見出し画像

「競合」という概念が死んだ話。

ビジネスやサービスの話をすると、競合との差別化はどう考えているかというのを未だに聞かれます。
これまでビジネスにおいて同じ市場内で同じターゲットを奪い合って負けてしまった企業というのが多々ある故の質問なんでしょうけど、僕としては違和感しかない話なんですよね。前例があるじゃないかと言われるかもしれませんけど、それって本当に「競合する会社があったから事業が失敗したのか?」と逆に問うべきだと思うんですよね。

そもそも「競合」という状況は稀では?

競合の例を考えると、例えばケータイキャリアの大手三社とか、自動車メーカーとかが分かりやすいと思うんですが、ちゃんと見るとちょっと違ってくる部分もあると思います。
例えばですが、車を買いたい!となったときに、どれを買うべきかというのはユーザーが考える中で複数のメーカーがある場合、競合していると言えると思います。その買いたい!というユーザーに対し、どう違いを伝えて、どう選んでもらうのかを考えないといけないわけです。

もちろん、デザインやコンセプト、価格や性能まで差別化できる要因はあるんですが、これがすべてのサービスで共通して考えないといけない問題かというと違うなと思うんですよね。得に、インターネットを用いたサービスの場合は競合を考える必要は薄くなってるんじゃないかと思うんです。以下、競合の状況になるための条件を考えてみたものです。

「競合」の状況になる条件

ユーザーにとって競合の状況となるには
・その製品を購入するときに、全く同じ購買機会を与えられる。
・一人に付き一つしかその製品を必要としない。
・製品自体がコモディティ化し、目に見えた違いがなくなっている。

特に重要なのは、2個目の一人あたりの使用(所持)限界があるという条件ですね。この場合はユーザー側がどう思おうと選ばざるを得ない。車とか携帯とか家電とかはこれの典型ですね。一度買うと、次の購入機会までは見送らざるを得ないわけです。が、これに当てはまらないサービスも最近は増えてきてますよね。


Youtube VS Netflix 君はどちらを選ぶ?

さ、どちらを選びますか!というと、ぶっちゃけた話、なんで選ばないといけないの?って話だと思うんですよね。たしかに同じような動画配信サービスだけど、コンテンツも違うしお金もそこまでかからないなら両方使いたいときに使えば良くない?ってなりますよね。実際、Youtubeの利用ユーザーとNetflixのユーザーって同一ユーザーであるケースってざらだと思います。知らんけど。

Netflixの偉い人が「我々の競合は睡眠だ」って言った有名な話がありますが、本当にそうで、サービスの障壁になるのは他のサービスではなく、使用限界になる要因の方なんですよね。逆に言えば、この要因に対処できればめっちゃ強いですね。書きながら思いましたけど。

そもそも、サービス毎の成熟度によっても競合となるかは変わりますし、イノベーションのジレンマの概念を考えれば、大きくなったサービスは身動きが取りづらくなる等の問題も出てきます。そんなふうに考えていけば、競合の概念をすべてのサービスに適応されると考える前提こそ可笑しいでしょう。

新しいサービスほど、競合は歓迎すべき。

ここまで競合への否定的な考えを述べてきましたが、正直これは僕のポジショントークとなっていることも否めないです。僕はあくまでも新しいサービスを生み出すことをベースに考えていますので、そこはサービスを新規で生み出すことを生業とする起業家と、同じ会社で長期的持続可能性を持ち続ける経営者とでは違ってくる部分は絶対にあります。

が、ほとんどの企業が潰れてしまう原因は競合相手などの外部要因ではなく、内部崩壊がほとんどだと思うので、リアルなビジネスにおいて競合をそこまで懸念すべきかというと疑問です。

