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経済産業省のAIコンペに参加しました

こんにちは。Norikazuと言います。2020秋から経済産業省が行っている、AIQuest2020に参加しました。

もし次もあるなら、エンジニアの方に限らず、

私のようにAIやデータサイエンスに興味がある人/キッカケがなかった人

にも、是非参加して欲しいのでレポートします。

・「AI+ビジネスコンペ(PBL:Project Based Learning)」
・「実際の企業とAI導入の実証実験(企業協働プログラム)」

に参加した模様を記載します。


はじめに参加した結果をいうと、経済産業省AIQuest PBL総合優秀者(上位3%)とコミュニティ貢献賞を頂きました。私自身はじめは、初心者でしたが、得れたものも大きかったと思っています。(仕事終わり/子どもが寝た後に時間を作って学びましたが良かったです^^)



まずは、この"AIQuest"を説明します。

AIQuestについて

とても簡単に言うと、

「架空の企業のケーススタディを基に、AI技術を習得しよう。社会にAIを実装していこう。」

という約半年の経済産業省が進めるAI教育プログラムです。

※ちなみに、参加は無償です。私はAIのコーディングに自信が無かったので、参考書や、signateの有償版を別途自分で契約して勉強していました。

全くAIを知らない人が、0から手取り足取り教えてもらうというよりも、とりあえず、海に投げ出され、「がんばって泳いで!^^」となるイメージが近いです。

背景に、日本全体の課題として、デジタル化や、人手不足で業務がいっぱいになる中、解決策の1つとして、AIの導入や活用が言われています。

一方で、「そもそもAIをわかる人/教える人がいない」問題があります。

AIQuestには、"先生"はおらず、"課題"が与えられ、それぞれで"解く"よう進行します。なので、「AIを"教えてもらえる"」と思っていた人は、ちょっと辛かったかもしれません。

また、AIQuest自体も始まったばかりで、ツッコミどころも0じゃないのですが、そこ含め楽しんだもの勝ち/学びに繋げたもの勝ちかなと思います。

今回、完全オンラインで全国各地から、約700名参加しており、エンジニア/初心者/ビジネスサイド寄りの方、年代様々でした。


実際、何をやるのか?

仕事っぽいことと、コンペ(競争)が混じりあい、大きく3つで構成されています。

①要件整理/定義:クライアントのお悩みから、そもそも何が課題なのか必要かを整理する
②AIコンペ:課題に対して、より良いAIモデルを構築する
③プレゼンコンペ:分かったことをまとめ、経営者に導入するためのプレゼンする

もちろん、課題や状況はペーパーにまとまっているだけなのですが、ケーススタディを基にしているので、比較的リアルな状況を基に進行していきます。


たとえば、こんな感じ

ある会社の約2年間の売上データを基に、いかに在庫を切らさすことなく、来月何がどれだけ売れるかを、様々なAIモデルを作って予測してください

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・AIコンペ

"答え"が用意されているので、各参加者AIモデルや様々な統計処理で競いつつ、"答え"に一番近い参加者が"勝ち"となります。

ここら辺、AIコンペで有名な"Kaggle"や"signate"を聞いたことあったり、やられている方なら詳しいですよね。それとここは一緒です。


・プレゼンコンペ

ここが他と異なり、会社へ導入するための、"経営者へのプレゼン"もコンペの対象となります。

プレゼンコンペの私のプレゼン表紙はこんな感じ。

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複数の参加者に、経営者目線で評価してもらいました。他参加者のプレゼン資料を採点しましたが、みんな力のこもった数十枚のプレゼン資料を作ってます笑

確かに、実際の現場を考えると、担当者1人がAIを分かっていてもなかなか進まないし、

経営者や意思決定者が「よし分かった、やる!」

と言わないと、なかなか現場で進まないものですよね。

ケーススタディを基に、①要件整理/定義→②AIコンペ→③プレゼンコンペ を約2ヶ月かけて通すことで、実務っぽく課題が進行していきます。


私自身やったこと

一般社団法人データサイエンティスト協会が定義する、スキルチェックリスト ver3.01と照らし合わせると、最初私は

・ビジネス        ★★☆☆(エラい人へプレゼン/PM経験あり)

・データサイエンス    ★☆☆☆(簡単な統計知識はある)

・データエンジニアリング ☆☆☆☆(簡単なSQL操作、Excel触る程度)

プレゼンは仕事柄やってましたが、一番の課題は、AIをプログラミングできなかったことでした。

ただ、さすがに、それで諦めるわけにもいかないので、signateの有償版を別途契約して、似た課題を見つけ、日夜格闘して"なんとか"していました。(signateには、各課題ごとステップに分けて解説があります)

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他にも適宜、それぞれが課題への回答を制作作るので、参加者同士のslack内で、有志での相談会や、要件定義でのディスカッションが日々行われていて、それもまた楽しかったですね。


