になります。これも、レンズ補正で問題ないレベルに出来るので、そんなにこだわらなくてもいいかと思います。

次回からは個別に、具体的にレンズをご紹介します。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?