見出し画像

サイバー攻撃から自分と組織を守る。デジタル戦争の行方。

【サイバー攻撃が当たり前になった】
サイバー攻撃、サイバー戦争、サイバーテロ、などインターネット空間が攻撃の対象になることが多くなった。先日の東京オリンピックでも、多くのサイバー攻撃があって、それを防いだ、というニュースが駆け巡った。また、個人のインターネット接続も、コロナ禍でのオンライン会議が当たり前になってきた昨今、狙われる対象になっていて、遠隔会議システムを開発・販売している各社でも、自社の製品のセキュリティ対策を行っていることを強調していることが普通だ。

【なぜサイバー攻撃がされるのか?】
簡単にいえば、先進国においては、都市を中心とした国や地域のインフラとして、インターネットが当たり前に使われている、ということになったからだ。そして、インフラとして使われるだけではなく、もともとはインターネットとは関係のない、水道、ガス、電気、お金といったあらゆるものが、どこかでサイバー空間とつながっているので、その国や地域のインターネットを混乱に陥れることは、そのまま「都市」「国」「地域」を混乱に陥れる、という事になってしまうからだ。インターネットが動かなくなれば、水道が止まり、電気が止まり。。。そして、戦いの前線への補給が止まる。人の社会はインターネットなしでは立ち行かない社会になった。かといって、今からインターネットの無い社会に「戻す」ことはできないところまで来ている。

【「戦争」はなんのために?】
戦争は、なんのために起こされるのか?という原点に戻って考えてみよう。第一次世界大戦、第二次世界大戦のときに戻ってみるとそれは「土地争い」「資源争い」、つまり「地域の支配権争い」が戦争の原因であったことがわかるだろう。敵が降伏すれば、そこでその土地の全ての資源、人やモノの支配権が決定する。そこで勝敗は決定し戦争は終わる。国境が変わる。

【現代の戦争は変わった】
第二次大戦後、多くの核兵器が作られたが、それはほとんど使われなくなった。なぜかというと、核兵器はその地域の全ての人も物も破壊し「使えなくする」からだ。つまり、支配しても、核兵器が落とされた地域は放射能汚染で長い時間使えない「死の地域」になる。支配しても支配コストだけがかさむ。支配したメリットが少ないからだ。同様のことは生物兵器などでも言えることだろう。既に第一次世界大戦から100年以上が経つ欧州でも、汚染(有毒ガスや鉛などの有毒金属)により全く使えない地域も存在する。別の言い方をすれば、支配したものの、支配のメリットが全く無い、という地域ができてしまったら、戦争に膨大なお金を投じた意味がない。現代においては「大量破壊兵器」は「見せて怖がらせるためのもの」になった。これだって、相手が怖がらなければ、敵地域の支配権は得られない。かといって、使えばその地域は「使えない」。このジレンマが始まったのが、現代の戦争だ。

【現代において有効な戦争とは】
こんなことがわかってしまった時代には、戦争のカタチは当然変わる。なによりも敵の地域の人やモノやカネの支配権をいかに効率的に奪うか?ということや、その意志で来る敵をいかに防ぐか?ということに「現代の戦争」はやることが移ってきた。そして、敵を地域から排除した後に、いかに低いコストでその地域の支配を固めるか?という問題も出てきた。支配を確定しても、その地域を支配するメリットがなければ、投じた戦費の無駄になる。そこで、現代の戦争は「いかに低いコストで地域の敵を掃討し、地域支配をいかに低いコストで固めるか」が重要になる。

【答えは「戦争のデジタル化」】
インターネットが当たり前に使われる現代の、特に都市部においては、そういうわけで、その地域のインターネットなどの通信インフラを狙う、ということが増えてきた。つまり現代においては「サイバー戦争」こそが戦争の主体とならざるえを得ない。サイバー戦争で戦争を行うと、地域の支配権を奪った後の復興時期の投資も最小限で済む。地域を奪った後も、元のように「復興」させ、使わなければ利益は得られないのだから。

ただし、テレビなどでも未だに戦闘地域が世界にはあるのを見るだろう。現代の戦争のカタチに行き着く前の地域というものが、まだ結構存在する。そのためのこれまでの武器は必要な時期はまだ続いていることも、否定はできない。しばらくはサイバー戦とそうではない従来の戦争の両方の準備が必要な時期なのだろう、と思う。

【現代の戦争の最前線はあなたのスマートフォンやPCだ】
このように変わってきた「現代の戦争」においては「最前線」は敵地に近い場所ではなくなった。それはあなたの使うPCやスマホになった。だからこそ、企業や役所の組織の防衛にサイバー空間での様々な防衛策が、この国に住む誰にとっても重要なことになったのだ。

【手前味噌ですが】
ということで、ここからは宣伝だが、現代の戦争:サイバー戦争について、4年前「ショート・ショート集」をAmazonで上梓した。「サイバー戦争論」で検索すると出てくる真っ白い表紙の二冊だ。私と一緒にこの国に住む多くの方々に読んでもらいたい、と思い、書いたものだ。

●読みやすい事例ショートショート。
その1
その2



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?