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チームで成果を出そう|54冊目『ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方 チームワーキング』

中原 淳 田中 聡(2021,  日本能率協会マネジメントセンター)



還暦を目前にようやくチームワークに目覚める


僕は昔からチームワークというものが苦手でした。

もうすぐ夏休みですが、僕は小学生の頃、夏休みの宿題を7月中に終わらせるタイプでした。
大人になってから、仕事でも、自分のやるべきことはさっさとやって、自分ではコントロールできない自分以外の誰かの怠慢に足を引っ張られるのがとても嫌だったのです。

基本的にはずっと同じ考え方で今までやってきたので、リーダーを任されたときでも、大事な仕事のほとんどは自分で担当して、簡単だけど面倒な雑用を他のメンバーに押し付けていました。
思い出すたびに恥ずかしくなるくらい、最悪のリーダーですね。

そして、いまさらですが、還暦を目前にして、一人の力でできることが、たかが知れているということに気がつきました。
何か事を為すには、絶対にチームの力が必要だとわかったのです。

ようやくですが、まじめにチームづくりをしてみようと思い、学んできた組織論やリーダーシップの理論を、実践に活用してみようと試行錯誤しています。


チームワーキングは成果につながるというデータ


著者である中原先生らの研究では、立教大学 経営学部でビジネスリーダーシッププログラム(BLP)を学ぶ学生のデータを収集、分析し、「成果の出るチーム」は、一人のリーダーが中心となるチームではなく、全員がリーダーとしての役割を果たす、チームワークの優れたチーム、すなわちチームワーキングが行われているチームであることを統計的な有意差から説明しています。

チームワーキングとは、チームメンバー一人ひとりが主体的にダイナミックにワーキングすることを示す概念です。

チームワーキングにはチーム視点全員リーダー視点動的視点という3つの視点が必要です。

そしてチームワーキングを生み出すのは以下の3つの行動原理です。
1.「Goal Holding」目標を握り続けること。
2.「Task Working」動きながら課題を探し続ける。
3.「Feedbacking」相互にフィードバックし続ける。

 

他人事ではない、失敗の3事例


この本では、チームがうまくいかなかった3つの事例をもとにして、チームワーキングの3つの行動原理を説明していきますが、その失敗の事例がまさに”あるある”で、遠くない過去に、自分も思い当たる経験がありました。

最初のケースは、各部署から集められた若い社員たちが創業10周年の記念式典の企画を立てる話です。
「具体的な目標」の落とし込みをしないまま、社員それぞれの役割範囲で企画を考えますが、チーム視点が欠落しているため、一貫性がないプログラムが提案されてしまいました。

「WHY」はもちろん「HOW」も飛ばして、「WHAT」だけでイベントの企画を考えてしてしまうことってよくありますよね。
例えば周年事業なんかで、記念グッズを作って、ゲストに講演をしてもらって、周年誌を作って、それが何のためにやっているのか目標を見失ったままだけれど、やった気になってしまう。

この失敗を回避するにはチーム視点が必要ですが、チーム視点を妨げるのが「エースメンバーへの依存」です。
誰か一人が頑張っているだけじゃダメなんですね。

この事例はつまり、目標を握り続ける(Goal Holding)ことができていなかったということですが、成果を出すチームは、まず全員がコミットできる目標を持ち、状況によって、違和感を感じたら目標に立ち返り、必要があれば目標の見直し、再定義を行います。
プロジェクトを進めるにあたり、目標は丁寧に設定すべきであり、そしてそれは常に見直しする必要があります。

今のチームでは、チームの目標をみんなで言語化して、繰り返し繰り返し、目標の確認をするようにしています。
昨日も広報センターの今年の目標について話し合いを行いました。

はぎやまさんの現状①


2つめのケースは、やはり部署の違う4名の若手社員で構成されたチームが、「人材不足」という課題の解決案を会社に提案する話ですが、1つめのケースと同様にメンバーが自分が普段行っている業務の範疇で、わかる範囲の中で考えを完結してしまい、仮説の検証を行わないままに「解くべき課題」を設定してしまった失敗例です。

