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老兵は、ただ静かに、去り行くのみ

少子高齢化社会をひた走る日本。
2016年9月に放映されたこのNHKスペシャルだったかは記憶が曖昧だが

「世界でも”最先端”を突き進む日本の動向を、世界中が注目している」

という感じで終わる最後のナレーションは、私のこころに深く刺さった。

このときは「そんな”最先端”の社会を、その内側で経験するのも悪くないかも」と思ってはいたのだが今は逆。

年寄りに最適化された社会から飛び出した方がいいのではないか…?
(年寄り自身が)


特に今、国民の平均年齢が20代の国におりますのでね、ある程度年齢を重ねたとしてもこういう国で揉まれた方がいいのではと思う今日この頃。そうすることで健康寿命も延びるでしょうし、何より老い先短い我が身より、このあと更に生きていかなきゃいけない若い世代に、さっさと椅子を明け渡して活躍してもらった方がいいんではないか。

そう感じた話をいくつか。





Episode 1: COVID-19関連

ここで言う平均年齢20代の国とはマレーシアを指すが、with COVID-19となりつつある現在、”MySejahtera”というスマホアプリがなければ日常生活に支障を来す。

一段落つきつつあるが予防接種予約、その後の接種証明書はこのアプリ上。
それだけではなく、そもそもコンビニやショッピングモールで買い物するにも、入り口にあるQRコードをこのアプリで読ませないといけない。追跡目的で。これと検温をやらないと(かつ感染リスク低で37.5度以下でないと)、店内に入れてももらえない。
もう、スマホが使えなければ、普通に買い物もできないんである。
(極端なこと言えば。もちろん救済措置はあるけど、手書きで個人情報を記帳する必要がある)


こういうとき、今日時点70代半ばの母を思い出す。


私が大学生もしくは社会人になりたてだった2000年代初頭、つまり21世紀になってようやっとガラケーを手にした。御年50代やったのね。
その後、ほとんど機種変更もせず使い続け、去年だったか、さすがに電池がダメダメでうんともすんともいわなくなり漸く、スマホに切り替えた。

個人的には、スマホの方がガラケーより体感的に、より高齢の方には使いやすいのかな?と思っていたが、母の様子をみているとそうでもないらしい。

文字入力は結局、一緒に住んでいる妹に丸投げ。
LINEやWhatsAppといった無料通話アプリで電話がかかってきても取らず、何故か通常の電話でコールバック。わざわざ課金されるやつ…


こんな母に、おそらくは彼女よりもお年を召されていると思われる中華系マレーシア人のお姉さま(同じコンドミニアム在住)をご紹介したい。

スマホでYouTubeだかの動画(太極拳ぽい音楽が流れている笑)をみながら、毎朝体操されている。そのルーティーンが終わればプールサイドのベンチでのんびり、ひたすらスマホをスクロール。微笑



Episode 2: 映画館にて

先日、遅ればせながら”DUNE/デューン 砂の惑星”を映画館で観た。


さすがに2時間を超える長丁場、飲み物でも買おうかと思った売店にて。

私「水くださいな」
店員「そこのQRコードをスマホで読み取り注文せよ

私「え、まじか」
注文サイトに飛び、水500ml、RM4≒100円を選択



私「注文したでー」
店員「支払い方法は、どの電子決済か」

私「は、まじか」
現金やDebit Cardすら受け付けてくれんのか…
たった100円の買い物なのに。


正直、こういった電子決済をあまり使っていないワタクシ、じたばたしました。GrabPayにいくらか残高があったことを思い出し、事なきを得る。


日本なら、「なんで現金で払えんのやー!責任者呼べー!!!」等とお怒りになる方がいらっしゃるのでしょうか。



Episode 3: Nando'sにて

日本未出店のため御存知ない方も多いかも知れないが、鶏料理がめちゃくちゃに美味しいお店。1987年に南アフリカのヨハネスブルクで誕生したそうな。

マレーシアは豚肉禁止のイスラム教が国教かつ、牛肉禁止のヒンドゥー教徒(インド系)も住んでいるためか、どの宗教も禁忌ではない鶏肉がべらぼうに美味しいと思っている。
国境が開き、自由に行き来できるようになったら是非、いや絶対、お試しいただきたい。


このNando's、鶏肉そのものだけでなく、付け合わせのPERi-PERi sauceも病みつく美味さ。日本へ帰る前に大量買いやー!と思ってたけど、Amazonで買える時代でしたね。



そのレストランに、久しぶりに立ち寄ってみた。

COVID-19の影響か物理的なメニューはテーブル上になく、席にあるQRコードを読ませて注文する。

ほぅ、このスープがセットになったやつ、うまそう。ポチっとな。


支払い方法も、

・オンラインバンキング
・電子決済
・レジで現金かDebit Card

と、多種多様。
オンラインバンキングにしてもよかったのだが、レジでの決済を選択し、料理が来るのをしばし待つ。





英語多読用のKindleを持参し読み耽っていたため、時間がかかっていることに全く気付かなかったのだが、心配そうな顔をした店員さんが近づいてきた。


「お支払いはお済みでしょうか?」

はい?(゜-゜)



どうやら注文しただけではダメで、支払いまでも完了しないと食事にありつけなかったらしい。Nando'sではない別のレストランではそうじゃなかったのですっかり油断していた。速攻レジに向かい支払いを済ませる。


そしたら料理が運ばれてきた。秒もせず。

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とりとめもなく、スマホが如何にマレーシア生活に食い込んでいるかを綴ってみた。こういう不如意(≒刺激)を日々経験した方が、頭にもココロにもよいんじゃないのかなぁ。もちろん過度なストレスとならない範囲で。


お恥ずかしいながら、40代の今でさえ大いにわたわたした。苦笑
これから向かう50代60代70代80代90代?、人生後半戦も、こういう世界で過ごした方がよくないかと自分に問いかける。


あなたは、どちらをえらびますか。




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