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今さら、負け犬の遠吠え〜女性に家族構成を聞くためらい〜

ある行政の男女共同参画センターで原稿の打ち合わせをした。担当者は女性が2人。どちらの方もほぼ初対面だ。
原稿を掲載する冊子と、その冊子を作る意義をお伺いした。
話がだいぶん進んでから僕はそっと聞いた。

「失礼ですがご家族は?」
先方は僕の家族構成を知っている。
主夫業から始まっていろいろ活動をしているから、今回の原稿をご依頼くださった。

でも、僕は女性お二人の家族構成を知らない。
知らなくったって困らないといえば困らないのだけれど、打ち合わせを進める上でもっと打ち解けたい。
冊子を作る意義も、男女共同参画センターとしての役割もあるだろうけれど、個人としての動機もぜったいあるはずだからだ。

お二人ともさくっと答えてくださった。
お一人は成人した子どもが2人いらっしゃる既婚者。お一人は未婚だった。
そこから酒井順子さんの「負け犬の遠吠え」の話が出た。

もう17年も前のベストセラー。
未婚、子ナシの30代女性を「負け犬」と定義したその内容はとても面白かった。
「負け犬」は著者本人のちょっと自虐が入った表現。

注目したいのは「負け」じゃなくて「犬」の方だ。
結婚したかしてないか、子いるかいないかなんてことを勝ち負けにするなんて、我々は「人」じゃなくて「犬」だ。
人はどんな立場でも平等なのに、ちょっとした違いを勝ち負けにする。

そんな我々は全員勝っても負けても「犬」なんです。という毒なんですよね。
なんて話をしてとても楽しかった。
だけれどこの話題は、女性2人の立場を聞いていないと多分展開しなかったのだ。

これからも打ち合わせ相手の家族構成は男女に関係なく聞こうと思った。
ただし、ちょっと打ち解けてから。
そっと、でも遠慮なく。

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