リメイク版「左ききのエレン」チームの時代編についての補足。

原作者かっぴーです。

リメイク版「左ききのエレン」では現在、「チームの時代編」神谷チーム結成辺りを連載していますが、ちょっと知らないと混乱するかも知れない部分を見つけたので、ここで一旦補足させてください。

ある業界を描く中で悩ましいのが、その業界では当たり前だけど普通は知らない事を、どこまで説明するかです。ぼくの好みでは、分かった方が面白い場合は説明するけど、分かった所で面白さが増えないのであれば、説明はなるべく入れないようにしてます。業界の内情を伝えるレポ漫画では無いので。なので、主人公達が「悩む部分」とか「成長する部分」に、その専門的な要素が極力入ってこない様にしてて、誰もが悩む部分、誰もが成長と感じる部分をエピソードに入れているつもりです。

それで、今回補足したいのは広告代理店の組織についてです。

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第一話の序盤で、早速大枠は説明しているんですけど、最新話の感想で「神谷がCDになってるのに(時系列で後のはずの)第一話ではAD?」と混乱している方がいらっしゃいました。

結論から言うと、クリエイティブ職の職能は兼任する場合が多いからです。つまり「クリエイティブディレクター/アートディレクター」と並べて名刺に入っていたりします。確かに、これを知らないと混乱するかも知れません。なので、上の図で「CD」と「AD」の両方に神谷の顔が入っていても正しいんですけど、それはそれで混乱すると思うので「ここまで分かってくれれば、ストーリー分かります」という基準でこう描きました。

次に「神谷チームができたのに、第一話ではメガネの部長のチームに?」という疑問ですが、部長とCDは全く別の職能です。(広告代理店によってクリエイティブに部長職が存在しないケースもあるそうです。ぼくの出身の代理店にはいました。)なので「XXX本部・クリエイティブ局・XXX部・神谷チーム」という階層になります。(本部と部の名称は劇中で登場してないので伏せます、特に伏線では無いです。)そして、これもまたややこしいのですが、この春日部長は、部長でありCDという肩書きを持っています。CDが20人くらい居るとして、部長はその中の3人、みたいな割合だと思って下さい。

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時系列的に「チームの時代編」のあと、神谷退職直後になりますが、柳が「誰が三軍や、タコ助」と言っていた会議シーンでチラッと組織図が出てます。この図で言うと、第XCD部を統括するのが部長で、その下に並んでる名前がチームリーダーとなります。まぁチームリーダーが部長の下の係長だって思えば分かると思うけど、クリエイティブのややこいのはさっきの兼任問題で「部長でありCDであるし、たまにコピーも書くぞい!」という感じなので、全部を説明しようとすると非常にややこしいです。

さらに、大企業となると役職どんどん増えるので本当はもっともっとややこしいのです。年下の上司とか普通にいる世界なので、外見で判断もつかない。そこで、漫画でも現実でも使える分かりやすい見分け方があるんですが、誰が誰に敬語使ってるか。あと、ぼくが漫画でよく使う工夫で「偉い方を座らせる」というのはあります。どっちが偉いのか読者が混乱しそうな場合に使います。

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座ってる方が偉い…!しかもコーヒー飲んでるし!!偉くなきゃ出来ない!

とにもかくにも、漫画を読む上で、ストーリーを理解する上では「誰が誰の下か、上か」さえ分かれば問題ないと思っています。なので、説明しようと思えばいくらでも出来ちゃうんだけれど、その説明を読みたい人は限られて居ると思うので、本編ではしれっと描いていたりします。

ただ、今回の「神谷がCDになったのに、ADに戻ってる?」という誤解は、ちょっと補足しておいた方がいいかも知れないと思い、書いた次第です。この話は単行本のおまけなどにも収録しようかなと今のところ思ってます。

あと余談ですが、他の漫画でもこういう「知ってたら、もっと作品が面白くなる知識」が含まれていたりするので、そういうのはネットとかでいくらでも調べられる時代なので調べてみると面白いと思います。

それではまた!

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