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悩みの「抽象化」には要注意です

「抽象化」で自分を守る

昔の私は何かひとつ失敗すると「もう絶望だ」とすごく話を大きく抽象的にしていました。例えば上司に頑張って作った資料をダメ出しされた時。「こんな評価をもらうなんて、自分は本当に仕事ができないな…このままではキャリアもおかしくなっていってしまう」と考えて、よく絶望していました。

これっていま振り返ると「自分を守る」という側面があったなと思います。なぜなら話を抽象的にすることで、自分がうまくやれなかった事を「ありのままに」直視することから逃げられるので。

私の例で言えば、作った資料を上司にダメ出しされた時に、「自分は本当に仕事ができないな」と抽象化して考えれば、上司が指摘した、課題に対して自分の理解が浅かったり、論点をうまく表現する力が不十分である、という「具体的な」改善点から目をそらすことができます。

そして、これが私が悩みをすぐ抽象化する原因のひとつでした。他人から改善点を指摘されること、特に具体的に、ピンポイントで「ここがダメです」と指摘された時に、それを直視することを、昔の私は極度に恐れていました。

なので、「自分は仕事ができない」と話を一気に抽象化させることで、指摘されたポイントの具体性を曖昧にしようとしてたんですね。「自分はダメだ」と自分自身を責めることは、もちろん気分の良いものではないけれど、上司が指摘した具体的なポイントを直視するしんどさに比べれば、はるかに楽だったのだと思います。

こういう思考って冷静に考えると非合理ですよね。なぜならその指摘された部分を「具体的に、実際に」修正しなければ上司は許してくれないから。でも、そう思ってもできない…頭も身体も動かず、資料は全く修正されないまま「自分はダメだ」という抽象化された世界に逃げ込んでいたずらに時間が過ぎていったこをよく覚えています。

抽象化の罠にどう対処するか?

では、こういう傾向に対してどう対処すればよいでしょうか?私が体験的に思うポイントは、現実的に、具体的に考え、少し動いてみること。ただ、あまりおおげさに考えるのでなく、できるだけ「小さく、身近な」思考と行動にフォーカスするのが大切です。話しやすい同僚に相談する、上司から指摘された通りにまず少し直してみる、上司に不明点について少し質問してみる、など。

とにかく状況を一気に改善しようとせずに「少しずつ」手のつけられるところから前に進めていく「小さく」行動してみることが効果あります。あと「人の力を借りる」ことはとても重要です。

小さく具体的な質問に対しては、助けてくれる人は自分が思ってるよりたくさんいるし、それをヒントに物事が少しでも前に進むと、気持ちも前向きなものに変化してくることが多いです。

逆に失敗して悩んだ時に気をつけた方がいいのは「内面を見つめる」こと。それって思考の抽象度を上げて、目の前の具体的な事象から目をそらさせるし、「もっと中長期のキャリア考えて資格でも取ろう」みたいに、問題解決につながらない行動に走ったりしてしまうことも多いので。

ということで、慣れるまではなかなか難しいのですが、何か失敗したりストレスを感じた時に「自分はダメだ…」となってしまう人のために、私自身の体験も踏まえて「小さく動いてモードを変える」コツを今後も書いていきたいと思います。

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