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緊急事態宣言下、クローズされた展覧会を関係者として観てきました〈神宮の杜芸術祝祭〉

長々と伸びに延びる緊急事態宣言。コロナ患者も増えるし、でも身の回りにはまだ1人としてコロナ患者がいない私にとっては、それが嘘か誠かも判断がつかず、なんだかとりあえず自粛だけやって不安だけあるご時世、展覧会もクローズを余儀なくされました。でも嘆いているだけではもったいない!と展覧会の主催者の山口裕美さんから連絡もらい、クローズ中ですが展覧会にお邪魔させていただけることになりました。ある意味この記事はオンライン展覧会。noteのコンテストにも参加させてもらいます。よろしくお願いします。

神宮の杜芸術祝祭とは

明治神宮を舞台にこの展覧会は開催されています。実は明治神宮は、2020年で創建100年を迎えます。次の100年へと歩みを進めるこの記念すべき年に芸術と文化の祭典「神宮の杜芸術祝祭」を開催することになったそうです。私もアーティストとして、この芸術祭の前回の展示期間に開催されていた百年の杜のアート「紫幹翠葉(しかんすいよう)」に作品を展示していただいたのですが、現代美術の展示が神宮(天皇家直系の神社が神宮です)で行われること。今までに聞いたことない組み合わせで今後の人生ほぼないんじゃないかと思うほど貴重な展示でした。

これを統括するのがyy artsの山口裕美さん。現代アートのチアリーダーとして何十年もこの業界を引っ張っていっているキュレーターです。本も出版されているのでよかったらamazonのぞいてみてください。

ではさっそくですが展覧会にお邪魔しようと思います。まずはもちろん手にアルコール。マスク。体温を測ること。感染対策ばっちりにして会場に入場です!

宝物殿_web-1

ばばーん!明治神宮宝物殿!!!校倉風大床造り(あぜくらふうおおゆかづくり)で作られた立派な宮殿です!今は修繕中らしく一部は閉館してます。とはいっても今回は緊急事態宣言で全館クローズ。私たち関係者一行は裏口からの入場しました。こういう建物をどんどん展覧会で使用させてもらえるようになったらいいなあと思います。

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展示会場は大正時代の最高峰の建築技術で作られています。これだけ広いのに一本も柱がないんです。そしてドキドキするギミックがいっぱい。ここを回したら天上のガラス窓が開くとか見せてもらいました。ほかにも探したらありそうで触りたかったけど壊したらダメなので自重しました。

展覧会のタイトル、気韻生動は生命力と風格に溢れた、今にも動き出しそうな作品という意味をあらわす四字熟語です。今回の展示では彫刻を中心に展示してました。平櫛田中にスポットをあてて、彼が残した傑作の数々を知って、見ながら、彼を見て学んだ現代アーティストたちの作品が一堂に会します。

平櫛田中

平櫛田中はヒラクシタナカではありません(笑)ヒラクシデンチュウと読みます。芸大に通っていたら一度は見たことあると思うのですが今残っている岡倉天心像のほとんどは彼の作です。この彫刻家はすごいですよ、107歳まで生きて長寿番付にまで名を連ねた人。死ぬまで現役。私もそういう感じで生きていきたいと思いました。

簡単に紹介されていますので、貼っておきます。
https://shae-bear.com/archives/5538

作品はとにかくすごい。爺さんばあさんの像がもうマジで半端ないです(語彙がJラップ・笑)。絶対本物見た方がいいです。が、展覧会は閉まってる。でも資料はいっぱいあるので、ここでは写真で紹介します。

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こちら。「唱歌君が代」1901年制作。29歳の平櫛田中が作ったもの。靴のディテールや靴下、帽子、リボンなど、素材感が表現されてて今にも動き出しそうです。日本の現代美術創世記ともいえるこの時代のアーティストの作品はシンプルに説明なくても面白いと思えるものが多く見てて飽きません。この像は展示会場にも展示されておりまして、、、あああ、見てほしい。そんな一品です。

現代彫刻家への影響:優れた写実力

平櫛田中のどう影響受けているのか、という観点から作品を紹介します。木から表現される素材感が見ている人を虜にする平櫛田中の作品ですが、その優れた写実力というのは現代作家にも引き継がれています。

