ぶらり日本史散策 (半藤 一利)
半藤一利氏が得意とする歴史エッセイを集めた本です。
雑誌「遊歩人」に連載されたコラムが中心ですが、全国紙用に書かれた原稿も加えられています。
前半部は第一部として、「戦時期」を舞台にした「昭和史巷談話」。
中にはユーモラスなものもありますが、ほとんどが、半藤氏が抱き続けた戦争批判のメッセージの発露といえるでしょう。
たとえば、「特攻隊員の痛哭の川柳」の節では・・・
そして、「速やかに特殊爆弾を投下せよ!」の結びのくだり。
さて、後半の第二章は「日本史閑談」。
さまざまな時代のエピソードを、半藤氏一流のウィットを含んだ軽妙な筆致で紹介していきます。
そういった中からひとつご紹介です。タイトルは「『勧進帳』の義経と弁慶」。
歌舞伎の「勧進帳」は謡曲の「安宅」に拠っていることは有名ですが、半藤氏によると、この「安宅の関での義経主従危機一髪」の一幕はどうも史実と異なるとのこと。「吾妻鑑」や「平家物語」などその時代を記述した史書には「緊迫したシーン」は出てこないというのです。
と、こんな感じです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?