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誰かを思う時間を見直すということ

いま世界で起きているこの未曾有の事態。その波及は様々な所へと及び、未だ糸口が見えぬまま刻々と時間だけが過ぎていく。終わりの無い戦いや、先の見えない不安はこんなにも人々を苦しめ、焦燥や怒りという感情だけでなく、生活をも蝕んでいく。

自身、20年間美容師を続けているが初めて休業ということを体験している。国の方針では理美容は対象外ではあるが、一企業としての懸命な判断をしたのだと思う。

こんなにも仕事が愛おしく早くお客様の髪を切りたいと切に願っているのは、それこそデビュー間もない頃の気持ちを思い出すとともに、一人一人のお客様の顔がふと思い浮かんでしまう。多い方は月に2回以上はご来店くださり、故郷の家族よりもはるかに多い回数会っている。自分はまだ20年程度だが、先輩の美容師はもっと歴も長く、顧客も多く、お客様と会っている回数は計り知れない。ある意味家族より会っている近しい存在であり、もしかしたら烏滸がましいが自分のことを理解してくれる数少ない存在かもしれない。

だからこそこの在宅の時間がただ単に過ぎていくのではなく、一歩でもそして少しでも誰かの何かの役に立つ何かを世の中に発信し、また自身が成長していくことが休業に課せられた自分の使命のような気がしてこうして筆をとってみている。

そして休業に際し最も重要な思いは家族である。妻や息子とのかけがえのない時間をいただけたことは不幸中の幸いである。普段なかなか朝から晩まで三人でずっと一緒にいるなんて皆無に等しく、仕事人間である自分をどこかで肯定して、だけど心のどこかでは嫌悪感に苛まされていたのかもしれない。だからこそ家族で過ごしているこの時間がとてつもなく温かくそして自分が知らないことや新しい発見が感じられ、充実と笑顔と深い喜びを享受している。

かけがえのない時間はお金では買えず、人の心の中に残り続け人生の財産であるという価値を存分に見出させてくれた。知っているつもりや分かっているつもりなだけで、実際は妻の苦労や息子の成長過程は結果論で過ぎてしまっていたことに、深い反省が訪れている。

おそらく僕らの仕事だけでなくこの世のありとあらゆる仕事との多くは、誰かのための何かの役に立ちたいという”想い”からスタートしていて、それらが時とともに手を変え品を変え進化して今日に至るのであろう。インターネットが日常的な今において、時の流れは以前よりはるかに早いスピードで進み、その速さは今後ますます加速していくのであろう。その速さとともに様々な事や物も進化変化を遂げ、時代のニーズに合致していく。在宅ワーク然り、通勤するという行為やインターネットで完結できる仕事そして収益モデルそのものが新たなフェーズに入ったように見える。

こうしている今も尚、最前線で仕事をしてくださっている医療関係の皆様には感謝の気持ちで一杯です。一刻も早い終息を心から願い、今自分にできる事を見つめ直し新しい自分に向き合ってみたいと思います。皆様どうか心穏やかに。


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