トルコ占領下の「クルド独立評議会」

コロナ禍が世界を席巻しニュースはウイルス一色になっています。これまで検査を避けることで感染者数認定を抑えてきた日本でも連日感染者増加が報じられ感染爆発が起きつつあります。

中国が感染爆発に陥ってたころ、イランを除きまだ感染者が数人しかいなかった中東も今やコロナ禍が広がり、内戦下のシリアにも徐々にコロナが拡散しつつあります。シリアを占領するトルコでは先月感染者が認められて以来、今日まで5000人以上の感染者が確認されています。そのあたりは下記記事にざっくりとですが書きました。


コロナ禍の陰でトルコの北シリア・西クルディスタン占領は続いています。それについて「シリアの今日」というトルコ語のシリア情報サイトに興味深い記事が掲載されていました。

「クルド独立評議会」なるトルコの傀儡勢力の指導者のインタビューになります。トルコは2018年1月にシリア北西部アフリンに侵攻し3月に占領しました。トルコ傘下のテロリストが略奪、誘拐等を繰り返しクルド人が統治していた頃に比べ格段に治安は悪くなりました。またトルコは地域のクルド人口を減らすためシリアの他地域から落ち延びたテロリストとその家族、またトルコ国内のシリア難民を入植しています。それに対しクルド側もゲリラ戦を展開。連日トルコ傘下のテロリストやトルコ兵が暗殺される混沌とした状況に陥っています。

トルコは自国の支配をシリア領に及ぼすため傘下の政治勢力を占領地に設立してきました。この「独立評議会」もその一つです。本記事には、トルコの占領に協力することとクルド人の利益の確保を目指す、という矛盾した存在への言い訳に満ちています。その中で短いながらも重要な内容を下記引用してみました。

・バルザニとの関係

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―独立評議会はバルザニと関係があるのか?

 バルザニ関係者は当評議会には参加しておらず、その政治勢力から支援を受けてはいない。私たちが三色旗を使うのはそれがクルド人を代表するものだからである。

・ENKSと関係

※ENKS:トルコに協力するクルド人主体のシリア反体制派

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―ENKSと関係はあるのか?

 ENKSとは一切関係ない。

以上引用した部分は多くの人が疑念を持つ核心的内容です。そのため本記事は、傀儡勢力がクルド人の裏切り者と突っ込まれそうな内容に予め予防線を張っておいたという感じでしょうか。裏を返せばイラクのクルド勢力も関与していない「純トルコ製」の傀儡勢力であると白状しているとも言えます。クルド語とアラビア語しか理解できない大半のシリアのクルド人がこの記事を読むことはないでしょう。このサイト自体がトルコ人向けのプロパガンダ拡散のためにあるようなものなので、トルコ人とトルコ領内のクルド人向けのプロパガンダだと思われます。

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