エゴサする事は、窓の外の天気を見る事。

今日久しぶりに再会した広告代理店時代の先輩は、いつの間にか世界を股にかける経営者になっていて、ビジネス界で名が知られる存在になっていました。そこで「プレスリリースを出す度にSNSで賛否があって、ネガな意見ばかり気になって疲れてしまう」という、親近感溢れる悩みを聞きました。

ぼくは半年前くらいにこの悩みから解放されて、その話を伝えたんですけど、これはもしかすると同じ悩みを持つ人が案外多いのでは無いかと思って、ここでもシェアしようと思います。こう考えればいいんだ!という話です。

そもそもエゴサをするメリットは一つもありません。「百害あって一利無し」という慣用句は喫煙者が減った現代においてはエゴサ依存症の人のためにあります。でも、しちゃうんだよね〜、エゴサ。だって褒められると少しだけ気分が良くなるし。それ以上にネガな意見は気分が沈むけど、やっぱり作品なりビジネスなり、世の中に何かを発表した時には必ず意見が飛び交うので、そこに意見がある限り(そこに山がある的な)やっぱり気になってしまう。

まず、百害あって一利無しの補足をすると、作家もビジネスマンも意見を直に言ってくれる人が周りにいると思うので、それで意見というのは十分足りてると思うんですね。「SNSごときの意見なんて」と言うつもりは無くて、単純に足りてると。だって、人の意見なんて聞き入れたとしても1つか2つくらいじゃないですか?3つも4つも意見を取り入れてたら、ちょっとブレると言うか。ぼくは、他人の意見が参考になった、取り入れて良かった、という事は半年に一回くらいなので、よきアドバイザーが身近に居るなら、もう全然足りてると思います。

ネガな意見・指摘以外で、褒められてる・賛同されてる意見を聞く事はどうか?ですが、これは本当に「ちょっと嬉しい」以外に理はありません。これは、マジです。SNSを活用して漫画家になったので、この拍手喝采の音色がどれほど心地良いかは知っています。あれは癖になる。でも、理は無いです。厳密に言うと、あの音色が背中を押してくれた瞬間はありました。ただ、それは最初の頃に限った話で、作家になると決意する以前の話で、作家になったのならば、もう誰も居ない場所で、拍手の音色が届かない場所であっても、ブレずに活動し続けなくてはいけません、と思います。これは異業種も同じだと思います。顔も名前も知らない人に褒められて、持ち上げられて、そのお陰で頑張れるなんて、ちょっとキツイ言い方するとプロでは無いなと思うのです。

ですので、一つの正しい結論としては「エゴサをしない」なんですが、でも、しちゃうんだよね〜、だって気になるもんね〜。ちなみに、ぼくは1日に1回は作品名でエゴサします。作家名ではしません、なんかピカチューのbotが「ぴーっかっぴー」みたいに言ってるのがたくさん引っかかった時期があって辞めました。ピカチュウがノイズになるとは。あと、以前noteで書いて好評頂いた持論に「作品より作家が目立って良い事は無い」というものがありまして。上で述べた様にそもそもエゴサに意味は無いと思うのですが、百歩譲って作品(ビジネス)に対する意見なら解るんですよ、見たくなる理由が。でも作家名で褒められていようが貶されていようが、これに関しては本当に無意味なので、承認欲求の中でも幼い部類の感情でしか無いので、しなくて良いと思います。

そこで本題の、ぼくがエゴサをする意味、心持ちの話に戻りますが、エゴサで出てくる意見達は「窓の外の天気」だと思う様にしています。

そのに窓があるなら、理由も無く外の景色を見てみたい。それで雲ひとつ無い快晴ならば尚良し、多少風が強くても良し、雨が降って居ても、そんな日もあるさと良し。そう思います。要は、意見をひとつひとつ熟読するんじゃなくて、タイムラインの雰囲気を見るためにエゴサをする。

むしろ、何か炎上とかゴシップとかそういう話で無い限り、作品やビジネスの意見でネガの割合の方が多い事は経験上まずありません。悪い作品は、まず世間に発見されないので。なので最悪の事態は意見が出ない事で、次に悪いのが「ネガが一つも無い事」だと思っています。これはどういう理屈かと言うと、ポジティブな感想が一定数を超えないと、ネガな意見が出てこないからです。作品におけるネガな感想というものはカウンターなので「世の中的に良いと言われているけども、」「話題になっているけども、」自分は良く無いと思う、そういうカウンターの感情なので、ネガな意見が生まれる背景には、それが結露するに至るポジな意見が多くあるのです。

ただ、そのネガな意見は、理屈では「反響の一つの形」と分かっていても、なぜだかネガな意見を言う人に限って言葉が上手いので(笑)熟読するとやっぱり少なからず凹んでしまう。なので、さっき言った様に「天気を見るくらいの気持ちで」おお、ちゃんと賛否あるなと思うくらいで良いと思います。

あと、やっぱり肝心なのは、漫画家なら本の部数だし、ビジネスなら売上ですよね。SNSあるあるで、賛否両論、大きな話題を生んでいる、なのに金になっていない、そういう状況が多くあります。それはかなり良く無いです。だって、ディスられ損だし、褒められ損ですから。大事なのは「窓の外の天気」そのものでは無く、その日差しによって・雨によって作物が育っているか、みたいな感じです。ネガな意見が雨だとして、やっぱ雨が降らないと作物も育ちませんよね。上手い事言いましたね、それは(?)とにかく収穫が無ければ意味が無い。そんで、その収穫の日のために、天気は見ておきたい気持ちも分かる。ただ経験上「天気は気になるけど、実際は天気次第で作物が爆育ちする事も無いし、天気のせいで全滅する事も、まぁ無い。」と思うので、やっぱりエゴサはやんなくても良いんだよね…でもしちゃんだよね〜。とほほほほ。

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