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人生がときめく片づけの魔法 (近藤 麻理恵)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 かなりよく売れた本で、最近「続編」が出版されたようですね。家族から強く勧められたので、しぶしぶながら読んでみました。私自身、どちらかというと物をため込む方で片づけは大の苦手なのです。

 さて本書ですが、個別具体的な「収納技」をこまごまと紹介したものではありません。それらしい部分も少しはありますが、むしろ勘所をザクッとシンプルに指摘するというスタイルです。
 著者流の「片づけ」のポイントは2つ。

(p45より引用) 片づけで必要な作業は「モノを捨てることと」と「収納場所を決めること」の二つだけ。大事なのは「『捨てる』が先」の順番だけ。

 ただ、誰でも多かれ少なかれそうでしょうが、この「捨てる」ということがなかなかできないのです。
 著者は、この「捨てる」決断のための具体的方法として、対象になるものをひとつひとつ手に取って選別することを勧めています。

(p87より引用) モノが果たしてくれた役割にきちんと向き合い、感謝して手放してあげることで、初めてモノとの関係に「片をつける」ことができたといえます。

 この「感謝して手放す」という発想は、私にとっては新たな気づきでした。私の場合は、単に「捨てる」のが煩わしいから結果的にモノが積み上がっていくという情けないほど単純なあり様なのですが、「捨てない」ことにより、そのモノに纏わる過去の想いをそのままだらだらと引きずっていたという面も確かに思い当たるところです。

 著者が絶対視する方法は、残すものは、これからも間違いなく必要になるモノであると同時に、自分自身がそれを持っておくことに「ときめき」を感じるモノに限るというものです。

(p170より引用) たくさんのモノを抱え込んで捨てずに持っているからといって、モノを大事にしているわけではありません。むしろ、その逆です。・・・自分がときめくモノを選び抜く作業を通じて初めて、私たちは自分が何を好きで何を求めているのか、はっきりと感じとることができるのです。

 モノを捨てたからといって、これまで自分が蓄積してきた経験が消えてなくなるわけではありません。自分自身大切にすべきものを明確に選別・自覚することこそが、今後の生きていくうえでのスタートになり、またエネルギーになると著者は説いているのです。

(p231より引用) 自分という人間を知るには、・・・片づけするのが一番の近道だと私は思います。持ちモノは自分の選択の歴史を正確に語ってくれるもの。片づけは、本当に好きなモノを見つける自分の棚卸しでもあるのです。

 このあたり、単純な「片づけ」のためのTips集・ノウハウ本とはちょっと違いますね。
 「片づけ」によって“ときめくような人生”をおくりましょう・・・。自分自身の過去に感謝しつつも、それをきちんと整理して、これからの将来に対して前向きに歩み始めることが大事。これが著者のメッセージです。

 本書は、「片づけ」を切り口にした一種の“自己啓発書”でもあります。

(注:さて、今は2022年の年の暮れ、私の机のまわりは10年前とほとんど変わりはありません・・・。モノが大幅に増えていないだけでもよしとしましょう。)



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