デジタル化で求められるリーダーシップの変化

デジタル化の進展はビジネスのあり方だけでなく、それを推進する組織の形にまで影響を与えています。その中で最近注目されているのが「変革型リーダーシップ」と「サーバントリーダーシップ」の考え方です。さらに、従来の階層的なマネジメントモデルから、よりフラットな関係性が志向されるようになることで、マネジメントにおける「感情」も重要な要素としてあらためて認識されています。

私が働いていたアドビでもこの流れは踏襲しており、新しいマネージャー全員に「EQ研修」の受講が必須となっており、リーダーシップを担う人材は、部下や同僚はもちろん、仕事で関わるステークホルダーに対して、感情面の要素をうまく取り扱いながらコミュニケーションすべきという考え方が強く打ち出されていました。

この記事では、また日経産業新聞の連載をもとにした文章を以下ご紹介します。新しいリーダーシップのあり方については、顧客からもらう要望も多く、私も引き続き学び続けていきたいと考えています。

新しいリーダーシップのスタイルについて

世界規模での競争が激化し、変化の速度と不確実性が増すビジネス環境では、状況の変化に合わせて組織を変革し続けられる強いリーダーシップが欠かせない。欧州経営大学院のパニッシュ・プラナム氏らによる研究では、カリスマ型のリーダーシップを持つ最高経営責任者が率いる企業は「不確実性の高い事業環境下にある企業」において業績を高めることが示されている。

一方で、変革を実行していく上で課題となるのが、急激な変化をためらうメンバーの心理的障壁だ。特に日本では変化やリスクを嫌う人が多く、2014年の世界価値観調査では、「冒険し、リスクを冒すこと、刺激のある生活」を望むとした日本人は調査対象60カ国のうち最下位だった。

ここで参考になるのが「変革型リーダーシップ」の概念だ。アメリカの組織心理学者のバーナード・バス氏は、変革型リーダーシップを構成する要素として「カリスマ性」「士気を鼓舞する動機づけ」「知的刺激」「個別配慮性」の4つを挙げた。

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