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【Day 52】鉢の中の土 2020.5.18

雨の月曜日。

最近、公園にランニングに行かなくなった。息子が走りたがらないから、子供ひとりを置いて夫婦ふたりで走りに行くわけにも行かず、妻だけが毎日がんばって続けている。だったら自分も交代で行けばいいのだけれど、なんとなく気持ちが遠のいてしまった。

その代わり、最近は7時前に起きる日が増えてきた。早く寝ているのもあるけれど、妻子が寝静まっている早朝が一番仕事がしやすいため、チャンスをつかみにいく感じだ。今日も6時に起きて、集中して仕事を進められて気分がいい。

朝ごはんを食べ、オンラインショップに入った注文を処理していると、取引先のパッケージ工場さんからFAXが入った。ここ3年取引がないため、保管していただいている商品パッケージの木型と版を廃棄してもよいかという確認の連絡だった。

その商品はすでに廃番にさせてもらったので、今後も生産をお願いすることはない。廃棄されることを承諾し、返信FAXを送った。これで先方とお付き合いが終わるわけではないけれど、本当にもうこれで廃番となった商品が復活することはないんだなと思うと、さみしい気持ちになった。

昼は冷凍チャーハンを炒め、いつもの「ロスト・イン・スペース」を観ながら食べた。

その後、14時に取引銀行の営業の方が来られた。先日、融資を完済したのだけれど、引き続き受けることにしたので、その手続きの関係で最近何度か来られている。

思えば創業して何年か経ったころ、ある人に「必要がなくても銀行から融資を受けたほうがいい」とアドバイスされたことがある。なぜ必要もない借金をして、利息まで支払わなきゃいけないのかと思ったけれど、今なら理解できる。

「何かあったときに、いきなり金を貸してくれというのは難しい。でも普段から借りて。きちんと返済する実績を重ねておけば、いざというときに信用があるから借りやすくなる」と、その方はおっしゃったのだけれど、本当にその通りだと思う。

そして、このコロナ禍にある今こそが「何かあったとき」なのだ。これから経済が未曾有の落ち込みを見せるかもしれない中で、大事なのはキャッシュを絶やさないこと。できるだけ現金を保有しておき、不測の事態に備えること。取引先が倒産して、売掛金を回収できない可能性もあるわけだから。

午後。

親に相手してもらえず、ちょくちょく仕事部屋に来てはちょっかいを出していく息子が、今度は飼い始めたばかりのニジイロクワガタを飼育ケースから取り出して、仕事部屋に置いている観葉植物の葉に置いた。オスを眺めているだけかと思ったら、メスも一緒に取り出していたようで、知らぬ間に鉢の奥底まで潜ってしまったらしい。

けっこう高さのある鉢の土をぜんぶ奥まで掘り起こし、よけた土をいったんダンボールの中に入れ、本当に奥底まで潜っていたニジイロクワガタのメスをサルベージして、また土を鉢の中に戻していった。掘った土をまた戻す。ドストエフスキーじゃないんだから。

晩ご飯を食べ、息子とお風呂に入ったあと、急に鼻の中がピリピリと痛み始めた。以前も一度だけあって、中が切れたのかなと思っていたのだけれど、検索したらどうやら「ドライノーズ」という症状っぽい。要するに鼻の中が極度に乾いている、と。お湯で濡らしたタオルを鼻にあてて急場をしのぐ。

この冬、ずっと副鼻腔炎で鼻がつまっていて息苦しかったけれど、コロナの院内感染が怖くて病院に行けなかった。今でも行くのは抵抗がある。歯医者にも行きたい。虫歯はないと思うけれど、歯石を取りたい。でも今、行くのは抵抗がある。病院や歯医者さんくらい、行きたいときに行ける日々が待ち遠しい。

でも、前のような日常がまったく元通りになるかどうかは分からない。掘った土を埋め戻しても、それまでと同じ状態にはならないのと似ている。

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