𓂃𓈒𓏸 𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑 𓂃𓈒𓏸 2024年10月号

定期購読マガジン 『𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑』 2024年10月号をお届けします

NOOKの活動をもっといろんな方に知ってもらう機会になればと、月に一度、𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑を配信しています。
ご購読いただいた売上は、NOOKの活動を継続するための資金として使わせていただきます。またNOOKのWebサイトより、直接ご寄付いただくことも可能です。わたしたちの活動はちいさなものですが、この記録組織を変わらずに続けていくために、どうかご支援いただけますと幸いです。

𝐍𝐎𝐎𝐊 𝐋𝐄𝐓𝐓𝐄𝐑限定のコンテンツは現時点で大きく３つになります。

✦ 語らいの記録 ✎𓂃
『語らいの記録』では、多くの旅を通じて出会った語りを絵画や文章で記録し続けている画家・作家の瀬尾夏美が、毎月ひとつの語りを取り上げ、その語りが生まれた空間をやわらかな文章で編み直します。

✦ 今月の絵手紙 𓍯
『今月の絵手紙』では、画家・作家の瀬尾夏美と、美術作家の佐竹真紀子が毎月担当を交代しながら、ドローイングを交えたみなさまへの絵手紙をお届けします。

✦ 今月のエッセイ 𓅯 ⸒⸒
『今月のエッセイ』では、主に劇作家・演出家である中村大地、映像作家の小森はるか、美術家の磯崎未菜、美術・メディア研究者、映像作家の細谷修平が、交代でエッセイを執筆します。自身の活動についてや、最近ハマっていること、海外での驚きの出来事など、それぞれの視点から紡ぐ季節のエッセイをお楽しみください。

他にも、 NOOKメンバーにやってみてほしいこと、聞きたいこと、お願いしたいことなど、新コーナーのアイディアをいつでも大募集しております。各SNSでのリプライや、ハッシュタグ #NOOKLETTER にて教えてください。❀´-

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今月のラインナップ

語らいの記録：
「こうして立ち直ったばあちゃんもいるよ（台風から5年が経った丸森にて）」（瀬尾夏美）

今月の絵手紙：
「あたらしい土地、終の棲家」（瀬尾夏美）

今月のエッセイ：
「エッセイ４　糸井貫二さんのこと」（細谷修平）

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それではさっそく、瀬尾さん書き下ろしの語らいの記録からどうぞ。

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語らいの記録 ✎𓂃

16. こうして立ち直ったばあちゃんもいるよ（台風から5年が経った丸森にて）

2019年10月12日、東日本の広範囲を巨大な台風が襲って、宮城県丸森町はいくつかの集落が土砂に埋もれたり、家屋が浸水したりするような被害を受けた。

その台風から丸5年が経つ。あの日、大半が土砂に埋もれてしまった五福谷では、避難所にもなった集会所に集落の人たちが集まり、わいわいと芋煮会を開いていた。もともと集落の仕事（草刈りや植樹など）をしに集まった後には、みんなで飲むのが習慣だったそうだが、台風以降はボランティアなどの遠方の関係者も招待する形で、集落の行事に10月の芋煮会が追加された。

被災があった一帯は遊砂地として整備されることになり、日々工事が進められている。92歳のおじいさんは、岩や土砂に埋まった自宅跡のあたりを眺めながら、彼のひいおじいさんがそこへ移り住み、建てたという家の歴史を現代まで一続きに語ったあと、それがついに埋まってしまったんだねえ、と言った。

ちょうどあの山のふもとにある鳥居の上まで埋めてしまうというんだよ。風景も変わるなあ。記憶も埋まるなあ。でもね、あの鳥居だけはきちんと整備してもらおうという要望を出しているのさ。みんなの大切なものだからね。