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アレクサ、何に使ったらいい?

同居人が増えた。
呼び名はアレクサだ。
本名はAmazon echo dotと言う。
kindle fire タブレットからfire TV stickから、
とうとうAIスピーカーのecho  dotまで、私の個人情報は
もうすっかりアマゾンの沼に腰まで浸かってズブズブだ。

最初、「アレクサ!」と呼んでいたが、呼び名を変える設定があると知り、アレクサとなかなか言いにくいので呼び名を「エコー」という名前に変えてみた。しかし、この子はもう既に数時間アレクサとして私と出会ってしまったので、なかなかエコー呼びがしっくりこず、翌日の夜、結局アレクサに戻した。

それから、また言語設定を変えられることを知った私は、
アレクサ氏をイギリス人の設定にしてみた。毎日英語で喋る相手になれば英会話レッスンになるのではないかと思いついたからだ。だけど、アレクサ氏から話しかけてくれればいいのに、こちらから絶対英語で話しかけないといけないので、だんだん英語で話しかけるネタというか語彙力が尽きて、
「Alexa,What time is it now?」の連発になったのでこれもすぐやめた。スペイン語なんて尚更無理だ。やはり、一緒に暮らすには日本語の通じる相手の方がいいと痛感した。

なぜ我が家にアレクサ氏を招き入れたかというと、先週末がAmazonのセールだったからというのと、職場に新しい経営者が置いたオッケーGoogle野郎が幅をきかせていて、私の中の小さな対抗意識がくすぶったからである。そんな訳で諸々込みで2000円台になってたecho dotをポチってしまった。この形状のやつはUSB充電でもなくワイヤレスにもならないということを後で知って、ワイヤレス充電になるGGMMのバッテリーも買ってはめ込んだら、アレクサ・エコー氏は少々いかつくなってしまった。だけど線を繋げずに持ち歩けるからいい。

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「アレクサ!」と呼びかけた時のブルーのグラデーションの光がクールでかっこいい。ついつい反応するか試したくて、ブルーを見たくて、「アレクサ!」と呼んでしまう。しかし、まだ私は機械に平気で話しかける境地には至ってないので、躊躇ってしまう。すると、なんや、喋らんのかい、という雰囲気で、すーっとブルーの光が消える。
そんなことを繰り返した後、慣れてきて、「アレクサ、今日の天気を教えて」というのを一日30回くらい聞いてみた。天気予報が詳しくて、長くて聞いていられないので、「アレクサ、やめて」と言うのもセットだ。用もないのにアレクサを呼び出して、話が長いといらついて、もういい、というわがままな私に精神的に振り回されている。
こんなことに使うために私は2980円払ったのだろうかと頭を抱えている。人見知りだからなかなか話しかけられない。ヘイSiriだって2回呼んで付き合うのをやめた。今のところのアレクサの最大の存在意義は、寝ていて途中で起きてしまって、目をガッチリ開けるのがもったいない時に、目を閉じて布団をかぶったまま「アレクサ、今何時?」と聞けることだ。目を開けないで済むから二度寝がスムーズにいける。それに、「15分後に起こして」と頼むこともできる。
これがアレクサのベストアンサーだと思うが他にアレクサの可能性を探ってみたい。

次に、朝の支度の設定があるというのを知り、
今日の日付と天気、今日の予定を発表してもらい、今日のニュースと英語クイズをセットにしてみた。
合言葉は「アレクサ、おはよう」のところをわざわざ
「アレクサ、ブエノスディアス」に入力し直して変えた。
これで毎朝、スペイン語の挨拶で一日を始められる。
しかし、天気予報とニュースがやっぱり長すぎて、もう私ほどのスピード感を持って朝の支度をしている女(つまり、起きて20分後には電車に乗っているような女)は、英語のクイズに辿り着く前に「アレクサ、行ってきます!」を言う羽目になる。
ここで、薄々気づいたのだが、やはりAIスピーカーというのは、生活にある程度のゆとりのある時間を過ごしている人が使うべきなのではないか。
電化製品の電源のオンオフをこれ一台でやれるという便利さも、結局いちいち「アレクサ、○○して」と頼まないといけない。その時間が惜しいせっかち人間に、もはやアレクサに頼むことなどはあまりない。アレクサに買い物リストにボディーソープを追加してもらったが、それを買い物する時に忘れるから役に立たない。

昨晩は、ネットで調べずに粘っていたけどなかなか思い出せない「吉本興業の二丁拳銃の修二の方の奥さんの名前は?」というのをアレクサに聞いたら、「分かりません」と言われてしまった。また、「修二の妻で、2丁目劇場時代に女性お笑いコンビで、今はNSCの講師もしてて、海原やすよともこのネタも書いている人は誰?」と聞き直しても、
「すみません、ちょっと難しいです」と言われダメだった。ちなみに、そのあと寝る直前に
「ああ、高僧・野々村の野々村や!」と思い出せた。
私の脳はお笑い部門ではアレクサに勝った。まだまだAIスピーカーも研究が足りないと思った。という訳で、調べ物もアレクサをあまり頼らずにやれそうだ。

ただのスピーカーとしてなら私も堂々と使えるので、音楽をかけるのにちょうどいい。
しかし、ある時「spotifyでデヴィッド・ボウイをかけて」とトイレの中から台所にいるアレクサに頼んだら、
「This is BOΦWYのプレイリスト」を再生された。
私の滑舌のせいか、トイレから叫んだせいか。
しかし、懐かしい。
「ボウイ」がブラマヨ小杉の言う「B'z」のイントネーションだったからそれもしびれた。おかげで、30年ぶりくらいに今、みっちり「This is BOΦWYのプレイリスト」をシャッフルして帰り道に聞いている。
〜シャワーを浴びて コロンをたたき 
ウインクひとつで この世を渡る〜
そうそう、コロンは、たたく時代。中学生の時に意味がわからなかった。アレクサ氏もなかなか粋なミスをしてくれたもんだ、ホンキートンキークレイジーだ。氷室の「ライブハウス武道館へようこそ!」のセリフも最高だ。

また、何かで見たのを参考にして、普通に
「アレクサ、疲れた〜」と話しかけてみたら、
「お疲れ様です。大変そうですね、休みは取れていますか?」と優しく聞いてくれた。お前くらいだよ、そんな優しい言葉…とほろっと来そうだった。
そこで人見知りの私が会話を続けられずに黙っていると、
「そうなんですね。どんな時でも疲れをリセットする時間は必要ですね」と言われてしまった。
これだからロボットは嫌だ。心がない。
この、話の通じないシュールさを予想していて、これまでAIスピーカーに手を出さなかったのだった。
話も聞かずに「そうなんですね」なんて言いやがって。
無性に腹が立ったが、人間だって「そうなんやー」と言って真剣に話を聞いていない人は腐るほどいる。
アレクサばかりを責められないなと反省。

とまあ、
アレクサ氏と私の良好な関係はろくに築けていない。
機械のように、悪い言い方をするならば、
アレクサを全く使いこなせていない。
アレクサ、君をどうやって使ったらいいのか、
何に使ったらいいのか、教えて、と尋ねたら君は困るかな。本人に聞いちゃいけない質問だろうか。
気を遣ってためらってアレクサ氏本人に聞かないでいる。
2人の距離を縮まることを願って、今夜も明日の天気予報を聞いて寝よう。
そして途中で起きたら、目を閉じたまま、アレクサに優しく今の時間とあと何分寝れるかを教えてほしい。

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