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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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#ちくま新書

思いつきで世界は進む (橋本 治)

思いつきで世界は進む (橋本 治)

(注:本稿は、2020年に初投稿したものの再録です。
   この投稿以降しばらくはあっさりとした内容が続きます。)

 橋本治さんの本は久しぶりです。

 小冊子へのコラムをまとめたものなので、読みやすい反面、ちょっとウケを意識したような筆致のところもあるように感じられて・・・少々残念でした。

 とはいえ、橋本さん一流の着眼や発想はやはり勉強になります。

論語力 (齋藤 孝)

論語力 (齋藤 孝)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 一昔前に「○○力」といったタイトルの本が大いに流行った時期がありましたね。本書は、それらのピークをちょっと過ぎたころに発刊されたものです。
 著者は、この手の著作でお馴染みの齋藤孝氏。久しぶりに「論語」関係の本を読みたくなって、軽めのものとして手に取りました。
 今回の「力」については、「論語の持つダイナミックさ」を表したかったというのが著

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ざっくりわかる宇宙論 (竹内 薫)

ざっくりわかる宇宙論 (竹内 薫)

(注:本稿は、2013年に初投稿したものの再録です)

 久しぶりに竹内薫氏の本を手に取りました。
 よくありそうな「宇宙論の入門書」ですが、竹内流の語り口に期待が高まります。

 宇宙論といえば、人間を取り巻く環境構造の探究ということで、古代から興味深い変遷を経てきました。そして、近代においてようやくアリストテレスの自然哲学体系を脱し、コペルニクス、ガリレオ、ニュートンと続き、20世紀になってア

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正義論の名著 (中山 元)

正義論の名著 (中山 元)

(注:本稿は2012年に初投稿したものの再録です)

公共善(アリストテレス)

 「正義」といえば、日本ではマイケル・サンデル氏の講義・著作が大きなブームとなりました。

 本書は、古代から現代までの西洋哲学における「正義」の思想のエッセンスを概説したものです。正直なところ、私の理解度は20%ぐらいでしょうか。
 その中でも、いくつか私の興味をひいた部分を覚えとして書き留めておきます。

 まず

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現代語訳 論語と算盤 (渋沢 栄一)

現代語訳 論語と算盤 (渋沢 栄一)

 渋沢栄一氏が論じる「論語」の本としては、以前「論語の読み方(竹内均 編)」を読んだことがあります。
 本書は、「道徳経済合一説」を唱えた渋沢氏の代表的著作「論語と算盤」の現代語訳です。
 本書において、渋沢氏は「論語」の教えに基づいた自己の思想や行動について分りやすいことばで説明していきます。

 たとえば、時折清濁併せ呑むという印象を与える渋沢氏の交友についてのくだりです。

 もうひとつ「修

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情報の「目利き」になる! メディア・リテラシーを高めるQ&A (日垣 隆)

情報の「目利き」になる! メディア・リテラシーを高めるQ&A (日垣 隆)

 会社の方からお借りした本です。
 日垣隆氏の著作は何冊か読んでいますが、本書は2002年の発行なのでちょっと前の本です。

 内容は、日垣氏が「メディア・リテラシー」をテーマに、読者からの様々な質問に対して一問一答形式で答えていくという体裁をとっています。

 まずは全部で20ある質問の中で、「公式サイトを開設した理由を教えてください」という学生からの問いに対する日垣氏の答えの一節をご紹介します

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教養としての大学受験国語 (石原 千秋)

教養としての大学受験国語 (石原 千秋)

 タイトルが気になったので手にとってみました。

 まさに、実際の入試問題を読み、回答を考えるというプロセスを辿る変わった形式の新書です。
 現代国語の入試攻略本のようでもありますが、内容は、人文・思想関係の文章を解釈しその主張を理解することを目的にしているので、現代思想の入門書のようでもあります。したがって、想定されている読者は受験生に止まりません。大学生や社会人もターゲットです。

 まず、著

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私塾のすすめ-ここから創造が生まれる (齋藤孝・梅田望夫)

私塾のすすめ-ここから創造が生まれる (齋藤孝・梅田望夫)