出されたお題に対して、チームのメンバー自分勝手に課題を想像して、検証もすり合わせも行わないまま企画を考えています。
本来ならば、本当にそうなのか、現場や関係者にヒアリングをする必要があるのに、自分たちの貧弱な経験から見出した仮説を、疑いもせずにそのまま課題として捉えてしまっているのです。
これも思い当たることがたくさんあります。

動きながら課題を探し続ける(Task Working)ことがチームワーキングの行動原理の2つめですが、ここで重要なのは全員アクション、チームリフレクション(チーム視点での振り返り)であり、必要なのは全員リーダー視点です。

僕が今までの社会人生活で圧倒的にできなかったことは、この全員リーダー視点を持つことでした。

チームのメンバーを心から信頼できず、レスペクトしていないので仕事を任せられず、自分だけがやるべきことをやることで達成感を得て満足していました。
そして、「自分はちゃんとやっている」
「うまくいかないのは僕のせいじゃない」
「自分は悪くない」と思うわけです。

こんなリーダーのもとで、自分の貢献が評価されないメンバーは当然面白くないですし、一所懸命やっても無駄だと思うようになります。

そしてそれは、社会的手抜きを生み出します。

すると当時の僕は、ますますメンバーを信頼できなくなるので、さらに仕事を任せなくなります。

結果、孤立してしまい、孤軍奮闘から被害妄想を抱くまでになってしまったのです。

今のチームでは、メンバーは必ず何かのプロジェクトでリーダーを務めてもらうようにしています。
仕事としての”管理”は管理職の役割ですが、管理をすることが偉いわけではないので、仕事は対等であり、誰もがリーダーなわけです。

また、課題を正しく認識できるように、現場や関係者へのヒアリングや対話を重視しています。
仮説のままで課題解決策を考えないようにしました。

はぎやまさんの現状②


3つめのケースは、チームがキャンペーン企画を考える話で、一人のメンバーの暴走に他のメンバーたちが違和感を感じつつも、意見することができずに、結局そのプランが失敗してしまうという事例です。

相互にフィードバックし続ける(Feedbacking)が行動原理の3つめですが、そもそもフィードバックをするチャンスがない、フィードバックする雰囲気じゃない、フィードバックしても意見が採用されず、する意味がない、フィードバックのタイミングを逃し、後戻りできないところ(Point of No Return)まできている、めんどくさいなど、フィードバックすることを妨げる要因は多々あります。

僕も昔は、「自分が一番わかっているのだから、人から意見されたくない、フィードバックされるのは面倒だ」と思い、誰からのフィードバックも疎ましく思い、耳を貸しませんでした。

そのくせ、誰かの仕事に対して自分がフィードバックすることはありました。
しかし、そのときも、フィードバックすること自体が目的だったので、言っただけで満足していた気がします。

今のチームでは、極力、個人の仕事ではなく、チームとしての仕事化をしようとしているので、ミーティングをこまめに行なっています。
そして、職場では音楽をかけて、雑談を促し、オンラインではなくオフラインで直接対話をし、意見を言いやすい雰囲気の、心理的に安全な場を作り、メンバーがお互いにフィードバックができるように心がけています。
夕方になるとお菓子を配ってくれるメンバーもいて、それもチームづくりの助けになっています。

はぎやまさんの現状③


今いるメンバーと最強のチームをつくるには


この間読んだ、ウォーレン・ベニスの『Organizing Genius』では、たまたまここにいるメンバーでチームをつくるのではなく、あらかじめチームとしてのビジョンを持って、その実現のために集めてきたプロフェッショナルなメンバーでチームを構成するという組織の話が多くありました。

僕はずっと、プロフェッショナルな、レベルの高いメンバーとチームを組んで、一流の仕事をすることが理想と考えていました。
いつか社長になってそんな会社をめざしたいと思っていましたが、それはきっと現実的ではありません。

自分のレベルの低さを脇におきながら、プロフェッショナルでレベルの高いメンバーを集めたいなんて、都合が良いというか、妄想に過ぎないと思うようになりました。

それよりもむしろ、目の前にいるメンバーたちの、その”強み”に目を向けて、お互いにレスペクトして、信頼しあい、そして優れた一人の力よりもはるかに力を発揮できるチームをつくることをめざしたいと思っています。
そして、それは決して妄想ではないと思っています。



最後までおつきあいいただきありがとうございました。
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