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エンターテインメントから逃げない

 
 
 
ピースの又吉さんの映画『火花』を見た。
 
 
 
その日はもう付き合って7年にもなる彼女が生まれ故郷に出向いていて、久しぶりに一日中1人で過ごした日だった。

いつもと違う環境だからか、あまり筆が進まず絵の練習が全然できない1日だったので、映画からパワーをもらおうと再生ボタンを押したのが『火花』だった。

率直な感想を言うと「怖かった」。
この一言に全てが詰まっている。

まるで自分の未来を見ているかのようで、
自分の人生が何もできずに終わってしまいそうで。

いや、正確に言うと「怖い」の前に、
「おれはこんなふうにならないように頑張るぞ。」
という決意めいたものが途中から芽生えてきた。

だが、映画が進んでいく中で、
とてつもなくリアルに“芸人“というものがもがいている姿が描かれていて、

「この”芸人”たちも今のおれと同じように、“おれはこんなふうにならないように頑張るぞ。“と思っていただろうな。その結果でこれなんだよな。」

ということが、"心の奥底の一番柔らかい部分"までずしんと刺さってきた。
 
 
あまりにも激しい感情の変化があったせいか、
今、少しばかり頭痛がしている。

加えて、
この文章を書いたところで、絵は少しも上手くならない。

だが、絵描きとして、表現者として、そして何よりエンターテイナーとして、
この時間は絶対無駄にならない。

よく大人が言う思考停止のともなった「人生に無駄はないよね〜!!!」ということではなく、
感情から血が出るほど思考して書いたこの文章は間違いなく、自分の絵をまた一歩前に進めてくれる。
 
 
今この瞬間も、同じように世界のどこかで命を削っている全ての表現者を仲間だと思っているし、

今の自分はまだ誰かとゆっくり話ができるほど余裕はないけれど、

自分がいい形で余裕ができて、そしてあなたもいい形で余裕ができたなら、

“ゆっくり“
でもお互いもっといいものを作れるために
“少しだけ“
あなたと話ができたら嬉しい。
 
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さてと!!!
また今から頑張るか!!!!!

 
 
 
 

                            又吉直樹さん、素敵な作品をありがとうございました。
 

                    小泉範剛

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