 新書では御馴染みの同年代二人の対談です。
 活動の舞台が異なっているなか、二人の思考の「相似」と「相違」がなかなか面白かったです。

 齋藤氏は、「言葉」「単語」にこだわりを見せます。
 例の「○○力」に代表される類ですが、本書では、たとえばこういったフレーズです。

(p52より引用) リーダーとは、役職以上に、「ポジティブな空気をつくることのできる人」だと言えますね。

 こういった一言で主

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ウェブ時代をゆく ‐ いかに働き、いかに学ぶか (梅田 望夫)

ウェブ時代をゆく ‐ いかに働き、いかに学ぶか (梅田 望夫)

 梅田望夫氏の著作は、「ウェブ進化論」、「ウェブ人間論」、「フューチャリスト宣言」に続いて4冊目になります。

 例のごとくグーグルが登場します。
 最近の動きのアップデートとして、グーグルの持つふたつの顔についてのコメントです。

(p45より引用) 「世界中の情報を整理し尽くす」という「存在意義」と表裏一体となった「広告業界の覇権獲得」という「一つ目の顔」がメディア産業を脅かすのに対して、「コ

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日本を教育した人々 (齋藤 孝)

日本を教育した人々 (齋藤 孝)

日本を教育した松陰 著者の齋藤孝氏が、幕末から現代にかけて「日本を教育した」人物4人をとりあげ、それぞれの人物が残した教育的功績を辿ったものです。

 まず紹介されているのは、幕末期の「吉田松陰」です。
 言うまでもなく、吉田松陰(1830~59)は、幕末の長州藩に生れた思想家・教育者です。幼い頃から叔父玉木文之進らから教育をうけ、1839年(天保10)9歳にして藩校明倫館で山鹿流兵学を講義、翌年

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フューチャリスト宣言 (梅田望夫/茂木健一郎)

フューチャリスト宣言 (梅田望夫/茂木健一郎)

ネットの思想  当代流行のオピニオンリーダである二人、梅田望夫・茂木健一郎両氏の対談を中心にした構成です。

 梅田氏の本は、「ウェブ進化論」、「ウェブ人間論」に続いて3冊目です。その点、梅田氏からの情報としては、これはという目新しいものはありませんでした。強いて挙げるとすると「広告に関するグーグルの思想」でしょうか。

(p23より引用) グーグルという会社はいろんな意味で思想を先につくります。

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職場はなぜ壊れるのか-産業医が見た人間関係の病理 (荒井 千暁)

職場はなぜ壊れるのか-産業医が見た人間関係の病理 (荒井 千暁)

 以前、荒井千暁氏の本は「こんな上司が部下を追いつめる」を読みました。そちらは、産業医の立場で、最近の企業で増加しつつあるメンタル疾患の現状と対応策を明らかにした著作でした。

 今回の本で、荒井氏は、「『成果主義』がメンタルヘルス疾患の原因のひとつである」という自身の仮説を、いろいろな職場の実態をおさえつつ検証していきます。事例は、勤務医であるだけにリアリティがあります。

 荒井氏は、「個人ベ

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世界が変わる現代物理学 (竹内 薫)

世界が変わる現代物理学 (竹内 薫)

 竹内薫氏の本は、ちょっと前に流行った「99.9%は仮説」がはじめてでしたが、本書はそれより前の著作です。

 相対性理論と量子力学の発見を端緒とする現代物理学の展開が、世界像を大きく変えたということなのですが、そもそもの従来の物理学で理解されていた世界像をイメージできない私にとっては少々消化不良でした。

 著者によると、従来は「モノ的世界観」であり、これはイコール「実在論」、その代表的な人物は

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日本の「哲学」を読み解く (田中 久文)

日本の「哲学」を読み解く (田中 久文)

 明治以降、輸入ものの西洋思想が主流でしたが、1930年代、日本でも初めて独自の哲学が生み出されてきたと言います。
 そういった日本哲学の概要だけでもかじれるかと思い、手にした本です。

 本書は、日本哲学を代表する西田幾多郎・和辻哲郎・九鬼周造・三木清という4氏の思想を分かりやすく解説した入門書ですが、やはり、私には荷が重過ぎました。
 哲学の素養のある人から見ると、それなりにポイントをおさえた

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