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こちらは木彫で有名な須田悦弘さん。この花はなんと木彫なんです。展示台の端の方にたたずんでいる小さな雑草は凛々しいです。

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展示棚の中で蝉が死んでる。。。。これは三沢厚彦さんの木彫作品です。そのものの大きさに合わせて作品を作る作家で、蝉もそのサイズ。

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クンクンって甘えてきそうなこの犬も乾漆の伝統技法で作られた保井智貴さんの作品。かわいい。

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こちらは棚田康司さん。日本古来の木彫技法である「一木造り」によって人間像を彫りつづけている作家。裏から見るとよくわかる。彫刻は全角度から楽しむと色々見えてきます。

現代彫刻家への影響:深い精神性

深い精神性というテーマでは仏教的テーマをもった作品を紹介します。

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土屋仁応さんの作品。

「形のない想念を生き物の姿を借りて具現化した、シンボルとしての動物像をモチーフに制作。頭を割って水晶などの石やガラスの玉眼を入れる仏像制作の方法を用い、神秘的な表情を持った作品を生み出す。」

なんか、なめたら気持ちよさそうな彫刻でした。木肌が消えるほど色を塗り重ねるそうです。

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この静寂感のたまらない作品は船越桂さん。

現代彫刻家への影響:教え子たち

平櫛田中は東京芸術大学でも教えていたこともあり、優れた作家を輩出しています。

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澄川喜一さんの作品。身近なお仕事と言えばスカイツリーの監修を務めた方で大型モニュメントを多数全国で制作している方。平櫛田中に直接教えてもらった生徒の一人だとか。木や石を削りこんで出来る「そりのあるかたち」を作り続けている。

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深井隆さんのコーネルへの旅という作品。ジョゼフ・コーネルのオマージュ的作品で、とても魅力的。1978年東京藝術大学大学院美術科彫刻專攻修了。

現代彫刻家への影響:場所性、存在、現代を生きる人々

こちら平櫛田中の直接的なテーマではないのですが、日本の彫刻史のテーマでもあるこれらは、平櫛田中も含め、多くの美術家たちを魅了し続けてます。

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こちら名和浩平さん。Throneという作品は王座という意味。「コンピュータや人工知能が加速度的に進化を遂げ、絶対的な知性を誇るようになる時、私たちの社会全体、ひいては国家さえも、それに盲従してしまうのではないか。そのような予感を浮遊する空位の玉座(throne)として表現した。」

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土屋公雄さんの作品。所在/記憶」をテーマとし、解体された家屋の廃材や灰を素材とした作品を制作。「場」や「地域」の歴史・文化・環境に関わるサイトス ペシフィックなアートプロジェクトを展開してきた。

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seccaさん。私もよくお世話になっているクリエイター集団。こちら木で作られたように見えて、実は建築で用いられたりする木に見える材料。ものづくりに携わる立場から見た産業の在り方に対する疑問や課題を投影した作品を制作する。

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そして宮島達男さん。数字が消えていくことで転生輪廻を表したり、人間の生死を表現したり、場所と状況で見え方が変わるとても面白い作品。こういう小品も珍しいのだとか。

絵画もあったので、絵画も紹介

絵画もすごいおもしろかったので紹介します。

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小林正人さんの馬の作品。明治天皇の御料馬「金華山号」を描いたもの。名馬だったそうで、今ははく製になって聖徳記念絵画館に飾られているそうです。明治神宮に飾る絵だからお金で買った画材なんてつかえないでしょ!ということで板とか木、あと裏の

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しゃべるは山で拾ってきたそうです。写真の取り方で馬が金色に変わるインスタ映え半端ない作品。

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こちらは原良介さんの作品。明治神宮の道を絵にしたそうです。水彩画のように書かれていますが油絵で、2層目を絶対に塗らない描き方。スカッとした構図に飲み込まれていきそうでした。

最後に

noteの機能範囲内ですがオンライン展覧会を開いてみましたがたのしんでいただけましたでしょうか?緊急事態宣言がこのまま続けば展覧会会期が終わってしまうという悲しい結果にもなるかも、らしいです。明治神宮に行ったことがない人も多いと思いますし、散歩がてら見に行ってほしかったのになあと残念だなあと思ったりします。美術展は情報ではなく経験が大事です。早く終息を願うばかりですね。

今回ご招待ありがとうございました!!




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