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起業家が起業支援の違和感について考えてみた。

 ここ数年で社会的な動きとして起業を歓迎し、支援する潮流と仕組みがどんどん加速しているわけですが、実際に起業家としてそれらを見るとどうにも違和感を感じる部分が多々あります。この違和感について、ネットの片隅にぶちまけてみようかなと思うわけです。

GAFAを超える企業を日本から生み出す!

 出たなーって感じですね。
 起業家支援系のイベントとかプログラムとかVCとかの理念とかビジョンに載ってるランキング一位ですね。ちなみに2位は「グローバルに戦える企業を日本から生み出す!」ですね。

 今回のコロナ騒動でついにGAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の合計時価総額が日本の東証の総時価総額を大きく超えたとかもあって、余計に言われるようになるんでしょうけど、ちょっと待てと僕は言いたい。

 GAFAを超える企業が日本から出せるかどうかについてはそもそもの議論の余地がありますが、その前にこの指標自体めちゃくちゃ盲目的なものでしかないっていうことに気づいていないことが危ういなと思うんですよね。

 当然の話ですが、時価総額が高いというのはそれだけ稼ぐ金がでかいというわけで、原則大きなお金を生むようになるためには、より多くの人が利用するサービスにならないといけないわけですけど、これって起業する段階で考えることに意味がないんですよね。

時価総額に本質はない!

 投資家の方やVCの方に事業のプレゼンするとすぐに市場規模とかを聞いてくるんですけど、事業においての事業規模って卵と鶏の関係ですし、サービスや事業の内容によっては規模を狙わないことが戦略上効いてくるということすらあります。

 むしろ、イノベーションのジレンマなどの理論で考えると起業初期は誰も見向きもしない小ちゃな市場を相手にしていくことがセオリーになることもあります。それを踏まえると最初から市場規模を狙うことが企業の戦略としてありなのかどうかすら微妙な話です。まして、時価総額がどれほど膨らむかとか妄想の域を出ないです。

 さらにいうと、時価総額がその企業の価値を表したものなのかっていうところに疑問を向けないといけないです。本質的には、時価総額が高い会社が増えることが日本社会にとって良いことなのかを考えないといけません。そして、当然ですが必ずしもそうじゃないですよね。

 分かりやすい例として考えるなら、日本には世界に誇るほどの義肢を作れる会社があったりしますが、義肢というのがスマホみたいにすべての人が必要とするものであるわけはありません。そうなるとこの会社にとって上場とか、時価総額が意味あるかっていうとないわけで。でも、もし新しく革新的な義肢を生み出す会社を作ろうとしている人がいるなら支援する価値はありますよね。

 まぁ、これは重箱の隅を突くような話ですが、支援する側が「GAFAを超える企業を生み出す!」ということをすべてだと盲目的に考えているビジネスの本質から離れた支援になってしまうということは往々にしてあるんじゃないかと思うんです。

GAFAを超えたいのは支援する側の都合であって、支援される側の都合じゃない

 結局、日本において本当の意味で世界で活躍する起業家が生まれない理由の一つはこれだと思うんですよね。

仮に起業家が「僕らはGAFAを超えます!」って言ってても、それって何の意味もない言葉です。起業家が目指すべきは自身の生み出す価値を必要とする人に届けることであって、GAFAを超えることを目指す意味は株主と自分にしかないわけです。これはビジネスの本質ではないですよね。むしろ、そんなことを言いまくってる起業家がいれば、ちゃんと叱らないといけないレベルですよ。マジで。

 時価総額が上がるのは結果論ですし、上場だって本来はさらなる事業の成長のための資金集めの手段でしかありません。

 個人投資家やベンチャーキャピタルなどの支援者側は上場やM&Aさせることが目的になり、起業家たちにとっては手段でしか無い。ここの掛け違いがある限り、起業支援が本質的に価値を持つことって無いわけで。

 結局の所、今日本で主流となってる支援って支援者側の都合によって作られる支援になってるんじゃないかと僕は思います。それで本当に起業家側が欲する支援になっているのかっていうことをもっと議論しないといけないんじゃないかとも思います。

GAFAを超える企業が現れるなら、それはきっと誰も予想していなかった場所から生まれる。

 GAFAを超えたいと思うなら、GAFAを狙わない。

 これはただの僕の感覚での話になってしまいますが、おそらくそうなんだと思います。それこそ、GAFAなんて気にかけたこともなく、ただ新しい未来とは何かを考えて目の前の人たちにその未来を提示し続け、大衆が折れるまで諦めなかった企業が次のスタンダードを作るんだと思います。

 本気で起業を支援したいと願うのならば、まずは自分たちが抱えている構造上の矛盾を直視するべきです。その上で、「GAFAを超えるかは知らない。けど、こいつが言う未来は面白い」と思える事業を支援していけば、いつかは届くかもしれません。

 事業も投資も、一番遠回りをしているように見える道だけが未来に続く道だったりすんだと僕は思います。

 ちょっとふわふわした感じになりましたが、こんな考えもあるんだなくらいに思ってもらえれば幸いです。

 あと最後に宣伝。
 こんなふうに社会への疑問をぶつけて喋りまくるイベントをやってたりすので、よかったら覗いてみてください。

 個人的な想いとして、社会で生きる大人がもっと考えを磨く場所があってもいいんじゃないかと考えています。

 なによりこういうことに興味を持ってる人たちと話しまくること以上に楽しいことってないと想いますので‼

「ヤバい喫煙所」https://www.facebook.com/yabaismokingarea/

 ご拝読ありがとうございました‼


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