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リッツ・カールトン 一瞬で心が通う「言葉がけ」の習慣 (高野 登)

 友人からの紹介で手に取った本です。

 顧客満足度(Customer satisfaction)ではトップランク常連のホテル「ザ・リッツ・カールトン」
 従業員に相応額の決裁権を与えたり、サービスの基本精神が書かれている「クレド(credo)」というカードを携帯させたりと、お客様第一の姿勢を貫いているホテルとして有名ですね。

 本書の著者の高野登氏は、ザ・リッツ・カールトンの日本開業(大阪・東京)にも関わった方です。その高野氏が紹介するコミュニケーション術はとても実践的でわかりやすいものです。
 ただ、それに誰もが気づくかといえば、やはりそこにはプロフェッショナルの経験が必要なようです。

 そんな高野氏の豊富なアドバイスから、私の興味を惹いたものをいくつかご紹介します。

 まずは、ホテルの予約センターでの「お客様とのやりとり」について。

(p40より引用) 多くのホテルカンパニーはお客様とのこうしたやり取りを、無駄な時間、非生産的で非効率な時間と捉えています。1本の電話に4分以上はかけないなどといった、コールセンターのような指導をしているところもあると聞きます。お客様とお話しする時間をコストと考えているからでしょう。
 リッツ・カールトンはその時間を投資と位置づけます。お客様との絆を強くするための大事な時間ですから、そこにどれだけエネルギーを投資するかは重要なポイントなのです。

 ザ・リッツ・カールトンでは、予約のために電話されたお客様との会話から、できるだけ多くの情報を引き出し、その場の、もしくはその後のお客様サービスの材料として活かしているのです。
 この会話の時間を「投資」と位置付ける考え方は、確かに「なるほど」と思いました。

 このように、ザ・リッツ・カールトンでは、できるだけお客様と接してコミュニケーションをとることに努めています。そこから得られるちょっとした気づきを、お客様との「絆」を深める行動につなげていくのです。
 ただ、これも実際なんらかの「行動」を起こすとなると、はなかなか難しいものがありますね。

(p104より引用) 気遣いや気配りは、相手が欲していることをした時に、はじめて「気遣い・気配り」になります。相手が欲していない時は、それは「自己満足」や、「余計なお世話」になってしまうのです。

 そしてさらに、こういった「気遣い・気配り」の対象についても、ザ・リッツ・カールトンはプロフェッショナル(商売人)的視点で幅広に考えています。

(p132より引用) あなたにとって大事なのは、“今”のお客様だけではありません。この瞬間、お客様ではない方への今のあなたの対応が、将来の大事なお客様を作るのです。

 ホテルの玄関前でタクシー待ちをしている人、その人が宿泊者ではなくても相応の気配りの姿勢を見せる、CSも実利も意識した行動です。

 さて、本書を読んでの印象ですが、腹に落ちるところも多々ありましたが、私のようにホテルに行くのは出張のときぐらい、それも当然ビジネスホテルというタイプの人間からみると、語られているシチュエーションがちょっと別世界のような感じもしましたね。

 自分の身近なところでは気づかないホスピタリティの勉強にはなりますが、私などはこういうサービスを受けること自体に慣れていないので、かえって気疲れしてしまいそうです。
 なんとも情けないことですが・・・。



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