勅使川原真衣『働くということ』を読んで

多分、破格的に安いコアワーキングスペースで、
勅使川原真衣『働くということ』を読み終えた。

あらためて新書って良いメディアだなあと思う。

休職してから図書館で選ぶ本の確率が新書であることが多い。学歴のない私のような人間でも、時事性があり、あらゆる専門知が比較的読みやすい文体で書かれた、優れた読むメディアだなあと感じた。

さて、働くということ、だ。
まさに私は働くことに挫折して、休職している。
もうどれくらい経ったのか。
鬱病ではなく、鬱状態なのに。

中小企業の典型的な中間管理職。しかも今、厳しい業界。あらゆることを求められた。それでいて今の年齢を考えると収入は少なく、時々、背筋がゾッとすることがあった。

でも、私の場合、仕事のプレッシャーもあったが、人間関係に依るものが大きかったのだと、最近ようやく実感しつつある。

いや、ひとつではないな。あらゆること全部。
色んなことの積み重ね。相談できる第三者の存在もなかったことも、最近本を読んで実感した。

妻の支えはあった。本当に感謝してる。
彼女だけは私を見捨てない。いつも味方だ。

でも、それだけでは、無理だった。
それが悔しくて悔しくて。

今あらためて、そんなことを思いながらこの本を読んでいた。少ししんどかった。
いや、かなりしんどかったな。

最初は副題の「能力主義を超えて」に引っかかった。
能力か…私にある能力なんて何もない。
あるとすれば、「表面的な」コミュニケーション能力だろう。私に友人がひとりもいない、なんてこと、多分職場の人間は思いもしないだろう。
それくらい、表面的にはコミュニケーションが取れる。あくまで、表面的には。

私は今のポジションと新たな職場になって、これまででより責任ある立場となった時、大きな過ちを犯してしまった。そう今は思っている。

「公と私」を混同してしまった。
本当は言いたくない本音を言ってしまったり、自分の家族の話をしたり、そういうことを相手に伝えることによって、相手の本音を聞き出そうとした。

それによって相手が心を開くことはある。
でも、それで相手が仕事をできるようになることとは限らない。険悪な仲を取り持つことができるとは限らない。信頼を得るとは限らない。

どんどん追い詰められる気分になっていく。

逃げ場所を自ら無くしていったようなものだ。　

今思えば。

でも、それしか私の中で職務をこなす方法を見つけられなかった。それが、私のこれまでの中でかろうじて自信を持って言える「能力」だと思っていた。

でも、その能力によって、私のこころは疲弊した。

勅使川原さんは管理する側の、能力を査定する側の、考え方そのものに疑問を呈する。

まさに、その通りだと思う。

一方、管理する側も、される側から「心理的に査定」されている恐怖もある。

それまでも人の上に立つポジションにはいたが、その時は自分の上にまだ誰かがいた。

今回はその場では上には誰もいない、自分が上になった。
逃げ場所がない。逃げられない責任を背負わなければならなかった。

でも、世の中そんな人は沢山いるし、同じ会社でも全国にいる。

これ以上はやめておこう。身バレする笑

本を読めるようになってから、そして勅使川原さんの本を読んでる最中も、何度も何度も、自分は「どこでどうすれば、もっと上手くいったのか」「何をどこでどのタイミングで間違ったのか」を自問自答した。

もう、やり直しはできないんだ。
妻を路頭に迷わず訳にはいかないんだ。

いつまでも休んでる訳にはいかないんだ。

もっと強くなりたいんだ。
もっともっと強くなりたい。
強くなって少しでも稼いで、妻に好きな洋服ぐらい買ってあげたい。

それぐらい、どうしてできないんだ、と思う。

勅使川原さんの訴えるような世界になれば良いと思う。心からそう思う。でも、私には遅過ぎた。
そんな疎外感も感じながら、それでもこの本に書かれた「働くということ」に対するあらたな視点・視座は、少し勇気を貰えるものだった。

もし、今の立場になる前にこの本を読んでいたら？

どうだったろうな。分からない。
でも、間違いなく大きな力にはなったと思う。
早く出会いたかったな。

まだ、これから、があるか。
そうだな。
まだ、諦める訳にはいかないよ。
そうだな。

明日は少し自分のご褒美の日だ。

勅使川原さんの他の本も読んでみたい。

新しい場所にいるとやはり疲れるな。
そろそろ今日は帰ろうか。
新しい場所で、行動療法を行えた。

明日もご褒美とは言え、ものすごく久しぶりのことと、初めてのことをやる。

あと、新しい病院から連絡を貰える予定。

まだまだ諦める訳にはいかない。
めげるな。
年齢なんて関係ない。
この経験もきっと生きる。
こんな毎日をきっと、いつか生かせる。

そう信じていこう。

明日はね、早朝に映画『エイリアン』を観に行くんだ。緊張してる。映画館行くことが10数年ぶり。
でも、楽しみ。大好きなんだ、エイリアンシリーズ。

そろそろ帰ろうかな。

最後まで読んでくれてありがとうございました。