桜エレン_t

もうひとつの「左ききのエレン」-テーマソング・フルバージョン公開

今月4日に第1巻が発売したジャンプコミックス「左ききのエレン」

原作版の第一部はすでに完結しておりますが、総勢50名以上のキャラクターが登場しました。その大半は、ぼく自身か、ぼくの身近な人間をモデルにキャラ造形をしているのですが、あまり実在の人物に引っ張られない様に距離を取っています。

そんな中、実際の友人を思い浮かべて名前をつけたキャラは、そんなに多くいません。

ジャンププラス版にはまだ登場していないキャラですが「佐久間」「戸塚」「白井」辺りは、実際の友人からそのまま借りて来ています。

戸塚は、パッと思い出せないかも知れないので補足すると「過剰性能(オーバースペック)」の彼です。

ぶっちゃけ、このキャラと実在の戸塚は全然別人なんですが、スペシャルサンクスと言うか、熱心に毎回エレンを読んでくれていたので遊び心で命名しました。

そんな彼が、去年末辺りに「左ききのエレンを読んで、音楽を作りたくなった」と言い出しました。

彼は前職の同僚で、ミュージシャンでも無ければクリエイティブ系の職業でも無かったし、元々銀行から転職してきた人間なので、ぼくとは真逆の浮ついた所の無い人間だと思っていました。

だから正直に言うと、音楽を作りたいと聞いた時は、本気だとは思わなかった。何か、おしゃれな「今度、酒でもおごるよ」的な、「曲でも作りたい気持ちだよ」という彼なりの賛辞なのかな、みたいな感じで。

それからしばらくして、彼に呼び出されました。普通にメシを食って、他愛の無い話をして、二軒目に行ったクソみたいなバーでやっと「デモを作ったから聞いて欲しい」と。

まず本当に作ってくれていたのかと嬉しかった。でも、次に「どんな顔して聞けばいいんだ、こんなクソみたいなバーで。」と思いました。照れくさいし、人が作った作品を目の前で鑑賞するのは気まずい。特に音楽は。

加えて、この曲は英語だった。Not日本語。歌詞の意味も正しく聞き取れないぼくにとって、洋楽の感想は非常に難しい。音楽の事も、全然詳しくない。

分からない。分からないんだけど、とにかく何かを叫んでいる事だけは分かった。

大人になり、一通り社会に揉まれたぼく達は現実を知っている。自分が特別な人間じゃ無いって気がついているし、青春は過ぎて久しい。何者でも無かったぼく達は、役名も無い役割を担って生きていかなくちゃいけない。

そんな現実の最中に、彼は「左ききのエレン」を読んで叫び始めた。それは端から見れば遊びかも知れないし、いい大人がやるにはダサい事かも知れない。でも、このダサさに身に覚えがあった。この2年間ぼくがやってきたダサさだと思った。

この2年、ぼくは本当にダサかった。大人しく広告代理店でくすぶっていた方がまだ立派だったんじゃないかと何度も思った。30歳になってから急に漫画を描き始めて、こんなにダサい事も珍しいと思った。

でも、格好をつけて体裁を整えて生きる事が、どんなに退屈か知っている。何かにならなきゃ、退屈で生きていけないんだって。

ともかく、ぼくは漫画を描き始めてしまったし、彼は音楽を作り始めてしまった。思えば、作画のnifuniさんもちゃんとした企業のデザイナーだったのを、漫画なんて描いた事も無いのに始めさせてしまった。

もうはじめてしまったからには仕方が無い。ダサくても、格好がつかなくても、本気出すしか無い。本気出して、本気出して、その結末がどこにも至らなかったとしても、大人しい大人になるよりはずっと良い。

この「Eren」という曲を、第1巻のPVに使わせてくれてありがとう。

映像は、ぼくの代理店時代の同期が作ってくれました。彼はクリエイター志望の営業でした。彼も今は、代理店を飛び出して映像を作っています。

今も戦う、全ての同志達へ、この曲と漫画を届けたいです。

「Eren」

One day you asked me why
The sun is flaming like she's lonely
'Cause there is nothing I could do
I just said “Don’t worry"

Then you would ask me why
The moon is shining like he's friendly
‘Cause there is nothing I could do
I just said “Don’t worry"

Stupid enough

So most likely we’re complicated
So most likely we’re all imperfect
Just craving for her sunshine
You ain’t the only one
You don’t need to be afraid

Just can't explain these feelings
Just can’t describe these emotions
Like I'm diving deep inside us
If you're trying to make that fake smile again
Trying to fake yourself now
So don’t forget

Wanna see it, wanna touch it
Wanna hear it, wanna talk
Never forget, never lose it
Yet, still want something more

Wanna make it, wanna sing it
Wanna play it, wanna keep
Never forget, never lose it
Maybe or not, can't find a reason

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ある日きみは僕に尋ねた
太陽はどうしてあんなに
寂しそうに光っているの
僕はどうすることもできなくて
ただ “心配ないよ” と言った

そしてきみは僕に尋ねた
月はどうしてあんなに
優しく光っているの
僕はどうすることもできなくて
ただ “心配ないよ” と言った

馬鹿みたいだ

だいたいいつも僕らは面倒くさくて
だいたいいつも僕らは完璧じゃない
ただ彼女の光を求めていた
君は一人じゃない
恐がらなくていい

言い表せないこの感覚
言い表せないこの感情
僕らの内面に飛び込むみたいだ
君がまた作り笑いをしているなら
今も自分を誤魔化そうとしているなら
どうか忘れないで

見たい 触れたい
聞きたい 話したい
決して忘れないで
決して離さないで
だけどまだまだ足りない

作りたい 歌いたい
奏でたい 続けたい
決して忘れないで
決して離さないで
理由なんてないのかもしれない

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Written by Shozo Totsuka
Shozo Totsuka - Vocal, Guitar
Takahiro Koyama - Guitar, Chorus
Akashi Yoshida - Bass
Keisuke Kozuka - Drums






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