話を戻して、競合の概念はスタートアップの場合は考える意味がほとんどないと僕は思います。

競合の概念はそもそも根底に長期的な持続可能性を持ち続けることが前提にあります。これはスタートアップが持つ性質上克服されているはずなんですよね。それに、スタートアップ企業のほとんどは当たるかもわからない新しい概念を内包したサービスがほとんどです。なので他の企業と面と向かって市場シェアを奪い合うこと自体がないですし、そもそも対象となるターゲット自体がまだいない。厳密にはターゲットの人たちの選択肢に入っていない状況です。まずはターゲットになる人達にこういう選択肢があるということを周知することから始めないといけないわけです。

そういう意味では、むしろ競合するサービスが出てきた場合やすでにある場合は正面から戦うのではなく、共同でサービスの概念を広めて、ターゲットに慣れてもらうようにするほうが簡単ですよね。


市場開拓を一社でやるには大変すぎる。

概念として新しいサービスっていうのは、そもそもユーザーに受け入れられるまでに時間がかかります。アーリーアダプターとなるような適応力と理解力を兼ね備えた人というのはもちろんいますが、普通はどれだけ画期的で良いものでも反射的に避けられます

わかりやすいのだと、CtoCのフリマサービスですね。これも最初は絶対に「素人同士での売買とかトラブルしか無い」とか「不良品掴まされたらどうする」とかそういう粗のほうが目に付きやすいものです。けど、そこで諦めずにやり続けて、ユーザーが増えていくとそれが杞憂だったと気がつくんです。

これはどんなサービスでも通らないといけない通過儀礼です。ここの長さを戦略で縮めることはできるでしょうが、避けることはできないものです。だからこそ、新しいサービスをやるためには、ローコスト経営が大事だったりするわけですが、それはまた別の機会にしましょう。

逆に言うと、最初否定的であってもちゃんと生き残ってサービスを改良し続ければ、ユーザーがその概念に慣れて、違和感がなくなっていきます。そうなれば、拒否した人たちも使い直してくれます。

が、それも一社だけでやるのはなかなか時間がかかります。

そこで、同じようなサービスをやってくれる企業をうまく使うと良いんですよね。

今の時代、情報の拡散はもはや資本力に比例しています。SNS等をうまく使えばバズったりもできますが、それを狙うのは戦略とは言えないので省きます。情報を伝播するのは、企業とユーザーがどれだけ面で接せられるかです。ということは企業が複数になれば、そのサービスの概念を知るユーザーは増えていくので、結果的に市場の開拓が早くできます。これは良き。

あと、これは個人的な趣味も入ってきますが、一社で必要となるユーザー数って別に無限じゃないと思います。独占して無限に儲けようと考えているなら、それはそもそもの考え方が歪んでいるので、何やっても成功はできないんじゃないかと思います。

ちっちゃい島で争うくらいなら海を埋め立てろ。

ここまで長々と書きましたが、僕としては競合がどうとか考えるくらいなら、市場を広げることに労力を割いたほうが遥かに有意義だなと思います。だって、ちっちゃい島の中で苛烈な戦国時代してる間に、外部からとんでもねぇ奴らの侵略を受けるとか僕らには身近な話ですし、そこで勝って満足してたらまさに井の中の蛙大海を知らずです。

それはダサいでしょう。

目先の利益を欲しがる気持ちもすごくわかりますが、せっかくならそこに甘んずることなく大海の果てを見に行きましょう。

もちろん、マイケル・ポーター先生の競争戦略を否定してるわけではないですし、企業として生き残り続けることを考えると競合の問題は必ず出てきます。

ただ、それを妄信的に考えるのではなく、ちゃんと自分たち当てはまることなのかを考えることが大事なんだと思います。

以上です!

ご拝読ありがとうございました。

あと、最後にいつもの宣伝です。(ダイレクトマーケティング)

僕が「ヤバい喫煙所」っていう全員参加型のオンライントークセッションイベントやってるのでよかったら覗いてみてください。
今回みたいな、漠然とした違和感とか具体的な問題まで様々にしゃべれる場になってますので!

「ヤバい喫煙所」
https://www.facebook.com/yabaismokingarea

ヤバい喫煙所イベントロゴ大

それでは!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?