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(誰得情報!?)北極での石油開発

「北極での資源開発」をテーマに卒論を書いているのだが、ちっともパソコンに向き合う気持ちにならない。ある程度興味がある分野だが、寝る間を惜しんで勉強したいと思えるほど熱意がないのが理由だろう。


そこで、ここに論文の概要を書くことによって、やる気を出せないかと思ったのである。どちらにしろ、卒論は日本語→英語という過程が伴うわけだから日本語で書いておくに越したことはない。


まず、北極における石油開発に興味を持つにあたって、地球温暖化の存在は極めて大きい。温暖化により氷が溶けることで、多くの国が北極進出を狙うようになったからだ。資源開発、軍隊、輸送海路、地下ケーブルなどをすでに占有権がある中で、北極はいまだに未開拓な土地なのだ。


ここで海洋国家を記述する上で欠かせない人物であるアルフレッド・マハンを取り上げよう。彼はマッキンダーと肩を並べて地政学の立役者として有名な学者である。


彼は海洋国家としての力(シーパワー)の主要条件として6つ挙げている

シーパワーの主要条件
⑴地理的位置
⑵自然的形態
⑶領土の範囲
⑷人口の数
⑸国民性
⑹政府の性格


全てを取り上げることはできないので、興味深いものを一つ取り上げよう。それは地理的位置である。海洋国であればイギリスが浮かぶだろう。イギリスは海で囲まれていることからオランダやフランスに比べて他の国から攻撃を受ける心配はなかった。地中海による交易メリットをフランス諸国は持っていたが、一方で攻撃されやすい環境とも捉えることができる。



閑話休題



僕は北極海に関わる企業群内で、ロシアの国営企業であるロスネフチを特に注目している。現在、ロスネフチはロシアの北側(北極海)であるカラ海とバレンツ海、ヤマル半島での石油開発を進めている。


ロシアを選んだ理由は単純で、「何かやらかしそうな」気配がしたからだ。とても失礼なのは重々承知なのだが、中途半端な企業を調べるよりはいいと思った。


また、マハンの話に戻るが「領土の範囲内」という項目でロシアは非常に良い場所である。領土の範囲というのは広さではなくて海岸への接地面の広さを指している。そういう意味でロシア領土の多くが北極海と面しており、有利な場所に位置していると言える。



ロシアの貿易歳入の約半分は石油、または天然ガスに依存している。極めて特徴的な国である。そしてこの傾向は変わることはないであろう。そうなってくると、重要なのは資源開発をできるだけの体力がロシアにあるのかということになってくる。体力はすなわち、資源開発するだけの技術が伴っているかどうか、それだけの財政的余裕があるのかということだ。


残念ながら、結論から話すとロシアには北極で資源開発するだけの技術はない。そしてロシア自身で技術開発をできるだけのノウハウと財政的余裕もない。だからこそ、北極海では米国のエクソンモービルと、ヤマル半島では日本商社などと共同開発をしているわけである。だからと言って中国の人民元は役には立たない。


また、拍車をかけるようにロシアにとっての厳しい出来事が起きている。それは米国の大統領がバイデンに変わり、2050年までの二酸化炭素排出量の実質ゼロに乗り出したことだ。


大統領がトランプのままであれば、北極海への開発の援助も獲得できただろう。ロシアへの経済政策がオバマ政権時代に打ち立てられたが、トランプ大統領時に少しだけ緩和するのではないかと噂が出ていたからだ。プーチンとしてもトランプが続投するのを望んでいたらしい。しかし、バイデンが脱炭素を表明したからには簡単にはいかなくなった。


今まではロシアが開発できるかどうかについて書いてきたが、これからは一般的に北極開発自体が是か非かについて書いていきたい。まず問題点と開発がもたらすものに分けて考えていこう。


問題点は北極海生態系へのダメージである。北極での資源開発は非常に危険を伴う。通常、資源を海から調達する時は、ギグまたはプラントと呼ばれる船を水上に浮かべる。しかし、北極では流氷の被害を受けるため、非常に頑丈なプラントを建設しないといけない。なぜプラントが動いてはいけないかというと、プラントから長い管を海底に突き刺して掘ることで石油をとるのだが、プラントが動きすぎると管が破損などの危険につながるからだ。一般的には、プロペラもしくはアンカーで船を固定する。


また、永久凍土によるパイプ凍結の問題もある。コストもかかる上に、油が漏れた時への生態系へのダメージが非常に大きい。今までにも、パイプラインの事故が発生してきたが、ロシア連邦によるとその半数は漏洩事故になっている。パイプを温めることで永久凍土自体への温暖化も問題視されているのである。


このように様々な障害がある中でロシアはどのように開発を進めていくのが個人的に楽しみである。ベネズエラ、ウクライナなど利益になりそうなことには手を出しているロシア、周りからの経済制裁に立ち向かっていけるのだろうか。

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