特許はすぐに取るな 例外編

坂岡特許事務所、弁理士の坂岡です。

この投稿のタイトル、特許はすぐに取るな 例外編についてお話しします。
前回と前々回の投稿
https://note.com/norio_sakaoka/n/n2cc992b162b0
https://note.com/norio_sakaoka/n/nac89af121c54
で、特許は出願するだけで先願の地位が発生し、他人に対して牽制する効果がある、だから出願後はゆっくりと権利化をしていきましょうということをお伝えしました。

しかし、物事には何でも例外があるように、ここにも例外があります。
出願後、すぐに権利化を目指す方が良い場合がいくつかありますので、順を追って説明します。
但し、これらは、その会社の考え方で左右されますので、参考までに聞いてください。

1.対外的な事情
例えば、特許になっていないと他者との交渉が難しい、他者と権利関係で揉めているなどの場合が該当します。
他には、投資家から資金を集めるのに、特許となっていることが有利という場合もあります。

2.特許になれば公開しても良いけど、拒絶ならば公開したくない場合
特許出願すると、1年半経過したときに否応なしにその発明は公開されます。
ここで、出願するときに、あまり公開したくない情報が出願書類に入っているような場合ですね、特許になって独占的に実施できれば公開しても良いけど、拒絶になるようなら公開したくないということがあります。
このようなとき、早期に決着を付けてしまえばよいのです。
特許になれば特許公報が発行されて、その発明は公開されます。
しかし、特許権があるため他人は実施できません。
一方、拒絶査定になったときには、その出願をすぐに取下げれば、公開されることはありません。

3.大規模な設備投資を考えている場合
特許出願をした技術について、大規模な設備投資をしてしまった後に、その出願が拒絶となった。
さらには、他人の権利を侵害している可能性が高いとわかったら、けっこうな痛手です。
その様なことを避けるために、早期に権利化を目指すことがあります。
つまり、安心して製造販売したいということですね。
これは割と、目新しい技術分野の出願や流行の技術分野の出願に多く見られます。

4.海外にも出願を考えている場合
海外に出願する場合、かなりの費用がかかります。
出願時に1国あたり50万円~100万円。
その後に、また同等以上の費用が発生することも珍しくありません。
すると、数カ国に出願するだけで500万円くらいかかってしまうのです。
これ、多額の費用をかけて海外に出願しても、全て拒絶査定となったら、会社としてはかなり嫌ですよね。
そこで、先ずは日本で特許になるか否かを判断してもらい、特許になったら海外にも展開していくという手法を取ることができます。
日本で特許になったものが海外で必ずしも特許になるとは限りません。
しかし、日本で特許になったものは、海外でも比較的特許となりやすいと考えます。
これは、パリ優先権という制度を利用して、最初の出願から1年以内に優先権を主張して海外向けの出願をするのです。
このときに、特許協力条約(PCT)を使って出願することも可能です。
というか、PCTを使う方が多いと思います。

他にも早期に権利化を目指す方が良い場合はあるかと思いますが、主なところはこんな感じです。

いかがでしたでしょうか?
坂岡特許事務所、弁理士の坂岡範穗がお伝えしました。

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