・参加者主体の活動(LT会など)

今回全てリモート開催でした。それぞれ拠点から参加しているので、700人もいると、最初はオンライン上だとコミュニケーションが取りづらかったです。

解決の1つとして、非公式な場、参加者有志でLT(LightningTalk)会を立ち上げました。「AIに関する自分の経験談」や「取り組み事例」など軽いシェア会としていました。

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会自体は、ほぼ毎月、各回約90人ほどで行ったこともあり、私自身交流もしやすくなったし、各参加者の現場でのAIに関する取り組みも多くシェアがあったので、知識のインプットとしても勉強になりましたね。


企業との協働

一部参加者(今回は30名程度)については、1つの課題が全て終わった後に、企業と協働してAI導入を行う、「企業協働プログラム」がありました。

これまでは、

"架空の会社"に、「要件整理/定義」→「AIコンペ」→「プレゼンコンペ」

企業協働プログラムは、5人のチームを組んで、

"実際の会社"に、「要件整理/定義」→「AI実装」→「経営者へプレゼン」

行います。


我々は、東京にある水上印刷という印刷会社の、AIモデルを制作し、2ヶ月で要件定義から実証実験+導入調整までを行いました。

※今回ありがたいことに社名含め内容の公開許可も得ているので、可能な範囲で実際の課題を公開します。

・水上印刷株式会社 https://www.mic-p.com/ (以下、水上印刷と記載)

また、好評頂いたこともあり、早速会社のプレスを出して頂いています。


水上印刷からのお題は、

印刷会社なので、印刷物の「受注」→「機械を動かす」→「出荷/納品」  を、人や機械を動かしつつ、出来るだけ早く回すことが、とても重要です。

"受注したもの"によって、「どの機械をいつ動かすか?」「機械の準備にどれくらいかかるか?」「誰が動かすか?」を踏まえ生産工数を予測し、その日の予定を組みます。

人が経験を踏まえて行っており、誤差も少なくない状態だったので、生産工数予測をAI予測したいがお題でした。

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お題踏まえ、先にAIモデルの結果を記載すると、

AI予測による生産工数の予測誤差の減少に成功しました

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過去の受注に対して、工数や枚数などの様々を一覧化された、過去約2年分のデータを頂くことができました。

実際これを基に、データを見やすくEDAを行い、特徴量を基にAIモデルを構築しつつ、クライアントにも適宜共有して進めていきました。(*LightGBMやCatboostなどAIコンペではお馴染みの言葉も出てきます)

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実際の現場の方と話すと、”特徴量”の話は、それぞれの視点が面白かったですね。

僕らAIモデルを構築する側は、どれが影響するだろうか?と機械的に見ていって高いものをモデルに構築していきます。

現場としては、感覚的に機械稼働工数に関係していると思っていた要素(例えば"数量"や"色"など)も、AIだと異なる要素/関係なかったと言うことも、実際にありました。

また、今回のお題は、「AIモデルの構築」がお題だったのですが、チームメンバー・水上印刷両者ともせっかくなら導入して使ってもらいたいこともあり、実際の社内システムに取り込むバッチも制作しました。

(*先方の担当が、ICT部門だったこともあり、ここら辺は話も早かったです)(あと、チーム内のエンジニアたちが、めちゃくちゃがんばった



水上印刷との協働を踏まえた学び

実際、さまざまAIの実証実験を行っても、失敗の方が多いと思います。

データがなかったり、綺麗でなかったり、時に「AIが入るから、すごい結果になるに違いない!」というクライアント期待値調整も必要です。


今回AIの実証実験、比較的良い成果が出たのは、上記の"失敗あるある"が少なかったことがありました。成功要素を抽象化してヒト・テーマ・進行・環境として以下のように分解しています。

□今回の成功要因分析表

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特に、

・データが一定数あり、比較的綺麗に整っている

・クライアントのほど良い期待値、効率化やAI活用に前向き

・関係者間で早い段階でゴールが明確

は、やっぱり重要と認識したと同時に、プロジェクト進行において必要な要素を早期に抑えられたことが、良い結果に繋がったと思っています。


最後に

約半年で、学び合う上では、良い仲間/ライバルに会うことができました。それは良かったと思うし、"データサイエンス"や"AI"の世界に対して、すこしは近づき、意味あることが出来たと思っています。

最後に、

・クライアントで実際の課題に触れさせて頂いた、水上印刷の皆さん

・AIQuest事務局の皆さん

・有志のLTやbootcampに参加してくださった参加者の皆さん

・協働プログラムでチームの @IMNK,@takafumi1204,@irys,@lightuseさん

ありがとうございました。

AIQuestは、社会にAIを実装していこうとはじまったプロジェクトでした。なので、一緒にAIをより社会に実装できるよう、頑張りましょう!

また、これが、過去の自分のようにAIに興味があるけど、これまでキッカケをもてなかった人にも届くと幸いです。

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