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【古性のち 自分史】#9 本屋で出会ったあの人。

最初は多分1時間やそこらの現実逃避だったし、本人もそう思っていたのだと思う。だってエランシアの中でいくらお金を稼いでも、友達を作っても。可愛く着飾っても、ちやほやしてもらっても。この世界は、現実じゃない。電源を切れば目の前に突きつけられるのは、ヘドウィグも迎えに来ない、魔法少女にもなれない、「社会」という残酷な二文字を刻み込んだ階段をただただ登らされる学校と、もう二度と鏡なんて見たくなくなるほどに、ニキビだらけの醜い自分。

なんでだろうね。「見かけが醜い」と自分で思いこむと、心も歪んでいくのは。かわいい同級生への妬みや嫉妬が脳内で上手に処理できなくなって、ドロドロの汚い水になって、口から出てきてしまう感じ。

当時多分わたしは自身や努力に向けるベクトルを、自分を守る盾や剣に変え振り回すことしかできない、見た目以上に「嫌な子」だった。

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